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チューリップ/ニュー・ミュージックなる鵺(ぬえ)

(敬称略)

バブルの頃の話です。

東京の電車のなかで
会社員らしい男性と女性の会話です。

(恋人同士じゃなくて
ただの同僚とかみたいでした。)

男性が
「ユーミンがなんとか・・・」と言ったら。

女性が
「ユーミンとか言う?
友だちでもないのにさ。」

男性
「・・・・・」

たしかに
人前で
「ユーミン」って言うの
(当時も今も)
「こっぱずかしく」ないですか?

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「ニュー・ミュージック」という言葉。

それが普通に通じていた時代を
知っているひとたちは
みんな
おじいちゃん、おばあちゃんに
なりました。

わたしは
この言葉を聞くと
身体が痒くなるので
当時から
口にすることが
できませんでした。

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完全に
独断と偏見なのですが。

わたしは
「ニュー・ミュージック」なる言葉は
チューリップ(みたいな音楽)を
当時の歌謡曲から
なんとか分離して評価しようと
考えた誰かが
ひねり出したものじゃないかと
思うのです。

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「ヤングギター」の
1972年7月号に載っていた
広告(?)です。

「オール・シングス・マスト・パス」な衣装。

旗揚げ(笑)独演会(笑)。

ツッコミどころ満載です。

ネットで検索したら
何件かヒットしました。

上京後
初の「お披露目」だったようです。

キャパ400名程度の会場のようですが
ほんの僅かなファンと
シンコーミュージックの動員(さくら)で
やっと恰好をつけたらしいです。


この号
表紙が泉谷しげる。

特集は
小坂忠、内田裕也、大瀧詠一、
岡林信康、古井戸、吉田拓郎。

ここに「チューリップ」。

たしかに
当時の日本のフォーク、ロックの市場からみると
チューリップのサウンドは
「異質」だったように思います。

それを「新しい」と言うのが正しいのか
どうかはわかりませんが。

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この号に掲載の記事では
はっきりと
音楽的に
ビートルズの影響下にあると
記載されていますから
デビューの瞬間から
それは歴然としていたのでしょう。

(誰が聴いてもわかるレベルということ。)

もちろん
ビートルズに影響を受けたミュージシャンなんて
東京ビートルズ~GSの頃から
数限りなくいたし。

吉田拓郎(岡本おさみ)は
「ビートルズが教えてくれた」と言い切ったわけで。

「バイバイ グッドバイ サラバイ」~
「グッド・タイム・ミュージック」の
斎藤哲夫(瀬尾一三)のように
中期~後期のビートルズのサウンドを
追求したものもあります。

つまり
ビートルズに影響を受けたなんて
特別珍しい(新しい)ものでは
なかったのです。

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チューリップの
ビートルズに対する取り組み(?)は
ジェフ・リン(ELO)に
近いように思います。

つまり
(どちらかというと)
「ポール寄り」ということですね。

デビュー・アルバムは
まさしくそれです。

昔からのファンは
チューリップの前身バンドが
アコースティック編成だったことを
知っていると思います。

音源は
YouTubeで簡単に聴けますが
ここには
ビートルズの
「ビの字」もありません。

「五つの赤い風船」とか
「赤い鳥」とか
「六文銭」とか
そんな匂いすらする音だと
思います。

チューリップとしてのデビュー曲
「私の小さな人生」の
オリジナル・ヴァージョンは
ポールっぽい
せわしないベース・ラインと
それっぽいコーラスが聴けますが
まだまだ
「ニュー・ミュージック」(痒いよ~)では
ないように思います。

ところが
すったもんだの後
再デビュー曲「魔法の黄色い靴」は
あらびっくり(古い)
「ハロー・グッバイ」。

きっと東芝の意向も
強く働いていたんでしょうね。

「これはフォーク・ソングじゃないし
ロックというにはポップすぎる。」

そんなふうに
思ったひとたちが
無理やり入れ物(ニュー・ミュージックというハコ)を作って
扱いに困ったものを
片っ端から放り込んだ
そんな気がします。

当時
楽しくてわかりやすくて
ウキウキするような音楽は
ロックじゃないというひとたちが
いたんですよ。

えっ、今でもいるんですか?(笑)

10年、20年が経ち
すっかり忘れさられていたのを
「このハコ、何入れたんだっけ?」と
恐る恐る開けてみたら。。。

宝物とゴミとが
渾然一体となっていたわけです。

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そして今
更に意味不明な
「J-POP」なる「ハコ」を作って
何でもかんでも
放り込んでるのです。

本当に懲りないひとたち。














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