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鴨は飛びます

 歩いていて、空を鳥が飛んでいて、それは鴨だった。
 1匹の鴨が、空のかなり高いところを飛んでいった。鴨は近くの沢でよく見かけ、泳いでいるイメージなので、あんな高いところを飛んでいたのなら鴨ではないかもしれない、けど鴨に見えた。
 帰って調べてみる。同じようなことを考えていた人がいたようで「鴨は飛びますか」という質問をネットに書いている人がいた。答えは「鴨は飛びます」。
 庭の木を切っていたら、葉の裏に、白いふわふわとした細かい綿のようなものが、びっしりついている。なんだろう、と思いよく見ると、白いふわふわのひとつひとつには、脚が生えている。知らない虫だ。知らない虫は、アブラムシのように身を寄せ合い、葉の裏でじっと暮らしていた。枝を切ると、揺り落とされた知らない虫が、ふわりと空気に舞い、吸い込まないように気をつけた。
 0歳から10歳、10歳から20歳、20歳から30歳、30歳から40歳、同じ10年でも、どんどん短く感じるようになるのは、わかることが増えて、先を予測できるからだと思っていた。
 鴨が思ったより高く飛ぶこと、綿みたいな小さい虫の名前、まだまだ、知らないことは無限にある。

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