工事担任者(DD3種)試験を受けた

1 はじめに

工事担任者とは何か。「工事」とはいってもどういった分野か明示されていないため、建設工事の従事者資格?と思う向きもいるかも知れないが、かなりざっくり言うと通信回線・設備の工事に必要となる資格である。

通信設備工事に関する資格のくせに根拠となる電気通信事業法(昭和59年法律第86号)には、

(工事担任者による工事の実施及び監督)
第五十三条 利用者は、端末設備又は自営電気通信設備を接続するときは、工事担任者資格者証の交付を受けている者(以下「工事担任者」という。)に、当該工事担任者資格者証の種類に応じ、これに係る工事を行わせ、又は実地に監督させなければならない。ただし、総務省令で定める場合は、この限りでない。

としか謳われていないので、「電気通信の工事担任者」「電気通信設備工事担任者」など、適当に付け加えて呼ばれることが多い。

工事担任者には工事する回線の規模に応じてAI(アナログ回線、ISDN)、DD(デジタル回線)1~3種、制限なくすべての工事ができるAI・DD総合種の7種があるが、今回受験したのはDD3種、家庭向けの小規模なインターネット回線の接続工事ができるものになる。

2 受験

 (1)受験の動機

前職の航空自衛隊では、無線整備に関する業務に就いていた。あくまで無線整備なので有線に関する工事担任者資格はそれほど重視されないが、配置によっては通信回線の工事に関わることもあり、半期ごとの業務目標に「業務関連資格の取得」を掲げたために受験することになった。なお公務員の例に漏れず試験手数料(8,700円)は自己負担である。痛い。

 (2)1度目の受験

昨年11月に1度目の受験を迎えた。当時、術科学校で職種の専門教育を受けており、電気回路、論理回路や伝送技術に関する知識が問われる電気通信技術の基礎(以下「基礎」)については基本的な知識があったためなんとか合格、オタク特有の偏った興味関心をもって端末設備の接続に関する法規(以下「法規」)もかろうじて合格点を超えた。

しかし、ほとんど勉強しなかった端末設備の接続のための技術及び理論(以下「技術」)は100点満点のところ50点、合格基準の60点を下回り、あえなく合格率約50%の試験を落とすこととなった。

 (3)再度申し込み、しかし

結局、業務目標については教育終了直前にITパスポート試験に合格し、達成という形にできたが、工事担任者試験では、受験後3年以内であれば科目合格が使える。ということで、雪辱を果たすべく今年度5月の試験に申し込んだ。なお、科目免除であっても手数料8,700円は変わらない。本当に痛い。

2月に申し込み、1科目受験ということもありしばらく存在を忘れていたのだが、4月上旬に緊急事態宣言が発出され、資格試験の中止が相次いだ。工事担任者試験も例外でなく、手数料の払い戻し希望者を除き、今年11月の試験に振り返られることとなった。

 (4)退職、そして再受験

その後、6月末に退職を決意し、願い出たため正直言って11月に試験を受けても意味なくないか?と思ったが、しかし高い手数料を払い込んでいる上に払い戻し期間も過ぎていたために、やむなく受験することとした。

ここまで来てやっと受験体験記の体裁になるが、1回目、2回目共に以下の参考書を使用した(実際は2019年度)。

https://www.yodobashi.com/product/100000009003260851/

この参考書は基本的に左側に解説、右側に頻出問題といった構成のため、計算問題では解法を参照しながら、暗記問題では解説をほぼ無視して頻出問題をひたすら解き、誤答した箇所をノートに書き出して要点を覚えるといった勉強方法でだいたいなんとかなる。

基礎と異なり、技術は暗記勝負なため、前日に要点をメモ帳に書き出して試験当日に電車内でひたすら読み込むという典型的ダメな学習法で臨んだ。

要点を叩き込みながら試験会場に到着。1回目の試験が中止になった影響か、下図のような広いホールを埋めるほどの受験者がいた。年間全国で15,000名程度しか受けないマイナーな試験なのだが。

画像1

試験官の指示のとおりに受験番号、生年月日をマークしていたらいきなり試験が始まり、進行が雑すぎないか?という疑問を持った。1年ぶりに実施したからかもしれないが。

さて、DD3種の技術は計5問で1問あたり4題、従って20題に回答することになる。過去問の出題率が高く、かつ選択肢が3つ、多くて4つのため、ひと目見ただけですぐに解答がわかるものも多い。そのため、10分程度で解答が終わったが、1科目受験の場合は40分間の試験中、途中退出が認められず、残りは暇と眠気との戦いとなった(2科目以上受験の場合は40分経過後に退出できる。)。

そして試験は終了した。立ち寄ったコンビニで自己採点したところ、90点であったためマークミスがなければおそらく合格しているだろう。なお、過去の試験はここで参照できるため、興味があれば確認してみてほしい。

3 試験制度の変更

来年度から試験制度が変更される予定で、具体的には2種が廃止、総合種が「総合通信」、1、3種はそれぞれ「第1級アナログ(デジタル)通信」、「第2級アナログ(デジタル)通信」となる。

資格区分が変更され、通信関連の資格であることがわかりやすくなったのは良いが、どうせなら法改正により「工事担任者」という名称を改めたほうが良かったのではないか。

というわけで、今回の試験は退職もあって名称変更前の記念受験的な意味合いが大きくなった。試験手数料が高額なのはネックだが、変更後の資格取得も目指していきたいと思う。

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