大学中退から行政書士試験合格(2浪目)

1 はじめに

予備校の体験談のような標題になってしまったが、前稿で言及したとおり、令和4年度行政書士試験に合格したので、どのように合格したのか書いていきたい。

2 著者の略歴等

これまでの試験関連の記事には、特に著者のスペックや来歴について書いてはいなかったものの、受験の参考になりそうなため概述する。

(1)略歴

高校卒業後、私立大学法学部入学(N)
N+1年 大学中退(成績不良による。GPA:0.462)
同年 中卒区分の採用試験に合格し、航空自衛隊入隊、情報通信系職域に配置
N+3年 現所属庁入庁(専門・短大卒→大卒区分試験)、行政事務に従事

(2)保有資格等(受験当時)

法律系の資格は保有していない。その他は概略以下のとおり。
・危険物取扱者(乙種3,4,5類)
・ITパスポート試験
・情報セキュリティマネジメント試験
・第2級陸上特殊無線技士
・航空無線通信士
・工事担任者(DD第3種、アナログ第2級)
・2級土木施工管理技士補

3 これまでの受験経歴

(1)1回目

大学在学中に受験。このときは、成績不振による留年が濃厚となっていたので、資格取得で特待生条件を満たし、ロースクールへの転学を狙えないか(年齢要件を満たせば高卒者でも出願資格審査を受けることができる。)と考えて受けた。
しかしながら、途中で退学と自衛隊入隊が確定したため、真面目に対策に取り組まなかった結果、300点中120点(合格点は180点)で不合格となった。

(2)2回目

現所属庁に移ってから再トライ。このときも、ロースクールの出願要件充足を主目的とした。
主に出勤時に一問一答アプリを周回したが、苦手意識の強かった民法の対策を中心にしたからか、174点で不合格となった。

(3)3回目

2浪目を迎え、再々トライ。受験理由はおおむね同じだが、法務部門への異動アピールを従目的とした。
2回目の教訓を踏まえ、行政法を中心に学習したところ、202点で合格となった。

4 試験対策

1回目の対策については、記憶がおぼろげなため省略する。

(1)2回目

上記のアプリを用いた。
無料アプリとしては解説もついており、充実しているが、一問一答の問題数が1300肢程度と少ないのが難点。
過去7年分の総合過去問が利用できるので、簡易的に理解度をチェックするのに適している。

(2)3回目

上記アプリのほか、主として以下の参考書を用いた。

同書は、一問一答アプリのライセンスコードが付属しているため、もっぱらこれを使用して、憲法・行政法を重点的に対策した。
これらの科目(以下「公法系」という。)は、総得点の4割強を占めるため、満点が56点の一般知識と併せて高得点を取ることができれば、民法・商法・会社法(以下「私法系」という。)が振るわなくても、合格点に近づくことができる。

また、不得手な規定に慣れるため、条文の素読を行った。
条文はe-Gov(政府の法令情報提供サイト)を利用し、.rtf形式でダウンロード。それを洋々亭様(自治体法務の実務サイト)で提供しているマクロで漢数字の算用数字化・条と見出しのゴシック体へ加工すると可読性が高まるのでおすすめ。

※算用数字変換については条の枝番(・・条の・)の一部が漢数字のままであったり、「十分」が「10分」に変換されたりすることが、ゴシック体変換については、表中の見出しが本文の見出しとしてゴシック体に処理されることがあるので、気になるなら全ページを確認した方がよい。

5 試験結果

総得点は前述のとおり202点となった。なお、記述式を除く得点率は以下のとおり。

公法系:87.5%
私法系:28.5%
一般知識:92.8%

学習時間が出勤時及び時間外の余暇、週末に限定されていたため、公法系を重点的に対策した結果、公法系は高得点であったが、私法系は3割弱と、極めて低い得点率となってしまった。

記述式については以下のとおり。
20点/60点
設問1(行政法)については主要項目を全て回答できていたため満点であったと思われるが、同2,3(民法)については、一応白紙にはしなかったものの、正答の真逆を行く解答をしたり、解答のポイントがずれていたりしたため、点を得られなかったと思われる。

また、特段記述式の対策はしていない。
理由としては、
・重点的に対策している行政法は1問出題に過ぎないので、そのために時間を割くのは非効率的であること
・過年度の出題については、行政事件訴訟法が多数を占めているので、各訴訟の類型と要件を覚えれば対応できると考えたこと
が挙げられる。

6 最後に

本試験については、学歴等の受験要件は設けられておらず、筆記試験のみであるため、法律系資格の中では難易度が低い中のひとつとされている。
とはいえ、私の事例が示すように、真面目に対策をしなければ何度も不合格になる。

しかし、ある程度の要領をつかめば、働きながらの受験でも合格できるため、挑戦してみてほしい。

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