ジョブ型雇用人事制度のために(対話の必要性)

■対話の無い異動は時代遅れ

ジョブ型雇用だから異動がしにくいという話に違和感があるのは、そもそも異動を本人の意思だけで行なうという誤解があるのではないかと思う。

ジョブ型であろうと、メンバーシップ型であろうと本人の意思に関係なく異動させるというのは時代遅れのような気がする。

○消える会社員の宿命 大手で望まぬ転勤、廃止続々 テレワーク浸透で

2022/4/7

 コロナ禍を機に社員が働く場所を選べるようにする大手企業が相次ぐ。メルカリは昨年9月、国内で勤務地や働く場所を自由に選択できる仕組みを始めた。ヤフーは今年4月から、社員が国内のどこでも住める制度を導入。NTTはリモートワークを基本にし、社員が望まない転勤や単身赴任をなくしていく方針だ。
 若い世代は、企業の転勤をどう捉えているのか。就職情報サービス「学情」が22年3月卒の大学生や大学院生を対象にした調査では、7割が転勤のない企業への就職を希望した。転勤制度を改革した企業への人気は高まり、例えばAIG損保では新卒採用の応募が約10倍に増えたという。

https://www.nishinippon.co.jp/item/n/903370/

一方で、組織編成や事業編成の主導権は企業側・経営側にある。したがって要員配置は個々人の意向の集大成では無く、戦略的な意図のもとに行なわれる。会社側は戦略と戦略達成のための計画を提示しなければ、異動をもとっめられる個々人にとっては単なる命令になってします。

これを避けるためには、従業員と経営者の相互理解と信頼確立が必須である。

対話は必須であろう。

■対話とわがままを通すは違う

対話が必要だからと言って、わがままを通すということではない。

サッカーやラグビー、野球、オークストラでも実際にオペレーションがはじまったあとで、個人が他のメンバーの合意なしに勝手に役割を代えることはまず無い。それは職場放棄に誓い。

したがって、組織の中で異動が発生するのはオペレーションの切れ目であり、事業の一区切り(通常は会計年度)で行なわれるのが一般で、期の途中にあったとしても、それは突発的なものであろう。

ジョブ型雇用の目標の一つに、社員の「自律・自立」がある。

それは自らのキャリアを自分で作るということである。しかし、適切なキャリアあるいは自分に合ったキャリアなどは簡単に構築できるわけでは無い。上司の意見や会社の今後の期待などにも耳を傾ける必要がある。

■双方の意識改革が必要

情報の非対称という言葉がある。取引を有利に働かせるために相手の知らない情報を持つことで優位に経つという考え方だ。一方で囚人のジレンマという考え方では、相手がしたことを自分もすることで利益を最大化できるという考え方がある。いずれも、相手を出す抜こうとするドライブが前提にある。

しかし、ジョブ型雇用に限らず組織能力を高めるための施策のベースとして「信頼」を置かなければ、結果に対する最大化はできないと考える。そのためには、お互いの手札をテーブルに置くことで話し合いができるという文化を創ることが重要だと感じる。

経営者側も従業員も、できないことをよりもできるための環境作りに腐心して欲しい。そのためには素直な話し合いを続けることが重要ではないだろうか?

対立では無く相互理解に努めるように意識改革はできないのだろうか。

<閑話休題>

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