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世間に転がる意味不明:郵政をゆでガエルと揶揄できるのか(状況が変わらない中での郵便料金の値上げと十倉会長の無責任発言)

■なにげなニュース

○「壮大な社会実験が成功」 北総鉄道、値下げで利用者15%増
2023/12/2

 北総鉄道(本社・千葉県鎌ケ谷市)北総線の輸送人員が2022年10月の運賃値下げから1年間で約15%増加の見込みであることが同社への取材で判明した。大幅に値下げされた通学定期の利用者が3割程度増えたとみられる。運賃の値下げと新型コロナウイルスからの回復が輸送人員の増加につながった。

https://mainichi.jp/articles/20231201/k00/00m/020/468000c

これと対比して下記のニュースも見て欲しい。

○郵便料金値上げへ 定形封書110円・はがき85円
2023年12月18日

背景には郵便事業の厳しい状況がある。22年度の郵便事業の営業損益は211億円の赤字で、07年の郵政民営化後、初めて赤字になった。

郵便物数はピークの01年度の262億通から、22年度に45%減の144億通まで減った。総務省は28年度にはさらに20%減り115億通になると見込む。

総務省は今回の25グラム以下の封書の価格見直しについて「25年度の黒字を達成できる最小限の上げ幅にした」と説明している。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA180FG0Y3A211C2000000/

■目指すもの

北総鉄道の目指すものは「利用者数の増加」である。この障害が運賃であるならば、そこに手を着けるという難しい判断をして、一定の成果が出ている。このまま旨く行くかは別としても、施策の有効性の議論ができる土台ができあがった。

この後は、駅周辺の開発による魅力のアップや地域の交通機関との連携なども視野に入るだろう。地域の都市計画、企業誘致などトも組み合わせることも考えて欲しい。

(参考)
東上線・宇都宮LRT「ホンダと公共交通」意外な関係
自動車製造・研究拠点へ利用は進んでいるのか
2023/12/14
https://toyokeizai.net/articles/-/721206

一方で日本郵政の記事を見ると、その目的はコストアップの吸収と黒字化である。
しかし、赤字かどうかは収益からコストを引いた値になる。前提として収益が一定程度あることが求められる。

しかし、すでに指摘されているとおり、企業活動あるいは個人の生活でも「郵便」が登場する場面は激減している。企業は書類のやりとりはメール・PDF。電子印鑑などを活用しデジタル化を推し進めている。荷物の受け渡しなどは民間の宅配業者が優勢であり、そこでさばききれない、あるいは利益が見込めない事業だけが郵政で担うのは「ネコポス」事件でも明らかであろう。

稼ぎ頭であろう年賀状も衰退の兆しがあり、唯一行政や半官半民がいまだに上に縛られており、来れも減少傾向に行くであろう。

すなわち 売上 = 単価 × 利用者数 であるならば、単価を上げてもそれをカバーできる利用者がいなければビジネスモデルは成り立たない。

■こんな状況は予想できたはずである

郵便に関するニーズが減り続けていることは急にはじまったことではなく、以前からの趨勢である。そもそも、紙という媒体の衰退は、週刊誌の廃刊、新聞購読数の減少などで明らかであり、「紙を異動させる」という概念自体が時代遅れになってしまった。ファックスでさえビジネスの最前線から撤退しているだろう。

こうした趨勢が読めるはずなのに読まないというのはどう考えればいいのだろう。
単にゆでガエルなのか、鈍感なのか。経営者がいい加減だと廻りが困ってしまう。

○博覧会協会トップ十倉会長が運営費増に「予想できなかったのは申し訳ない」
2023/12/14

「この変化が激しい時代に、今の事態を予想できなかったのは誠に申し訳ないと思うが、5~6年前を思い浮かべると、今のように人手不足がこれほど激しくなるとは、ここまでとはなかなか予想しにくい面があった。」

https://www.mbs.jp/news/kansainews/20231214/GE00054241.shtml

5,6年前に難しくとも、昨年来からは予想できたはずであり、軌道修正は経営トップの責任だ。それができないなら退場して欲しい。

ゆでガエル以前の話である。

(2023/12/19)

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