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今更クリアしたイース8の感想文



こんにちは、名江ゆうな(なえp)です。
今更ながらイース8をクリアして感想を書きたくなったので書き連ねていきます。
※トゥルーエンドで終わりました。

先に点数をつけるとすると、個人的には75~80点ぐらいかなと思いました。

巷では神ゲー、良ゲーと評価が高い作品ですが、個人的にはシナリオ面で首をかしげる部分が散見されたので、このような点数となりました。

印象に残るハイクオリティなBGM、爽快なアクション、冒険をしている没入感、等ゲームシステム面の完成度が非常に高いと感じたため、余計にシナリオ面が目についてしまったという部分もあります。

決してクソゲーではないのですが、イースシリーズを始めた人たちに手放しにオススメできるかというとそうでもないと思ってしまいます。序盤~中盤にかけてはとても面白いと思うんですけどね・・・
どちらかというと、賛否が分かれていて評価があまり芳しくないイース9の方が面白かったと感じています。

では、細かい部分を見ていきましょう。
注意点ですが、2016年に発売されたゲームで7年以上経つ作品ですので、ネタバレ全開で書いていくと思います。
まだプレイ中の方はクリアしてから覗きに来てくださいw

概要

時系列は5と6の間。
船で海を横断中に巨大海中生物に襲われ、アドルを含む乗船客たちはセイレン島へ漂流してしまいます。
漂流した乗船客たちを探しながら集落を作り、襲い掛かってくる獣たちを迎撃しながらセイレン島の脱出をアドル達は試みます。
そんなセイレン島を探索していると古代文明の跡を見つけ、そこでヒロインであるダーナと出会い、「ラクリモサ」という危機を知り・・・

と初めは無人島からの脱出。後半からはスケールの大きい危機に立ち向かうというシナリオで話が進みます。
空き瓶が貴重品である、釣り要素がある、など無人島でサバイバルをしている事をゲームシステム的に組み込んでいるため、細かい部分で世界観へ没入させることに配慮してくれているな、と感じました。
全体的に丁寧に作られており、このあたりは流石ファルコムだと感じています。


良かった点


無人島ということで開放的なフィールドであり、没入を促してくれるBGMも相まって、フィールドを探索する楽しさは今までのシリーズにないものでした。
アクション面もシンプルながら爽快であり、相手の攻撃を見切ってジャストガードやジャストムーブを決めると、上達を肌で感じることができるのも評価ポイントです。
ボス戦はロックなBGMがテンションを高めてくれ、サビ部分と攻撃ラッシュ時の部分が重なった時は「これぞイースだ!」と興奮していました。

グラフィック部分が甘い、もっさりである、と批判点で挙げられていますが、シリーズものをやっている身としては、イースに求めるのはゲームの世界へ没入するための世界観とBGM、爽快なアクション性だと思っていますのでグラフィック面は自分はそこまで気にしていません。
グラフィックを気にするなら他のゲームをやりますしねw

プレイアブルキャラももちろんですが、20人近くいる漂流者もしっかりとキャラ付けがされており、影の薄いキャラは少なかったように思います。
同じ貴族の身分であっても、傲慢な性格のカーラン卿、独特の感性を持つオースティン、と二人は個性が違っており、同じ貴族でも印象が異なるキャラとして登場しています。

また、ストーリーの途中で裏切り者も出てくる等、サバイバルな状況下でそれぞれの価値観の相違が見られる部分は非常に良かったと思います。
唯一、残念だと思ったのは、セルセタでも登場したグリゼルダの扱いですね。これは後述します。

キャラの中で一番好きだったのはプレイアブルキャラでもあるヒュンメルですね。
運び屋という裏の仕事を稼業としながら、「行って帰るまでが仕事」と子供の遠足の延長のような考えを実直に守っているという、どこか憎めないキャラに仕上がっています。
後半でヒュンメルの掘り下げをされた際には、子供時代に色々あったが正直な自分に嘘をつけないという純粋な部分をアドルに告白するシーンがあります。クールで淡泊な性格である彼の人間味溢れるところを見れたのは非常に感動しました。

