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好きな本のはなし(俳句、短歌、ほか)

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句集、歌集をはじめとした「好きな本」の感想ページです。
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#俳句

まどやかな祝福:阪西敦子句集『金魚』

金魚揺れべつの金魚の現れし 華やかに鰭を動かし、水を遊ぶように泳ぐ金魚。 複数あるいは品…

あんこ
13日前
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【俳句掲載】『名句水先案内』(角川俳句コレクション)

角川『俳句』連載の「名句水先案内」(2020年4月号~2022年3月号)。 今回、角川俳句コレクシ…

あんこ
1か月前
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明日のある日常:折島光江句集『助手席の犬』

「できるだけ普段着の言葉で、普段着の景色を季語とともに俳句として詠みたい」 自分の心と身…

あんこ
2か月前
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【俳句掲載】『全国・俳枕の旅62選』

俳人・広渡敬雄さんが『全国・俳枕の旅62選』を上梓なさいました(出版社:東京四季出版)。 …

あんこ
2か月前
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軽やかに、カラフルに:箱森裕美句集『鳥と刺繍』

雷鳥や刺繍の花のその軽さ 句集タイトルのイメージにもっとも近い作品を挙げるとすれば、上記…

あんこ
4か月前
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愛とかなしみの背理法:土井探花句集『地球酔』

こんな日は仲間はづれの雉が好き この句の中に自分を見る人、あるいは共感する人は、「ここに…

あんこ
5か月前
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独自の詩の森の世界へ:しなだしん句集『魚の栖む森』

死角の無い句集である。 どこから読んでも、どの句を読んでも面白い。 溜息が出るほどだ。 全11章より感銘句を各章より1句ずつ。 喝采のやうな風鈴市をゆく 騙し絵のやうな嫗が毛糸編む わが影へ膝折りたたむ汐干狩 穀象の眼いたいけとも見ゆる 鶴渡るふつくら赤き燐寸の火 軍港を白く濡らして日雷 サーファーの鼠小僧のやうに立つ 梟の身に軸のありこちら向く 貌つつこんで花虻の尻の縞 夜に満ちて葬儀のやうな白つつじ 臘梅のひらきて未完なる形 季語の使い方の巧みさはもちろんだが、切れ字

月を仰ぐことを忘れない人:杉山久子句集『栞』

句会でも思うけど、俳句作品がまとまって掲載された句集を読むたびに思うことがある。 「どう…

あんこ
7か月前
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俳句を紹介・鑑賞いただきました☆

角川『俳句』7月号に掲載された12句作品のうち、数句について写真の俳句結社誌でご紹介いただ…

あんこ
9か月前
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客観的視点が生む言葉の距離と味わい:岡田由季句集『中くらゐの町』

中くらゐの町の大きな秋祭 街と町。同じ「まち」でもこの二つは違うと思う。 大雑把にいうと…

あんこ
10か月前
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異界への招待状:俳句誌『LOTUS』第51号

クラクラするほどの痛いほどの今夏の太陽。 八月になって、通りは急にふっと音の存在を忘れた…

あんこ
10か月前
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俳句のみが発揮しうる魅力:現代俳句文庫88『金子敦句集』

いつもウキウキ、ルンルン♫で俳句を作れるなんてことは先ずなくて、大体句会や締切など「必要…

あんこ
11か月前
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感謝の証:渡部有紀子句集『山羊の乳』

あれは、所属する俳句結社「炎環」の記念大会。 当日、お祝いの為に出席してくださった大勢の…

あんこ
11か月前
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【12句掲載】角川『俳句』2023.7月号

現在発売中の角川『俳句』7月号。 柏柳明子の俳句作品12句『玩具』を掲載頂きました。 お読み願えれば嬉しいです😊 編集部の方々には発表の機会を頂き、感謝申し上げます。 掲載もそうですが、丁寧な校正をして頂きその点も嬉しかった。 本を作る側のひとりとして「著者とその作品」を大事にすることも仕事として大事、と思っているので、そこにシンパシーを覚えました☆ ☆   ★   ☆   ★   ☆   ★   ☆   ★ 記事全体としては(まだ読み始めたばかりですが)、個人的には小