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60歳からの生き方(定年延長は福音となり得るのか)

■働き方改革の余波

昨年あたりから定年延長の話題がニュースとして取り上げられることとなった。いわゆる働き方改革にともなう法律がいろいろ強化されていることも関連する。

○ノジマやYKKは定年撤廃 シニアの戦力化が企業にもたらす恩恵とは?
2022年07月28日

6月24日、時事通信は「4社に1社が導入済み『70歳まで雇用』の努力義務―厚労省集計」と題した記事を報じました。21年4月に施行された改正高年齢者雇用安定法により、会社が70歳まで社員の就業機会を確保することが努力義務になったことを受け、実際に措置を講じた会社が25.6%だったとのことです。

記事では、70歳までの就業機会確保措置が「一定程度実施されている」と評価する厚生労働省のコメントを紹介しています。確かに、65歳までの雇用安定措置については法律上義務化されているものの、70歳までの就業機会確保措置はあくまで努力義務に留まるにも関わらず4分の1強で行われているというのは、それだけシニア層の活躍促進に前向きな会社が存在していることを意味すると言えます。

https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2207/28/news045.html

法律上の圧力があるにしても企業にとって人材不足は現実の問題であり、一定の労働力の確保が必要だろう。しかし、単に「定年撤廃」は働く人たちの福音になり得るのか。

■50歳代の人にとって

30歳代から意識的な準備をしてこない限り転職という選択肢を選ぶことはまず無い。
 50歳になると役職から外されることもあるし、場合によってはリストラされるリスクもあるのだが、会社という居心地の良い環境から抜け出せない人々は多い。
 そうした人にとっては「定年延長」や「定年廃止」は安心材料になるだろう。
 もしそうなら、給料が下がることに愚痴を言ってはならない。給与体系が老人に有利にするべき理由はない。

■30歳代の人にとって

これから数十年、自分自身が人生の主導権を握る。その時に、他者に依存する割合を一定程度低くしないと自由を手放すことになる。お金(給与)は制約条件になり得るが、そのためだけに人生を捧げる必要は無い。
 そうした考えで働いている人にとって数十年先の「定年」などは眼中にない。
 ただし、否定はしない。それが魅力的だと思うのならそれも選択肢だ。
 22歳で入社して50年近く会社に縛り付けられる人生を選ぶことに憧れはない。それを選ぶのは貴方自身だ。

■経営層にとって

少子高齢化は確実に進んでいる。すでに若年層の労働力総数は減少しており、このままで行けばどこの会社も「老人」の会社になる。
 定年延長も悪くはないが、まずは「若者」にとって魅力のある会社にしなければならない。
 賃金体系も今までのように年功序列では納得されないだろう。
 若いと言うだけで付加価値があるのだから、今の初任給に「若さ手当」ぐらい欲しい。
 若い内は賃金が低いのは納得しているなんて勘違いしない方が良い。

○「折角育てたのに」と会社は嘆くばかりで離職の本質を見ようとしない
2022/08/02

「会社は、新卒入社した子達が退職したことを、重く受け止めていない。原因を追求して、改善しない限り、同じことを繰り返すだろう」
私や同僚も「給料が少ない」と不満を抱いていた。私の場合は、一般職で入社したから低収入なのか、と半ば諦めていた。だが、人によっては、退職する第一の理由に値する要因だと知った。

https://mirror.asahi.com/article/14673791

■60歳を目前にした人、越えた人

突然都合の良いように道が開けるはずはない。今まで真摯に積み上げてきたものが無い限り道は開けない。そうでなければ余程の幸運が必要だ。
 未来は誰にも分からない。だとしてもまずは踏み出すことだろう。
 定年延長で一喜一憂する人にかける言葉はない。

<閑話休題>

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