マガジンのカバー画像

好きな本のはなし(俳句、短歌、ほか)

35
句集、歌集をはじめとした「好きな本」の感想ページです。
運営しているクリエイター

#俳句

三色の交差点:俳句同人誌『カルフル』創刊号

あわあわとした光の輪が優しい表紙。 この同人誌、そして同人三人の現在、そしてこれからの光…

あんこ
2か月前
20

コンプレックスと肯定と:俳句誌『豆の木』No.28

超結社句会「豆の木」。 今年の初夏、30周年記念号(No.28)が刊行。 豆の木句会を紹介いただい…

あんこ
3か月前
22

十七音の包容力と瑞々しさ:黒岩徳将句集『渦』

煌めきながら切ない、この十七音たちは、この感覚は何なのだろう。 本句集を読み終えての第一…

あんこ
3か月前
22

まどやかな祝福:阪西敦子句集『金魚』

金魚揺れべつの金魚の現れし 華やかに鰭を動かし、水を遊ぶように泳ぐ金魚。 複数あるいは品…

あんこ
4か月前
22

【俳句掲載】『名句水先案内』(角川俳句コレクション)

角川『俳句』連載の「名句水先案内」(2020年4月号~2022年3月号)。 今回、角川俳句コレクシ…

あんこ
5か月前
29

明日のある日常:折島光江句集『助手席の犬』

「できるだけ普段着の言葉で、普段着の景色を季語とともに俳句として詠みたい」 自分の心と身…

あんこ
6か月前
22

【俳句掲載】『全国・俳枕の旅62選』

俳人・広渡敬雄さんが『全国・俳枕の旅62選』を上梓なさいました(出版社:東京四季出版)。 その中の一句として拙句を掲載していただきました。 どうもありがとうございます😊 著者の広渡敬雄さんは俳句結社「沖」同人、第58回角川俳句賞受賞。 俳句のみならず、文筆の方面においても活躍著しい方です。 本書は、各章ごとに全国各地の名所・旧跡とその場所にちなんだ著名俳人を取り上げ、土地と作家のエピソードを織り交ぜて紹介。さらにその中に古今の俳人たちの句が一緒に掲載されています。 まだ

軽やかに、カラフルに:箱森裕美句集『鳥と刺繍』

雷鳥や刺繍の花のその軽さ 句集タイトルのイメージにもっとも近い作品を挙げるとすれば、上記…

あんこ
8か月前
20

愛とかなしみの背理法:土井探花句集『地球酔』

こんな日は仲間はづれの雉が好き この句の中に自分を見る人、あるいは共感する人は、「ここに…

あんこ
9か月前
28

独自の詩の森の世界へ:しなだしん句集『魚の栖む森』

死角の無い句集である。 どこから読んでも、どの句を読んでも面白い。 溜息が出るほどだ。 全…

あんこ
10か月前
18

月を仰ぐことを忘れない人:杉山久子句集『栞』

句会でも思うけど、俳句作品がまとまって掲載された句集を読むたびに思うことがある。 「どう…

あんこ
11か月前
55

俳句を紹介・鑑賞いただきました☆

角川『俳句』7月号に掲載された12句作品のうち、数句について写真の俳句結社誌でご紹介いただ…

あんこ
1年前
29

客観的視点が生む言葉の距離と味わい:岡田由季句集『中くらゐの町』

中くらゐの町の大きな秋祭 街と町。同じ「まち」でもこの二つは違うと思う。 大雑把にいうと…

あんこ
1年前
24

異界への招待状:俳句誌『LOTUS』第51号

クラクラするほどの痛いほどの今夏の太陽。 八月になって、通りは急にふっと音の存在を忘れたかのように静かになる瞬間が。そんなある日、届いた一冊。 文章はこれから読むところだが、俳句作品が面白い。 ぽっかりと落ちてきた言葉たちが白昼夢のように私の心を揺らす。 【特別作品】2作より一句ずつ。 遠泳の  潮粘りだす   鳥影  奥山人 一行ずつアタマ落としで書かれた言葉が三行に分かれて、ページの中で複数のワルツを踊っている。ステンドグラスのようにも見える。 「三」という言葉が