見出し画像

そういうことができるのだとして

 子どもたちが春休みに入り、わたしは粘土板を洗ったりぞうきんを縫ったりするのを、まだやっていない。鍵盤ハーモニカのホースは洗った。上履きはまだ。ぞうきんは、小学校のは買ったのをそのまま持たせればよく、幼稚園のは、買ったのを小さく切ったのを縫ったのをひとつ作る。
 電車に乗り、見える景色が光ったり、いろいろな人が乗ったり降りたりする。
 一番前の車両に乗り、一番端の席に座り、運転席の窓から、走る電車目線の線路が見える。
 わたしは、自分が電車と同じ速度で走ることができるとして、そういうことができるのだとして、線路を走る気持ちで窓から外を見た。夢の中にいるみたいだった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?