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会計税務クラスタのキャリアについて考えてみた

はじめまして。多くのプロフェッショナルの方々が働く会社で人事を担当しております、なこです。今回、採用アドベントカレンダーにお誘いいただき、初note作成にいたります。(Casterの皆様、ありがとうございます!)

①なぜ、会計税務に関するキャリアについて書くのか?

(業務内外で関わった)会計税務に関わる方々が皆さん素敵だったので、「何か役に立ちたい…」と思ったことがきっかけです。

会計税務まわりの課題を考えてみると・・・

・監査法人や税理士法人内では、法人内でのキャリアは多く語られるが、法人から出た人のキャリアについては情報が少ない

・若手の税理士受験者の減少(税務プロフェッショナルの減少につながるという危惧)

・(監査法人や税理士法人からの転職先としては主要なキャリアの一つである)経理職も不足している(Cf.「応募すらこない」で約120票)

というような課題が思いつきました。なので、これらの課題解決に何等か役立つような記事を書ければと思っています。

②誰に向けて書くのか?

主に、

A : 会計・税務領域の採用に関わっているが、その領域について勉強中の方

B : 今後、会計・税務領域でキャリアを積んでいこうと考えている若手の方

をターゲットに記載しています。

※監査法人・税理士法人に関する話は、Big4(Big5)に在籍している又は在籍していたことのある方がヒアリングを受けてくださった方の8割以上を占めたため、その点旨ご留意ください。

③会計税務パーソンについて知る(性格・志向性編)

まずは、定性的な面の理解から。ということで、会計税務領域に強みをもつエージェント及び会計税務領域の人事担当、会計税務に携わる方々に話を聞きました。

Q. 性格はどんな方が多いですか?

A.(営業職やコンサルと比較すると)温厚で慎重な方が多いですね。(エージェント)
A.学生時代から資格取得の勉強をしてきて、ある種青春を勉強に捧げているところがあるので、少し堅い人が多いかもしれません。頭の中が税務六法で埋まっているのでしょうがないかもしれません。(税理士)
A.(他業種から転職してきましたが、)提出期限を守る、依頼したことをきっちりとやってくれる方が多いです。人事案件も法律の話になるとより興味をもってくれたりします。(人事)
A.数字が好きな人は多いんじゃないでしょうか?(経理)

豪放磊落というよりも博覧強記や晴耕雨読というような四字熟語が似合いそうで、ウェーイ系ではなさそうな、そんなイメージでしょうか。また、会計士試験・税理士試験ともに難関資格で数千時間(参照サイトにもよりますが2500~4000時間)の勉強時間が必要といわれる難関資格ですので、勉強熱心な方は多そうです。

※個人的な所感では、歴史に詳しかったり読書好きな方が多い気がします。


Q. 転職活動における特徴は何かありますか?

A.(業種よりも)自分のスキルが積めるか?に興味がある方が多いです。(エージェント)
A.安定した歴史・堅実に成長している企業の人気が特に高いです。(エージェント)
A.勢いで応募する人は少ないです。職業柄当たり前かもしれませんが、業績もしっかり見ますね。応募要件・業績を見た上で応募する(他職種と比べると)慎重な方が多い傾向です。(エージェント)

身につくスキルや経験に興味があり、求人をしっかり見て応募する、という方が多そうです。

④会計税務のキャリア・マーケットについて知る

エージェント経由の転職

会計事務所や税理士事務所でクライアントサービスに携わる方々がエージェント経由で転職する際は、事業会社(バックオフィス)へキャリアチェンジする人の割合が多いようです。大手エージェントのアドバイザーにヒアリングしたところ、直近(2019年冬)の時点では事業会社へ転職される方が6~7割とのこと。(エージェント経由のため、独立は母数に含まれません)

コンサルティングファームや、会計事務所(監査法人・税理士法人含む)への転職はエージェントを利用せずにリファーラルで入社される方も一定いるという背景のため、エージェントに相談する層は事業会社のバックオフィス志望の方が多くなるということがありそうです。

