振り返らない人々(振り返りを行なわない安倍政権を評価できない理由)

■PDCAは万能ではないが有効である

ISO9001:2015という国際規格がある。基本の考え方は、組織の課題に対し計画を立て、それを実行し、評価し、振り替え中で改善してゆくというものである。

計画を立てるときには、適切に実行すれば結果が確実なものではなく、
①努力をしなければ実行そのものが難しいこと
②実行したからと言ってけっけが確実でないこと
③実行と結果の結びつきは仮説に基づくこと
④結果が意図したものであることの評価指標を設定すること
などが必要になる。
そうでないと、結果を自分の都合の良いように解釈して、改善に結びつかないからである。

先日、テレビ番組で著名な評論家が、「アベニミクスの成果として失業率が下がった」とう話を聞いて呆れた。失業率は定義の仕方で変動するし、そもそも極端な振れ方はしない。政策の結果とは言えないし、またそもそもアベノミクスの目標値も示されていない。ご都合主義である。

そうしたことを考えると、何でもかんでもPDCAではないが一定の有効性(これを無視するのは良くないという意味)は見られる。

■東京オリンピックの評価もされない

今朝(2022/06/22)のニュースを見ていて驚いた。

○東京五輪・パラ 開催経費は1兆4530億円 予算を下回る見通し
2021年12月22日

東京大会の予算は、去年12月に公表された段階で総額1兆6440億円に上り、組織委員会と東京都、国の3者が分担することになっていました。

その後、東京大会はほとんどの会場で無観客での開催となり、観客に対する新型コロナ対策費や警備や輸送にかかる費用などが少なくなったことや、大会の簡素化や契約の見直しなども進めた結果、現時点での開催経費の総額は1兆4530億円と、予算をおよそ2000億円下回る見通しになりました。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211222/k10013398611000.html

そもそも、招致時の予算は7340億円だった。

「東京の招致委員会が2013年にIOC=国際オリンピック委員会に提出した「立候補ファイル」では、大会の予算は当時の段階で7340億円とされていました。」(上記記事より)

これが招致が決定されると、実はという形で「基礎的な部分を抽出しているもので、大会の全体像を示すものではなかった」と、いとも簡単に2倍強に膨れ上がった。事前に説明を都民にしていない中で招致を盛り上げるという手段だ。

計画時にこれを含めないで、では改めて試算した1兆6440億円の妥当性も評価していない。会社でこんなどんぶりの予算を出したら殴られる。

それを達成したからと言って胸をはられても困る。

■振り返らないのは行政の伝統なのかもしれない

アベノミクス、あるいは「三本の矢」の妥当性は問わない。未来への取り組みは難しいもので、成功を約束されたものではないのだから。しかし、安倍総理や黒田総裁の幼稚さやむ責任さは呆れる。何がどうしたらどうなるというシナリオを描いていないから、旧陸軍のようにとつげき一本槍になる。

振り返りをしないのも一因で、以下のような議論をっもっと行なって欲しい。

○自民党の2016年参院選公約、GDP600兆円は達成できた?「新3本の矢」どうなった?
2022年6月16日

2022年7月10日投開票の参院選で改選となるのは、6年前の2016年に当選した議員たちだ。安倍晋三首相(当時)が15年に「新・3本の矢」を公表してから初めての国政選挙で、自民党の当時の公約にも、3つの矢である「名目GDP600兆円」「希望出生率1.8」「介護離職ゼロ」が掲げられた。

政権の中心を担ってきた自民党の公約の目標は、この6年間でどれほど達成されたのか。22年参院選に向けた最新の自民党公約が6月16日に公表されるのを前に、6年前の公約で掲げられた「新・3本の矢」をはじめとする主な数値目標6項目と、関連する統計を比較し、どう評価できるのかを調べた。(デジタル編集部・福岡範行)

https://www.tokyo-np.co.jp/article/183525

詳細は記事に任せるが結論を言えば、こうした目標は達成できていない。
問題は、達成できていないことではない。達成できていない理由は何か、それは回避できないことなのか回避できたのか。仮に運任せの目標値であるならば公約の意味は無い。

岸田政権の公約は、前回の衆議院選挙でも今回の参議院選挙でも数値的な指標は目にできない。最新の令和4年の政策パンフレットでも、努力することは書いてあっても、目標値はない。

これは、うまくいったのは自分のおかげ、うまくいかないのは誰かのせいということにつながる。

PDCAは万能ではないが必須である。

<閑話休題>

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