ぜひとも二次創作で書いてみたいキャラだ、と思うぐらいには好きになりましたねw
一見とても強いんだけども、どこか抜けていたり、どこか人間味があるキャラが性癖なのでヒュンメルは個人的に愛着のあるキャラとなりました。
後日談で皇女から婚姻を求められているところから、彼を好いてくれる女性も少なからずいるみたいですね。ちゃっかり断っていますが

あらゆる観点から見て、非常に気合の入った作品だと感じました。この次に発売されたイース9の評価があまり高くないのも、今作イース8の完成度があまりに高すぎたから、という声もあるぐらいです。
その部分に関しては私も同意できますね。

では、そんなイース8の何が悪いと感じたのか。
次は悪かった点を見ていきましょう。

悪かった点

シナリオ
良かった点でもシナリオの事書いてるじゃねぇか、というツッコミもありますが、序盤~中盤までのシナリオは丁寧で良かったと感じています。
いわゆる、無人島からの脱出を主にしていた部分ですね。

脱出用の船を作り、脱出するにあたっての脅威を排除するまでのシナリオは漂流村の一致団結もあり非常に見ごたえがありました。
その後にダーナの方にシナリオが移り、スケールの大きい危機に立ち向かう方へと比重が傾いていくのですが、このあたりで制作側の息切れが見えてくるようになりました。

一見、
無人島に漂着
→漂流者を集めながら脱出を模索
→模索の際にスケールの大きい危機を知る
→島脱出の準備ができたため、危機に立ち向かう

こう羅列すると自然なように見えますが、ゲームプレイしていると違和感を持ってしまいます。
ダブル主人公という位置づけですので、アドル側の目的がひと段落したから次はダーナの目的を果たしにいこう、というのは納得ができますが、どこか温度差を感じてしまうのも事実です。
無人島脱出までの話をがっつり序章~5章まで丁寧に描いていたのに対して、ダーナのシナリオは6章だけに詰め込まれています。
人類滅亡の危機ということでスケールが大きいため、アドル達も見過ごすことはできないのですが、終盤になり突然出てくる内容のためプレイヤー側としてはポッと出に感じてしまうわけです。

その6章も今までの章の倍ぐらいはある長さのため、ダレてしまう部分もあります。当初の冒険の目的って何だったっけ?と頭を捻ることもありました。(実際、このあたりでゲームを一度離れました)

また、過去にラクリモサへ抗った種族が6章の後半で登場しますが、突然の登場であるため、彼らがどのぐらいの存在感なのかがわかりません。
各章ごとに彼らの存在をほのめかすような描写があれば、まだ実感が湧いたのかもしれませんが・・・

話が逸れますが、
イース9での批判点として、アプリリスというキャラの出自の判明が話の終盤に集中していてわかりにくいという点がありましたが、アプリリスはシナリオの序盤から謎めいた存在ながらも度々アドルの前に姿を現しますし、彼女の存在感はある程度理解できました。
終盤で出自がわかっても、「だからアドルたちと度々接触していたのか」とある程度補完ができたわけです。
個人的にはこういった面でイース8は描写不足かなと思います。

イース8のシナリオは「ダーナロス」という言葉も出たぐらいのある意味変化球なシナリオなのですが、個人的にこの終わり方は全然アリだと思っています。
おそらく虚淵作品の影響を受けていると思ってしまう内容でしたが、ダーナのひたむきさと運命に抗う描写は心にくるものがありましたし、ダーナという存在を強く残す終わり方としてはいい終わり方だったと思っています。
駆け足だったとはいえ、ダーナの話を綺麗に終わらせて、漂流者たちが島を去るように持っていったのは見事だと思いました。

