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人材は消耗品ではない(可能性という報酬)

人材は消耗品ではない(可能性という報酬)

■人材不足はいつからだろう

バブル真っ盛りの頃。1980年代。まだそれほど外食産業が発達せず、やっとマクドナルドやコンビニが登場した頃、時給があっという間に1200円、1500円となり、バイトの争奪戦が起きていた頃を思い出すと、臨時の人手は常に足りていなかったのではないだろうか。

それは今でも同じで、一般企業が人手不足を嘆くとはまた異なった趣で現場を悩ませている。

○飲食店の約7割が「人手不足」を実感。「賃上げしても効果なし」の声も
2022年07月11日

賃金を上げた方に、その効果をうかがったところ、「従業員の士気が上がったと感じる(28.9%)」、「求人への応募数が増えた(17.1%)」、「離職者が減った(14.4%)」など一定の効果を得られた店舗がある一方、約4割が「特に効果はみられていない(42.8%)」と回答した。

https://www.inshokuten.com/foodist/article/6545/

■需給バランスの崩れ

アルバイトやパートなどが末端の経済活動を支えていると言う事実は無視できない。
 学生にとっては、隙間時間でできる、あるいは放課後にできるアルバイトはありがたいだろう。インターンよろしく社会勉強のために正社員と同じように働く機会を与えられることも多い。

私が学生の頃は、まだコンビニなどはなく、家庭教師や、肉体労働的な限られた職種しかなかった。ここ最近では、コンビニや飲食チェーン店、などの飲食から、昔から在る家庭教師など多様な職種に広がっている。

かつては先輩の口コミであったが今ではどうだろう。
 インターネットを介した紹介サイトが普及していると聞く。
 簡単に募集をかけ、簡単に応募できるというのはお互いの選択肢が増えるということで有り、人材採用という面では、良い意味では「流動化・柔軟性」、悪い意味では「不安定・偏在化」を引き起こす。

これに加え、少子高齢化は。こうした現場に働く人々の需給バランスをゆがめる。

■非正規社員の苦悩

安定した人的資源の維持と安定のためには、正規社員の確保が望ましいが、ほとんどの企業は非正規社員の比率を増やしている。

非正規社員の問題は、大きくは以下が挙げられる。
(1)同じ仕事をしているのに正社員より報酬が少ない
(2)雇用期間が保証されていないので容易に職を失う

(1)については官民とも是正の方向に動いている。ただし、そのあゆみは遅く時間がかかるだろう。制度的なことだけでなく働く人が「非正規社員」への差別を辞めないといけない。

(2)も下請法の整備などで是正の方向に動いてはいるが企業は巧妙なやり口で、いわゆる「雇い止め」をしている。これも企業側のご都合主義を是正しないと中々前に進まない。正社員であっても油断できない.バブル崩壊後、「リストラ」の名のもとで、最近では特に40代以降の首筋が寒くなっている。

■報酬に求めるモノ

こうした不安定さを解消するために企業側が簡単に用意できるモノが「報酬」だろう。ただし、それは時給(最低賃金をクリアすることは当然として)ではない。
 人材マネジメントを議論している中で、モチベーションの3要素は以下であることが知られている。
(1)ふさわしい仕事(仕事にやりがいが見いだせる)
(2)ふさわしい環境(経営資源が用意され、ふさわしいチームで仕事をする)
(3)ふさわしい報酬(賞賛も含む)
こうした要素の裏側には、「成長の可能性」が含まれている。
 それを支えるモノとして、「経験」「知識」「技術」の獲得があり、付随して「人脈」や「学習の機会」なども在るだろう。

こうしたことを提示することで安定した人材獲得をしている企業を知っている。学生のアルバイトは毎年一定人数の安定供給が見込まれる。彼らから「選ばれる」為の施策が必要である。

パート・非正規社員や中途採用で人材をまかなっている企業も気をつけた方が良い。人材を消耗品と考えている企業はいつか優秀な人材から見放される。

<閑話休題>

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