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紺色の線の入ったブラウスを着ていたような気がする

 プールサイドはオレンジ色で、細かい石が敷き詰められたみたいにぼこぼこの材質はゴム製のような弾力が足の裏に触る。
 プールを囲うフェンスの、校舎と逆側は細い空き地のような場所で、雑草が生え、小石があり、何本か植っている木の影で昼間も薄暗い。
 その空き地に、小学3年生のわたしがしゃがんでいる。隣には、クラスメイトの女の子がしゃがんでいる。ふたりは地面を見ている。きれいな石を探している。
 空き地に一緒にしゃがむ女の子とは、普段はふたりきりで遊ぶことはない。プールの裏の空き地で、きれいな石を探すときにだけ、お互いが、お互いを誘い、そこにふたりはいる。
 どちらかがきれいな石を見つければ、それをどちらかが、きれいだね、とよろこび、また、どちらかが見つければ、きれいだね、とよろこぶ。
 拾った石をどうしていたのだろう。一緒にきれいな石を探したクラスメイトの女の子は、紺色の線の入ったブラウスを着ていたような気がする。
 

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