求人を出す側のニーズとしては、(求人には記載しないものの)30代半ば~後半までの方を求めるケースが多数を占めるようです。

30代半ばまでの一定経験のある会計監査税務経験者を採用しようとすると競合多数、と言い換えられそうです。

グラフ

独立

会計税務界隈のキャリア志向の特徴として、一定数、独立することを念頭においている方がいるということがあります(親を含む親族の事務所を継ぐことを含む)。独立するパターンとしては、会計and/or税務の領域で10年程度経験を積み、ランクとしてはシニアとして慣れてきた頃~マネージャー以降で独立するという方が多そうでした。

(若くしてパートナーとなり、50代で退任、事務所をかまえる・・という方もいらっしゃいましたが、大手でパートナーになること自体レアケースでしょう。)

⑤会計税務パーソンのキャリア事例

続いて、会計税務に関わる方々がどのようなキャリアを歩んでいるのか、いくつか事例を見てみましょう。(偶然、皆Sさん!)

・Sさん 会計も税務も経験されて独立というケース

監査法人でインチャージまで経験→海外赴任をモチベーションに頑張っていたがプライベートの都合で海外赴任が厳しくなり「監査で上にあがることも難しいのでは?」という思いが出てくる→TAXに転籍(独立を視野に入れだす)法人税や組織再編について経験を積む→別の会計事務所へ移る→現在独立

・Sさん(上のSさんとは別のSさんです) 20代でバックオフィスを一通り経験というケース

メガベンチャーのフロント職→起業する人がまわりに多い環境で「若手のコーポレート人材が不足している、20代でバックオフィスを一気通貫でみることができるようになりたい!」と考える→ベンチャーへ転職。(簿記2級をもっていたことがきっかけで)経理業務からコーポレート人生をスタート。労務総務も担当する。→IPO前のベンチャーへ転職し、株式実務・税務・監査対応・労務と幅広い経験を積む→ゼロからコーポレートを立ち上げる経験を積み、情報セキュリティ・資金調達まわりまで担当

・Sさん(上のお二人とは異なるSさんです)学生時代から一貫して経理のプロフェッショナルを目指すケース

学生時代から数字が好きで在学中に簿記1級まで取得→「20代で経理として一通りの経験を積みたい!」と思いまずは会計事務所で社会人をスタート→会計(決算まわり)~社保領域まで経験→IT系ベンチャーにて連結対応から経営管理・予算管理まで経験


⑥会計税務関連職種の比較

私自身は会計税務には関係のない道のりを経てきましたが、フロント職からバックオフィスへの転職は、同じ分野であっても全然違う仕事だなと感じる場面があったため、会計税務分野における、キャリアチェンジについて研究しました。

いくつかのケースについてみていきましょう!

(会社によっても異なりますので、あくまで雰囲気をつかむ意味で参考の一つとしてください)

・監査法人フロント職⇒事業会社経理職

監査法人から経理への転職では(税務を挟んでいない場合は)、税務知識は足りないと強く感じる方が多いようです。内定が出やすいキャリアパターンとしては、監査で決算や連結まわりに関する経験を積み、法人税に関する経験を積むとアプローチできる求人は多くなりそうです。(内定がたくさん出やすくなるということと、高いオファーが出る・上位職で迎え入れてもらえる・・ということは必ずしもイコールではありません。)

監査と経理

・監査法人フロント職⇒事業会社内部監査職

 経理よりも圧倒的に求人は少ないですが(経理の求人と比べると公開求人では10%に満たないくらいでした)、監査法人からの転職という意味ではGapの少な目な職種といえるかもしれません。

監査と内部監査

・税理士法人フロント職⇒FP&A

FP&Aではビジネスに関する深い理解が求められビジネス成長に寄与する・・ということが大きな違いになりそうです。経営者と直に相対するケースも多いため、ビジネスの成長率や数字の概観を即時に答える力も生きそうです。(経営者の色が強く出る部署ということも出来そうです)

※FP&AはFinancial Planning& Analysisの略。(外資によくある部門。最近内資もちらほら。)ビジネスを成長させるためのアドバイスを行うような部署。会計税務に関わり一定英語ができる(TOEIC800後半~)と、外資バックオフィスに転職する方が一定いる。

税務とFPA

フロント職とバックオフィス職の特徴をまとめると、フロント職は専門性を尖らせることにより向いていて、バックオフィス職は自社ビジネスを深く理解し関係部署や専門家をつなぐ力が必要とされる・・といった特徴があるのかな、と思いました。


⑦求人で気をつけたいこと(採用担当向け)

今までの内容を踏まえ、求人で特に気を付けたいことをまとめます。

・応募必須要件 それらの要件、本当に全部必要ですか?

