見出し画像

人間系の問題は再発防止が可能なのか

■法令順守は当然こととして

珍しいなという記事を見た。

〇NEC、建設業許可を自主廃業--欠格要件に該当で対処
2022-09-29

NECは9月29日、同社社員の1人が建設業許可の欠格要件に該当することが判明したとして、建設業許可を自主廃業すると発表した。再発防止策を講じた上で、速やかに建設業許可を再申請するとしている。

同社によると、建設業法施行令の第3条に規定する使用人となっていた社員が建設業法の第8条第1項8号の欠格要件に該当することが1日に分かった。当該社員は同社にその事実の報告を怠っていたという。同社は2日と5日に当局へ報告するとともに、社内で検討した結果、今回の事案が重大であるとして建設業許可の自主的な廃業を決定。29日に当局へ建設業許可の廃業届を提出し、受理されたことを明らかにした。

https://japan.zdnet.com/article/35193933/

NECがどう対応したかはわかるのだが、なぜなのかがよくわからないと思い記事を検索していたら、何とか見つかった。

〇NEC、建設業を自主廃業 社員が欠格要件に該当
2022年9月29日

NECは29日、建設業許可の廃業を届け出て受理されたと発表した。営業拠点の責任者である社員1人が刑事罰を受けた後もその業務を続けたことが、建設業許可の欠格要件に該当する。再取得まで建設工事の営業ができない。再発防止策をつくって建設業許可を再申請する。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC2995T0Z20C22A9000000/

しかし「刑事罰」を受けると何が問題なのだろう。
これは「建設業法第8条「欠格要件」解説」に下記がある。

第八条 国土交通大臣又は都道府県知事は、許可を受けようとする者が次の各号のいずれか(許可の更新を受けようとする者にあつては、第一号又は第七号から第十三号までのいずれか)に該当するとき、又は許可申請書若しくはその添付書類中に重要な事項について虚偽の記載があり、若しくは重要な事実の記載が欠けているときは、許可をしてはならない。

七 禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなつた日から五年を経過しない者

https://gyousei-meinan-kensetsu.com/%E6%9D%A1%E6%96%87%E8%A7%A3%E8%AA%AC/684/

■なぜわかったのか、なぜわからなかったのか

ことの経緯はわかったものの、いくつかの疑問がわく。

くだんの人物の刑事罰が在籍中のことであれば、人事部が知らないはずはない。仮に知っていたとして、個人情報ということで他部署に知らせていないとしたら、現場では知らずに業務にあたらせていたことが考えられる。これはとても難しい問題だ。すでに刑事罰を受け罪を償っていたとしたら、それを社内に広めることは望ましくない。一方で、人事部が建設業法まで熟知しなければならないということも過負荷につながる。

一方で、刑事罰を受けた後で途中入社をして、意図して賞罰に記載していないとしたら雇用契約の無効にあたる。とはいえ、事前にこれを調査するというのは昔ならいざ知らず、現在はプライバシーの侵害に当たる恐れもあり難しい。特に「家族関係」は業務に関係ないのであるのだから。

■再発防止の難しさ

こうしたきわめて個人的な情報の取り扱いは難しい。かつて人事部の人間に聞いた時、「前科」があるからと言って差別はできない。ただし、「お金」を扱う仕事にはつけることはできないと言っていた気がする。

今回の事件が、みなが善意で行動しており、単に無知が背景だとしたら再発防止は難しい。なぜなら、解決策は「皆がこうした法律に熟知すること」になるからだ。それはどこかで穴が開く。

それこそAIが必要になるかもしれない。
「コンプライアンス・ロボ」かな?

<閑話休題>

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?