そもそもとして軌跡シリーズもコードギアスとかまどかマギカの影響受けたんだろうなってシナリオでしたし、黎の軌跡は仮面ライダーの影響受けてるっぽいですしねw
他作品の影響が色濃く出ているのはイース8に限った話ではありません。むしろファルコムファンとしてはその部分も楽しんでいる節がありますのでw

ただ、この終わり方にするならするで、もっといい描写があったんじゃないだろうかと思ってしまうわけです。
6章(最終章)だけでかなり駆け足気味にラクリモサのことを説明されても、世界の危機にあることは理解できても、プレイヤー側は少なからず置いてけぼりをくらってしまうわけです。
その中でダーナがロスしても、悲劇のヒロインだけで終わってしまうのが勿体なく感じてしまいます。
トゥルーエンドに出てくるラスボスもなぜ戦う必要があるのか特に描写もなく戦ったため、どのような存在なのかがよくわからないままでした。

なんだかんだで綺麗に風呂敷を畳んだのは素晴らしいと思いますが、ダーナが「概念」になるに至るまでの描写次第で、イース8は何倍にも面白く余韻に浸れる作品になり得たのではないでしょうか。

グリゼルダについて
セルセタの樹海にて登場したグリゼルダが、今回は漂流者として加入しますが、加入時期は一番最後であり、アドルと面識があるのにほとんど絡みがないまま終わってしまいます。
実はロムン帝国の皇女であり、腕も立つということから、早めに加入してくれていれば頼りになる存在感になっていたかもしれません。
皇女ということは高貴な存在であるので、貴族の漂流者たちとの価値観の相違などでまた別のシナリオが作れたかもしれません。
これらからも別シリーズのキャラであるのに非常にもったいない扱われ方をしているように感じます。

似たようなキャラとして、
イース6ではイース1の時に登場したラーバが再登場しますが、彼はシナリオでも比較的早めに登場してアドルの冒険の手助けをしてくれます。
このような前例があるため、ファンサービスでもう少し存在感を強くしても良かったのではないかと思います。
綺麗な3Dキャラになった別シリーズキャラを見たいというファンもいると思いますし。

グリゼルダはセルセタの樹海ではマップの進行度によってアイテムをくれるキャラだったので、今回も同じ役割で続投してもファンとしてはニヤリとできたかもしれませんし、ロムン所属ということから複雑な心境であることも吐露する場面をもっと作っても良かったと思います。(好感度イベントで少し本音を漏らすシーンはありますが・・・)

高貴な立場で同じ性別であるラクシャとも話の花は咲いたかもしれません。
総じて、個人的にはもったいないなと思うキャラの一人です。

アクション面
総じてアクション面は楽しかったのですが、終盤に登場する敵にはストレスがたまる敵が多かったように感じます。
終盤でゲームバランス調整に息切れしてしまった感はヒシヒシと伝わってくる部分がありました。

まず、このゲームでおそらく一番強い敵の行動パターンとして、咆哮があげられます。
咆哮はダメージこそありませんが、キャラを強制で吹き飛ばし、攻撃を中断させてきます。この咆哮はガードもできません。
古代種という強い存在を表現するために作られたものと考えられますが、終盤は咆哮を多用する敵が多く、それは雑魚敵も例外ではありません。

雑魚敵は群れで襲ってくるケースが多く、咆哮を打たれると雑魚を一掃できずにそのままハメられてしまうことも多かったです。
群れで襲ってくる形も無双ゲームを思わせるほどの数だったりするので、別ゲーをやっている感覚がありました。

また、終盤のボス敵もストレスを感じるものが多かったです。
攻撃パターンが少なめだった部分もあるのですが、私はそこはあまり気にしていません。
問題は落下ステージギミックが多い点で、上述した咆哮系の技はボスも使ってきます。
落下はソウルシリーズのような即死ではなく、HPが減った状態で復帰する仕様なのですが、戦闘のテンポが悪くなっていることは事実です。

