人事の問題を考える(マイクロソフトは心理的安全性の規範になりうるか)

■心理的安全性

しばらく前に「心理的安全性」が話題になったことがある。詳細は様々な書籍が出ているのでそちらに任せるとする。心理的安全性については、下記の説明が端的だろう。

「心理的安全性(psychological safety)」とは、組織の中で自分の考えや気持ちを誰に対してでも安心して発言できる状態のことです。
組織行動学を研究するエドモンドソンが1999年に提唱した心理学用語で、「チームの他のメンバーが自分の発言を拒絶したり、罰したりしないと確信できる状態」と定義しています。メンバー同士の関係性で「このチーム内では、メンバーの発言や指摘によって人間関係の悪化を招くことがないという安心感が共有されている」ことが重要なポイントです。
(https://www.recruit-ms.co.jp/glossary/dtl/0000000230/ より)

とはいえ、どのようにこうした組織ができるのか、どうやって構築するのかについては、諸物の本に教科書的には記載があるのだが、さて実践的かと言えば難しい。

何か規範となる例は無いかと考えてしまう。

■従業員に対する考え方の具現化の例

マイクロソフトの以下の二つの記事は、中々覚悟が必要な取り組みだろう。

① マイクロソフト「労働組合の結成や加入の権利を尊重する」…従業員に対する企業の責任のあり方が変化
Jun. 09, 2022

マイクロソフト(Microsoft)は労働組合と協力していくと述べ、同業他社とは異なる新たなアプローチを示した。

同社のブラッド・スミス(Brad Smith)社長が2022年6月2日にブログに投稿した記事によると、マイクロソフトは従業員が「組合を結成したり、組合に加入したりする法的権利」を有していることを理解し、尊重すると述べている。

「従業員が権利の行使を望むのであれば、我々は組合とともに創造的かつ協力的なアプローチを取ることを約束する。そしてマイクロソフトは具体的な組合結成について提案されているところだ」とスミスは述べている。

https://www.businessinsider.jp/post-255045 より

②マイクロソフト、全米の求人で給与公表へ 他社も追従か
2022/06/10

マイクロソフトは8日、来年から全米を対象とした求人で給与の幅を公表すると発表した。米国では人材獲得競争が激化しており、他の大企業も追従する可能性が高い。

社内外に出す求人が対象で、2023年1月までにすべての役職について実施する。同社が本社を置くワシントン州では同月1日、従業員15人以上の企業に対し、全ての求人で給与の幅の公表を義務付ける新法が施行される予定だ。新法の適用範囲は同州内に限られるが、マイクロソフトの新方針は全米が対象となる。

https://forbesjapan.com/articles/detail/48079 より

①について言えば、従業員の権利を守るという約束であり、対話を重視する姿勢を示している。
②については、これからの求人についての取り組みではあるが、社員がもらう給与の幅が明示されることで自身の給与の納得感が高まる。

■公平性・衡平性・透明性

心理的安全性の根幹は、社員が自分事としての最適解を自ら考え、何の躊躇もなく発信できることだ。そのためには、自分は公平に扱われているという安心感が必要だし、自分と対話してくれるという信頼感が求められる。

公平は難しくても衡平は努力すればできる。そのためには、様々なことをオープンにすることが必要だ。これを行なうのは経営の責任である。マイクロソフトの取り組みは参考になるとおもう。

<閑話休題>

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