置き去りにされる弱者(機能しない下請法)

■平等でない世界

公正取引委員会のホームページには下記の記載がある。

優越的地位の濫用及び下請法の概要
1 優越的地位の濫用とは
優越的地位の濫用とは,自己の取引上の地位が相手方に優越している一方の当事者が,取引の相手方に対し,その地位を利用して,正常な商慣習に照らし不当に不利益を与える行為のことです。この行為は,独占禁止法により,不公正な取引方法の一類型として禁止されています。

2 下請法とは
下請法は,下請代金の支払遅延等を防止することにより,親事業者の下請事業者に対する取引を公正にし,下請事業者の利益を保護するために制定された法律であり,適用対象を明確にし,違反行為の類型を具体的に法定したことが特徴です。

例えば,下請事業者に責任がないのに,親事業者が発注後に下請代金の額を減じることや,下請事業者からの請求書が提出されないことを理由に,下請代金の支払日を遅らせることが禁止されています。

(https://www.jftc.go.jp/shitauke/kousyukai/gaiyou.html より)

本来は、仕事を依頼する側も依頼される側も平等でなければならないのだが、これがそうなっていない上に、法律も十分とは言えない。

○コンビニFC店主の請求認めず 「団交権ある労働者」との訴えに判決
2022年6月6日

セブン―イレブン・ジャパンのフランチャイズ(FC)店主らが本部との団体交渉権を持つ「労働者」にあたるかが争われた訴訟で、東京地裁は6日、労働者と認めなかった中央労働委員会の命令を是認し、命令の取り消しを求めた店主らの請求を棄却する判決を言い渡した。布施雄士裁判長は「(店主らには)独立した事業者と評価できる裁量がある」と述べた。

https://www.asahi.com/articles/ASQ6573XXQ63UTIL03S.html より

法律上の解釈ではなく、実態として平等でない状態が発生していることへの提言がなければ解決にはつながらないだろう。

■弱者の声は届くのか

同じような立場では、フリーランスも十分保護されているとは言えない。ウーバーイーツを巡るいろいろな報道は、個人事業主という名のもとでリスクだけ負わされていることがうかがえる。

では、契約で守られているかと言えばそうでもないようだ。

○「フリーランス」の響きはいいけれど……驚くべき“脱法契約”の実態
2022年06月10日

メリットとデメリットは表裏一体。企業側にとってのメリットである「労働関連の法律の適用を受けない」とは、フリーランスにとっては「法律に守ってもらえない」ということでもある。

働く側がメリット・デメリット双方を理解し、企業側が適正に運用していれば、世の中全体としてもメリットの大きい業務委託形式。それでも、弁護士など専門家から懸念の声が挙がるのは「適正に運用しない企業」があるからに他ならない。

悪意ある企業は、「法律の規制と社会保障負担を免れる」という企業側だけにメリットのある部分だけをつまみ食いし、一方で正当な報酬を支払わず、いわば「自社の下請」として使いつぶそうとする。まさに制度の悪用なのだが、残念なことに、働く側も法律を詳しく知らないため、悪意ある企業の言うなりになってしまうという不幸なケースも散見される。

https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2206/10/news006.html

仕事をもらう側の余話mにつけ込む悪意ある企業が存在し、これを是正する機構が行政にないならば弱者は常に搾取される。いわゆる「ユニオン」が必要な理由もここにある。

しかし、抗したユニオンがなく救われない人々もいる。世界からは非難される、「技能実習制度」という「奴隷制度」がこれに当たる。メディアも下記の記事をもっと取り上げて欲しい。

○「技能実習生の人権守れ」 制度廃止訴え、東京でデモ
2022/6/12

技能実習生への人権侵害が後を絶たないとして、NPO法人「移住者と連帯する全国ネットワーク」(移住連)などは12日、東京・上野で制度廃止を求めるデモを実施した。約200人が集まり「外国人労働者に権利を」と声を上げ行進。今夏の参院選を前に、政府に対し実習生としてではなく移民として受け入れる新制度の創設を訴えた。

https://nordot.app/908641032871428096

弱者を見捨てることで成り立つ経営に意味はあるのかを考えて欲しい。

<閑話休題>

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?