咆哮を打たれる→キャラがステージ端に吹き飛ばされる→落下する

このパターンが非常に多く、テンポよく攻めることができなかったのが目につきました。
ボス敵を一方的にこちらのペースでハメ倒すことを防止したかったのでしょうが、そこで落下ギミックを採用したのはプレイヤー側からはストレスに感じました。


素人が考えるシナリオ改善案

ゲームクリアして少し余韻に浸った後に思ったことがありました。

逆だったかもしれねぇ、と

つまり、無人島の脱出とラクリモサへ立ち向かう順番を逆にすればよかったのではないか、と思いました。
こうすることで序盤からシナリオは平行して共通の目的に進みますし、ダーナの使命感を最初から理解することができます。

こうするために、最初の船に乗船しているのは、定期船目的での利用者とセイレン島の調査目的の人たちとの混合乗船としておくことで、話は自然に進むかと思います。
漂流者の中でも過去の経験からセイレン島の調査に協力してくれる人もいるでしょうし、逆のパターンで調査ではなく漂流村の維持に貢献しようと考える者もいるでしょう。
漂流者キャラの深堀りにも一役買ってくれる要素だと思います。

また、ゲーム上、プレイアブルキャラは6人で、ダーナの加入は一番最後です。

そこでダーナの加入を4人目として早めに加入させ、彼女の記憶を探しながら徐々に真実に近づくことで、彼女や世界観の描写も増えたのではないかと思います。(セルセタが記憶を辿る手法でシナリオが進んでましたし)

並行して脱出用の船作りの手掛かり探しもできますし、漂流村の面子たちとも意気投合できる動機ができるわけです。

次作のイース9でもシナリオ面の批判がありますが、イース9については「全キャラが閉じ込められた街から脱出をする」という共通の目標に向かってシナリオが進むため、シナリオでブレは少なかったように感じます。
箱庭となった都市を探索する、というイースらしさが薄い9でしたが、今作のダブル主人公の課題点や筋の通ったストーリーの構築など、今作から見直された部分はイース9に多いと私は思っています。
個人的にイース9はシリーズでもかなり上位になるほど好きな作品です。

しかし、イース8は途中で目標が変わってしまうため、どうしても感情移入に無理が感じられました。
序盤からダーナを加入させ、島の探索の道中でかつてラクリモサに抗った連中と出会い、真実を徐々に知っていく、という形であれば敵の存在感も大きくできたのではと思います。
せっかく敵サイドにも魅力あるのが揃っていたと考えると、風呂敷を広げるタイミングを序盤に傾けていれば途中でダレることもなかったのではと考えてしまいます。
冒頭に書いた、制作陣の息切れがこのあたりに出ているのではと思いました。

まぁ同人小説を書いてる身ですが、シナリオの風呂敷を広げることと畳むことは非常に難しく永遠の課題でもありますw
特に畳むことは大手ゲームメーカーの出すゲームですら苦難されているところを見ますので、このあたりは私も強い口調では言えない部分ですねw

総評

BGM、アクション、終盤までのシナリオは非常に丁寧に作り込まれており、間違いなくイースシリーズの良作の一つと言えると思います。
一方で、ラクリモサに関わる終盤のシナリオには置いてけぼりをくらう感覚が強く、そこさえなければ完璧な作品になったと思える惜しいゲームです。

グリゼルダの扱いを始めとしたキャラの登場タイミングやシナリオの順序など、もう少し煮詰めていればと感じる部分もありますが、おそらく納期の兼ね合いで難しい部分もあったと思います。

作品を世に出すのに最初から完璧なものはなかなか難しいことです。
15年ぐらい先の未来でもしイース8をリブート作品で出すなら、このあたりを直して出してもらえたら私は大歓喜しますw

以上で今更な感想を終わろうと思います。
ここまでお読みいただきありがとうございました。

それでは

(了)

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