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世間に転がる意味不明:かけ声だけでDX化が進むわけではない(デジタル庁の不遜)

■OKY(お前ここにきてやってみろ)

あまり流通している言葉ではないのだろうが、海外の事業所に対して日本の本社担当者が「なんでできないんだ」と叱責する場面で、「切れて」発する言葉の代表的なものである。

どんなものでもそうだが、十分な準備(経営資源投入も含めて)できていなければ、現場は「手ぶらで戦場に向かう」様なものである。それを象徴するのは以下のニュースだろうか?

○2年後に「全国自治体行政大パニック」発生!?デジタル田園都市構想に“ばら撒き”批判
2023.4.26

約1700市町村のシステムを、2025年にクラウド対応に切り替える、壮大な計画が現在進められている。だが本来の目的だった「システム運用のコストを3割削減」が実現できそうにない自治体が相次ぐ。また、「計画を延期しないと、自治体行政が25年に全国でパニックに陥る可能性もある」との声も。さらに、これとは別に進んでいる内閣官房が音頭を取るデジタル田園都市国家構想にも、ばらまきの批判が集まる。

https://diamond.jp/articles/-/321280

プロセスの構成要素は、知識と技術と人あると言われている。
知識無き技術は「偶然の支配された未来」しか生まず、技術無き人は、アウトプットの不確実性しか生まない。

しかし、その前提である経営資源の供給がなければ実現はできない。

○デジタル化、地方の乱 「補助も時間も足りない」 行財政基盤、国と統一
2023/11/29

 岸田文雄政権が力を入れるデジタル行財政改革をめぐり、国と地方の不協和音が強まっている。改革の肝となる国と地方のデジタル基盤の統一・共通化に関し、自治体側の不満が噴出しているためだ。

 「現在の補助上限額では到底、移行経費全体をまかなうことができない」「安全に移行するために十分な期間とは言い難い」

https://mainichi.jp/articles/20231129/ddm/008/010/071000c

■技術者不足を解消してあげなければならない

デジタル庁の資料をみれば、その方向性は間違っていない。

○地方公共団体情報システム標準化基本方針の概要(令和4年10月閣議決定)

【標準化基準に関する基本的な事項】
・共通標準化基準に関する基本的な事項(データ要件・連携要件、セキュリティ、ガバメントクラウドの利用、共通機能)
・標準化基準の策定に関する基本的な事項(標準化基準の策定・変更方針、適合性の確認、検討体制)

https://www.digital.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/c58162cb-92e5-4a43-9ad5-095b7c45100c/4117d060/20230908_policies_local_governments_outline_04.pdf

しかし、こうした事項を推進するためには専門家が必要である。災害復旧時に建築ド簿君専門家がいなければ業務を進められないのと同じ理由である。

専門家の不在は、いくらデジタル庁で旗を振ろうが実務が行なわれることはない。
デジタル庁にITサービスグループ技術者が集められ活動していることは、そんなに悪くはないし資料も優れたものである・

○地方公共団体の基幹業務システムの標準仕様における業務フローについて
令和3年1月 加筆修正:令和3年9月22日

 業務フローは、次の点を踏まえ、BPMNで作成する。
(1)BPMNの作成方法は、「地方公共団体の情報システム調達における機能要件の表記方法利用ガイド(平成27年3月J-LIS)」を基準とすること。
(2) BPMNは、「事務」単位に「分析レベル」で記載すること。

https://www.digital.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/c58162cb-92e5-4a43-9ad5-095b7c45100c/20210930_local_governments_02.pdf

断言しても良い。
既存の市区町村、県レベルの行政に携わる人々でこの言葉を理解できる人は皆無であろう。
専門用語が分からない以上、外注もできないだろう。
せいぜい、ITサービスグループ事業者のいいなりになるだけである。

■自らの仕事を放棄するなかれ

「稼いでこいと云って稼いでこれるならアイツ(社長)なんか要らない」という声を聞いたのは何年も前の従業員に対するインタビュー時であった。当然、報告書に載せられる話でもなく、秘匿したが結構びっくりした。

経営者は、社員がその能力が発揮できるように環境を整えることが仕事であるし、経営資源(ヒトモノカネ、ナレッジなど)が足りなければ調達しなければならない。

下記の記事を見ると暗澹たる気持ちになる。

○日本の生産性を下げる「目視点検」などの規制を撤廃へ--デジタル庁が代替手段を募集
2024年01月11日

 デジタル庁は1月11日、日本の法令のアナログ的な規制、いわゆる「アナログ規制」の見直しに向けて、ヒトによる「目視」や「見張り」を代替するデジタル製品やサービスの募集を開始していると発表した。

https://japan.cnet.com/article/35213758/

自ら調べることや考えることを放棄しているとか思えない。
背景に不遜があるのであれば改めて欲しい。

(2024/01/26)

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