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好きな本のはなし(俳句、短歌、ほか)

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句集、歌集をはじめとした「好きな本」の感想ページです。
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#鑑賞

明日のある日常:折島光江句集『助手席の犬』

「できるだけ普段着の言葉で、普段着の景色を季語とともに俳句として詠みたい」 自分の心と身…

あんこ
2か月前
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軽やかに、カラフルに:箱森裕美句集『鳥と刺繍』

雷鳥や刺繍の花のその軽さ 句集タイトルのイメージにもっとも近い作品を挙げるとすれば、上記…

あんこ
4か月前
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独自の詩の森の世界へ:しなだしん句集『魚の栖む森』

死角の無い句集である。 どこから読んでも、どの句を読んでも面白い。 溜息が出るほどだ。 全…

あんこ
6か月前
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俳句を紹介・鑑賞いただきました☆

角川『俳句』7月号に掲載された12句作品のうち、数句について写真の俳句結社誌でご紹介いただ…

あんこ
9か月前
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客観的視点が生む言葉の距離と味わい:岡田由季句集『中くらゐの町』

中くらゐの町の大きな秋祭 街と町。同じ「まち」でもこの二つは違うと思う。 大雑把にいうと…

あんこ
10か月前
24

異界への招待状:俳句誌『LOTUS』第51号

クラクラするほどの痛いほどの今夏の太陽。 八月になって、通りは急にふっと音の存在を忘れた…

あんこ
10か月前
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キュートなはにかみ:津髙里永子句集『寸法直し』

暮らしの中で意外に心に長く残るのは、 大きなエピソードよりも小さなことだ。 あの人に言われた一言がいつまでも引っかかったり、 安く良い食材が手に入って嬉しかったり、 仕事の時間にふと目にした花が美しくて なんだか今日は良い日だった、と心豊かな気分になったり。 すぐに忘れてしまう事柄もあるだろう。 でも、そんな些細なことどもが無意識に心に蓄積され、気がつけば自分の物の見方、感じ方というものは形成されてゆく。 作家はそんなささやかな生活の一瞬を大事にして、その繰り返しの中に自身