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心に響かない企業理念(日野自動車の改革案)

■本気の改革案なのだろうか

日野自動車の不正の問題は、会社の規模が大きすぎて、会社としては避難をされるべきであろうが会社の存続を脅かすかと言えばそうはならない気がする。

とはいえ、けじめもあるのだろう。一言で言えば「内部統制に確立」と「組織改革」と言う言葉に集約されているようだ。

○2022.10.07 認証不正問題への対応について
https://www.hino.co.jp/corp/news/assets/af7c4274994306e745b7cfd58dd611df_1.pdf

公式の報告書なので、良くも悪くも一般的である。
 同時に、下記のドキュメントも公表している。

二度と不正を起こさないための「3つの改革」 2022年10月7日 日野自動車株式会社
https://www.hino.co.jp/corp/news/assets/5a9b911ed458dd23f1b6f26fce7a7c73.pdf

この中で、「3つの改革」の改革として下記を挙げている。

❶「人財尊重」と「正しい仕事」を実践する経営改革
❷「人財尊重」を中心に据えた組織風土変革
❸ 新しい「日野のクルマづくり」のための構造改革

正直間違っている。こうしたことを今まで行なって来ていないのであれば、いきなり宣言したからと行ってできるものでもない。そもそも出発点が間違っている。例えば、この資料のP4に「2経営としての受け止め」として

経営が現場に寄り添えず、法令順守や健全な企業風土の醸成がおろそかに

とあるが、そうではない。経営が「業績優先」という価値観を前面に出しており、社員や現場がそれに寄り添っていたと考えるべきだ。

下記の記事も尊重して欲しい。

○品質不正「業績優先が原因」 三菱電機なども、民間調査
2022年10月22日
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC2018N0Q2A920C2000000/

■簡単には変えられない組織文化

名だたる企業の不正がとどまる気配がない。

○三菱電機が品質不正の調査を終了、総数197件に上り柵山前会長も課長時代に関与
2022年10月21日

調査委員会の最終報告書では、国内従業員の約93%に当たる5万5302人からのアンケート結果と、同委員会への個別の情報提供やヒアリングによる新たな申告から合計2362件の要調査事項を抽出し、17製作所で197件の品質不適切行為を確認した(静岡製作所、群馬製作所、京都製作所、産業メカトロニクス製作所、高周波光デバイス製作所の5製作所では確認されず)。第4報で新たに報告があったのは、伊丹製作所が10件、長崎製作所が3件、コミュニケーション・ネットワーク製作所が2件、電力システム製作所が1件、系統変電システム製作所が4件、稲沢製作所が2件、通信機製作所が2件、中津川製作所が3件、名古屋製作所が1件、姫路製作所が33件、三田製作所が9件の合計70件となる。

https://monoist.itmedia.co.jp/mn/articles/2210/21/news064.html

この中で、ガバナンスについて下記の記載がある。

三菱電機は2022年10月20日、東京都内とオンラインで会見を開き、2021年6月末に判明した一連の不適切検査に関する調査報告書の第4報と、同年10月に設置したガバナンスレビュー委員会による執行役/取締役の経営上の責任とガバナンス体制・内部統制システム全般の検証の結果を説明するとともに、再発防止に向けた「品質風土」「組織風土」「ガバナンス」から成る3つの改革をどのように進めていくについて報告した。

○当社における品質不適切行為に関する原因究明及び再発防止等について(総括)

(1) 調査委員会調査報告書に記載された事案の総括
調査委員会による当社全 22 製作所等の調査から判明した事案 197 件は、以下のように類型化されました。
①故意による不適切行為:合計 112 件。うち 62 件で管理職が関与。顧客との契約逸脱が大半を占めており、また特定の事業本部にて顕著に見られています。
②過失による不適切行為:合計 85 件。うち 10 件が法令違反の可能性があるもの。法令や規格に対する知識不足等を背景とした手順確認不足で、多くの製作所にて共通的に見られたものです

https://www.mitsubishielectric.co.jp/news/2022/pdf/1020-a1.pdf

「三菱」という名前で思い出されるのは「リコール隠し」でグループ全体に隠蔽体質は相変わらず変わっておらず、組織風土の開花右派そう簡単ではないことを思い知らされる。

■会社の言葉に社員は従う

日野自動車の理念のページには以下の言葉が踊る。

会社の使命
人、そして物の移動を支え、豊かで住みよい世界と未来に貢献する

しかし、どこかの企業のように「稼ぐやつが一番偉い」という社長のメッセージが出ればそれを優先するのは当然だろう。こうした会社の使命はきれい事ではなく、具体的なビジョンに展開できなければならないし、本当に大切だというのであれば日常にこの言葉を出現させなければならない。

「儲けより会社の使命!」という標語を、あらゆる所に張り出さなければ理念の浸透などは夢の又夢。

改革を叫んだからと行って改革ができるわけではない。

<閑話休題>

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