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行っちゃうのかい

 前の日にテレビでやっていた映画「ネバーエンディングストーリー」、登校か下校のときに近所のいっこ下の子と、ファルコンがアトレーユと一緒にいたシーンの話になった。
 その場から立ち去ろうとするアトレーユにファルコンが「行っちゃうのかい」と言う、その言い方が面白かった、と話して、わたしは、こんな感じだったかなと、ファルコンの真似をした。
 そうしたら、いっこ下の子は、すごく笑った。
 わたしは何度も「行っちゃうのかい」とファルコンの真似をした。そのたびに、いっこ下の子は笑った。
 その子はわたしのことを「さやこっこさん」と呼んでいた。
 さやこっこさんファルコンやって。
 次の日も、何度も言って、何度もわたしは真似をした。
 大人になってからは、その子に会っていない。
 今はもう、その子は、わたしがファルコンの真似をしても笑わないだろう。さやこっこさんとわたしを呼んでいたことも、忘れているかもしれない。
 小学生のわたしたちは、理由がなくても、さやこっこさんと呼ぶし、ファルコンで笑うし、何度も真似をして、何度も笑う。

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