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世間に転がる意味不明:一人一人の無自覚が致命的になる(ダイハツの不正問題)

「これくらいいいだろう」という気持ちがある以上、きっとこれからもどこかで不正問題は出てくるのだろう。

■驚くニュース

○ダイハツ 新たに174件の不正 全車種出荷停止 社長が会見で陳謝
2023年12月20日

自動車メーカーのダイハツ工業は、国の認証取得の不正問題で新たに174件の不正が見つかったと発表し、国内外のすべての車種で出荷の停止を決めました。一連の不正について、奥平総一郎社長は記者会見で「お客様の信頼を裏切ることとなりおわび申し上げます」と述べて陳謝しました。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231220/k10014293451000.html

こうした不正は1990年代から行なわれており、30年以上続いていたという報道がある、
この記事の中で原因を

「不正が発生した大きな原因は、過度にタイトで硬直的な開発スケジュールの中で車両の開発が行われ、『認証試験は合格して当たり前』という強烈なプレッシャーがあったことだ。認証試験を軽視していたと言わざるをえない。まずもって責められるべきは現場の従業員ではなく経営幹部であると考える」

とあるが、こうした文言は常套句になっている。
そして再発防止策は
・組織風土の改革
・管理強化
・周知徹底と教育
というお決まりのコースを取る。

■繰り返された不正事件

思い出せるものを列記してみよう。

○日野自動車、エンジン不正で燃費補償 20万台対象
2023年10月3日

日野自動車は3日、トラックなどに使うエンジンの燃費試験で不正をした問題で、顧客への補償を始めたと発表した。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC039O80T01C23A0000000/

○VWなどの排ガス不正問題、独最高裁が補償義務ありと判断
2023年6月27日

ドイツの最高裁は26日、自動車大手フォルクスワーゲン(VW)とメルセデス・ベンツの排ガス規制逃れ問題で、自動車オーナーに補償金を支払う義務があるとする判決を下した。

https://jp.reuters.com/article/idUSKBN2YD01D/

○スズキ車で排ガス試験不正疑惑、独など欧州3カ国が捜査
2022年4月27日

欧州司法機構によると、検査時に排ガスの有害物質の量がEU基準を満たしているようにする装置がイタリアで製造されたディーゼルエンジンに設置され、そのエンジンはハンガリーの組立工場で使われた。

https://jp.reuters.com/article/idUSKCN2MJ0SC/

偽装問題は他の業種でもある。

○東洋ゴムに激震 免震ゴム偽装問題
2015年6月24日

東洋ゴム工業の免震ゴム性能偽装問題は、山本卓司社長ら代表取締役3人を含む生え抜きの取締役5人全員が引責辞任する事態に発展した。同社の主力は自動車用タイヤの生産・販売で、建物を地震の揺れから守る免震ゴムは経営多角化の一環で生まれた事業だ。同社をめぐっては、学校などで使う断熱パネルの耐火性能を偽装したことが2007年に問題となり、当時の社長が引責辞任している。2つの偽装は同じ構図との指摘もあり、教訓は生きなかった形だ

https://www.nikkei.com/article/DGXZZO88412840T20C15A6000000/

■なぜ不正が繰り返されるのか

「いつまでも不正問題が無くならないのはなぜか」とChatGTPに聞いてみた。

不正問題がいつまでも無くならない理由は多岐にわたります。以下はその一部です:

人間の行動の多様性:
不正行為は、個々の人間の行動や判断に起因しています。人々は異なるバックグラウンド、価値観、動機を持っており、それが不正行為を引き起こす可能性を高めています。

組織文化と指導者の影響:
組織の文化や指導者の姿勢は、不正行為の頻発に影響を与えます。組織が倫理的な行動を重視し、トップダウンで正しい方針を示す場合は、不正の発生が減少する傾向がありますが、逆に組織が不正を容認する文化を持っている場合は、問題が根深くなることがあります。

経済的な誘因:
利益追求や競争の激化が、企業や個人が不正行為に手を染める誘因となることがあります。業績目標の達成や市場シェアの拡大を優先するあまり、不正が許容されることがあるためです。

技術の進化と規制の遅れ:
技術の進化により、新たな不正の手段が生まれることがあります。同時に、規制は技術の進歩に追いつくのが難しく、不正が発覚するまでに時間がかかることがあります。

倫理的な教育の不足:
不正行為の根本的な原因は、時には倫理的な教育の不足にあることがあります。倫理的な判断力や責任感を養う教育が不足していると、個人や組織が不正に陥りやすくなります。

これらの要因は複雑に絡み合っており、不正問題を完全になくすことは難しい課題です。しかし、法規制の強化や倫理的な教育の普及、企業文化の改善などが進むことで、不正行為の発生頻度を減少させる努力がなされています。

(ここまで)

ここに記載されているのは不正が発生するときのが相手機要因である。
これは一面では正しいが、根源的にはもっと違うところにある。
それは人間が持つ内面的な性癖である。

■性善説・性悪説ではなく

よく人間の行動を性善説・性悪説で捉えることがある。しかし、別の味方もある。すなわち、「人間の弱さ」「怠惰に向かう欲望」である。

最近のニュースで言えばビッグモーター事件がある。組織ぐるみの事件ではあるが、実際の行動は一人一人の行動である。それは

・言われたことに唯々諾々と従う方が楽である
・これぐらいやってもたいしたことではない

という気持ちが悪事を働くことブレーキをかけられないことを理解すべきである。
したがって、「ヒト」が関わる以上は不正は避けられないという前提で組織のメカニズムを考えなければならない。

そして、「倫理教育」は第三者を介入させて継続して行なわなければならない。

おそらく多くに企業はこうした取り組みには消極的であろう。
きっと不正はなくならない。

伊達に「七つの大罪」という言葉が残っているわけではない。

(2023/12/21)

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