 全部が全部必須要件ではない場合でも、現場から送られてきた要件をそのままに求人を掲載しているケースもあります。どの職種でも、本当の必須要件のみを必須要件に出来ていないケースは見られますが、経理職種では特に(必要以上に)ターゲットを絞る応募要件は危険です(③でも述べた通り慎重な人が多いです)。

例としては、本来の要件は「何らかの会計システムを使って、決算業務に携わったことがあり、会計について一定の知識がある人」であるのに、求人票に「必須要件:決算業務経験2年以上・クラウド会計システムを利用しての業務経験・簿記2級以上」と記載してあるようなケース。

「決算業務経験3年・SAPの会計モジュールを利用した経験有・簿財合格」という候補者は、本来の要件であれば上記求人に応募したかもしれないですが、求人票の決算業務経験年数・クラウド会計利用経験・簿記2級の何れにも該当しないため、応募を躊躇してしまいます。

このように、自ら不必要に狭めた応募要件のせいで応募数を減少させている・・といったようなことが、求人を見直してみると意外と発見できたりします。応募が来ない場合は、まず求人の対象となる業務理解、応募要件の再定義・緩和を実施したほうがよさそうです。

会社業績 気になることは最初に説明してしまいましょう!

赤字、粉飾、業績不振・・・言わずもがな、会計税務に関わる方はとても気にします。求人に補足がなければ、真っ先に応募対象外になりかねませんので、業績やバックオフィスの体制については、しっかり説明を記載する事が肝心かと思います。

・自社の魅力をしっかり打ち出す!

安定志向の方が多いため、(他職種よりも)「大手、内資外資問わず歴史ある企業、右肩あがりの成長、安定の経営基盤、東証一部上場企業」に応募が集まりやすい傾向にあります。

上記を打ち出せない場合は、どういったスキルが積めるのか?という点・専門性が高い人が社内にいるのであれば、その点を打ち出すことが重要になります。(業界よりもどのような経験ができ、どのようなキャリアを積むことができるか?が気になる人が多い傾向にある)

例:「はやい段階で連結・開示をお任せする予定です」「バックオフィスは人数が少ないため、資金調達から決算まで幅広く経験を積むことが可能です」「〇〇に詳しいマネージャーのもとで、しっかりとキャッチアップできます」

おまけ:会計税務パーソンについて知る(きっかけ編)

個人的に、数千時間の勉強が必要な資格取得に挑んだきっかけがとても気になったので、聞いてみました。

親が自営業で、経営者を支える仕事をしたいと思い、会計士を目指した。
文系だったが数字が好きで会計学科にいき、会計士や税理士を目指す人が周りに多かった。
起業を考えていた際に、マネジメント側の知識を得たいと思い、基本をひととおり学ぶ上で会計士を目指した
(当時の)現職にとどまっていては激務や会社の状況のボロボロ具合からヤバイと思い退職。(転職マーケットは今のようではなかった時代のため)公務員を目指すか資格をとるか・・という中で会計士を目指した。

終わりに:

大好きすぎて親切すぎる会計税務界隈の皆様にご協力をいただきました。本当にありがとうございます!!!文章力が大変なことになっているため、文章作成力を叩き直しつつ、今回書ききれなかった追加のnoteも作成しようと思います。(監査税務の事業部ごとのキャリア特色や、監査税務から独立・転職する前に身に着けておくべきこと、レジュメの書き方で気を付けること・・・など。)

翌日の採用アドベントカレンダー担当

ウインナー人事の西島さんです!(引き込まれる文章作成スキル・話しやすい雰囲気づくり・・・いろいろ見習いたいです・・!)

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