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呼吸をマスターした

昔々、あるところにサトリがいた。

サトリは、無力だった。

強くなりたかった。

鬼滅の刃という漫画を読んだ。

剣士たちは、呼吸をマスターしている。

サトリも、呼吸をマスターしようと思った。

自己流で、あれこれ、呼吸をやってみた。

毎日、毎日、ノートに記録をつけた。

1行。

今日はこれをした、という記録。

毎日、それは、変化した。

進歩があり、失敗があった。

不思議なことに、失敗の後には、発見が必ずあった。

発見の積み重なりで、大きな進歩があった。

その繰り返しだった。

そして、1行、1行、書いていったノートの履歴を見るとき、ルートを描いているのがわかった。

どこへ行こうとして失敗し、そして、どこへ行ったとき、上手く行ったのか。

地図を作るようだった。

呼吸は、安定していった。

書くことが無い日が続いた。

たまに、失敗した。

そして、そこから、修正したとき、呼吸の技は、さらに、安定した。

ある時、もう書くことが無くなった。

その時、サトリの呼吸は完成した。

それは、もはや、書くことすら無かった。

呼吸するとだけ書いた。

サトリは、呼吸をマスターした。


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