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人気ゲーム実況者が得ている「2つの信頼」

ビデオゲームの世界ではしばしゲーム実況者、ユーチューバーなどが「先行体験」を任される場合がある。

個人的にはこれは最高の名誉だと思う。それは彼らが「2つの信頼」を得ている筈だからだ。

①機密保持に関する信頼

先行体験はまだ発売もされていないゲームゆえ、データを先に配信者に渡すことになる(メーカー指定の場所で遊ばせる場合は例外)。
そう、この時点で仕事を依頼した側、ゲームを売る側はひとつのリスクを負う。データの漏洩、内容の漏洩、そういったものだ。厳密には配信者の事例ではないが、過去には「フォートナイト」のテスターが公式には未公開だった情報を漏洩させたとして訴えられた事例もあった。

>参考記事:『フォートナイト』テスター、ゲーム内容を流出させたとして訴えられる

ゲーム関係者ですらこういう問題が発生する世界。完全な「外部の人間」である配信者がいくら人気者であったとしても、それは「情報漏洩しない」の保証にはならない。だからこそ「任せた」事実は大きい。

②ゲームの「印象づけ」に関する信頼

ゲーム実況は「ゲームに良い印象を持ってもらう」事に必ずしも貢献しない。例えばあまりにも攻略に四苦八苦していて「難しそう」の印象が強くなりすぎると、私の様なゆるくゲームを楽しみたい人間にはハードルとなってしまう。逆に難しいゲームが好きな方ならあまりにも「ぬるい」ゲームに見えてしまったらやり甲斐を感じなくなってしまう。

また、ゲームの「仕様把握」が不十分ゆえに誤解を与える実況というのもあったりする。迷わないように行き先を示すマークが画面に表示されているのにそれを知らず、ひたすら迷い続けるなど、ゲームを快適に遊ぶために開発者が盛り込んだアイデアを無視してしまい、結果ゲームがつまらなく見えてしまう、そういった事例を私は何度も見てきた。それが大好きなゲームだった時のやるせなさは今でも覚えている。

そういった各種の問題を踏まえた上で「この人なら良い印象を与えてくれる」と認められた存在。それが先行体験者な筈だ。それは言い換えれば「ゲームプレゼンター」として評価されているという事である。

と、ここまで書いたが、私はゲーム業界内部の人間ではない。これは個人的な「理想論」である。

言い換えれば上記2点の要素を押さえずに先行体験を依頼している所があるとすれば、それは「冒険」しすぎじゃないですか?という話だ。

どっちみちゲームが発売されれば多くの見知らぬ人々に実況されてしまう(悲しきかな権利者側で制限を願い出たとしても)のだが、発売前の先行体験は大きくゲームの印象を左右するタイミングである。ここで間違ったことはすべきではない。リスクは最小限に抑えるべきだ。

低コストでゲームの宣伝したいなら、影響力のある配信者にゲームをばらまいて遊ばせまくればいい。
もちろんゲームは「遊ぶ側の自由」もある。どう感じようが俺の勝手だ。とういうのも間違いない。ネガティブな反応もあるかもしれない。
だが作る側、売る側にだって「こう見えてほしい」という理想的な「ゲームの”見え方”」がある。それを明確にし、早い段階で見せていくのはのちのち誰も彼もが実況してコントロールが効かなくなってくる可能性を考えればやっておきべき事である。

長年ゲーム実況を観てきた感覚からすれば、多くの配信者に遊んでもらう仕組みを作ると同時に「信頼のおける配信者」との関係構築を深めておくのが重要だと思う。そうしておくと、嫌味な意味ではなく「意識の高いゲームユーザー」がその配信者に集まってくることがあるからだ。少なくとも私は一例その状況に至っている事例を知っている。

ネットの世界だからこそ、「関係性」と「信頼」はますます重要になる。
当たり前の話なのだが、とどのつまりそういう結論に落ち着くのだ。

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