It’s my PRIDE
私には夢がある。それはミュージカル女優になること。
現在大学3年生。学んでいるのはミュージカルとはかけ離れた学問。バレエ、ジャズ、歌を習いながら、ミュージカルの団体に所属しているが、実績も実力も周りに比べてしまえば、特にない。
周りのみんなは進路を決め始めている。学部の特性上圧倒的に多いのは公務員を目指す人。
公務員になれば生涯安定、とは言いきれないけれど、堅実な未来だろう。
特に私のゼミの担当教授はこの分野の世界では知らない人がいないような方で、私もとても尊敬している。
だからこそ、集まる学生もしっかりとした考えや人生設計を持っている人ばかり、教授もそのような未来へ導きたいと、本当のところは分からないが、思っているのだと思う。
そんな中で完全に浮いている私。進路の話になるたびに話してしまおうか、やっぱり黙っていようか、ずっとモヤモヤしていた。
でも今日、どうせいつか話さなければならないのなら今しかないというタイミングに遭遇し、とうとう、そんな素晴らしい皆様の前でカミングアウトしてしまった。
教授は学生のことを絶対に否定はしない。いつも全てを受けいれた上で自分の意見を与えてくださる。今回もそうだった。あなたはそう考えているんだねと、優しく一声かけてくれた後、話し始めたのは"これまでに自分が捨ててきたもの"の話だった。
やっぱりそうだよな。思いだけじゃどうにもならない世界。好きなことをするのは素晴らしいことだけど、「生活」を営んでいくだけの力はないといけない。
辛かった。悔しかった。涙が出そうだった。自分でもとっくにわかっていることを改めて突きつけられただけなのに。
本当に、ずっと考えていた。でも考えれば考えるほど、漠然とした夢だったのに、そのうち、人生をかけて追いかけたい夢になってしまっていた。
やりたいこと、できること、生きていくこと。
人生って本当に難しい。この3つのバランスを考えなければいけないらしい。
これを書いている今も、当たり前だけど私はまだ悩んでいる。好きって気持ちだけじゃ、ダメなのはずっと前から分かってる。だけど、もしここで"捨てて"しまったら、一生後悔することも、分かってる。
そんなことを考えた水曜一限。今日の授業はこれだけだったから、一人駅まで歩いた。
ホームで電車を待つ間、なんとなくスマホを開いた。そういえばと、私が応援している関西ジャニーズJr.、Aぇ! groupのオリジナル曲「PRIDE」が昨日YouTubeに公開されていたことを思い出し、再生した。
気づいたら、涙が溢れて溢れて止まらなくなっていた。
ど頭から今の私に突き刺さる歌詞。
だけど、天才だろうが劣等だろうが、そんなことは大概問題外、ただこのプライドだけ、それだけで十分なんだと、誰よりも、何よりも強い説得力を熱いバンドサウンドに乗せる彼らに、音でぶん殴られたような気分だった。
一つ一つの歌詞が、Aぇ! groupの覚悟を滲ませる。
Aぇ! groupの覚悟、覚悟。
私も覚悟を決める時なのかもしれない。
これまでずっと先延ばしにしていた、覚悟。
何かを手に入れるには何かを失う。そんなこと分かってる。
だから私は捨ててやる、夢を諦めた先にある未来を。
捨てたからには、もう無我夢中で生きるしかない。
やってやるしかない。
さ、今日も稽古。
私の人生、私を思うように変えていけるのは、私だけ。
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