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世間に転がる意味不明:ライドシェア問題の混迷(IT技術との親和性)

ライドシェア問題へのコメントです。

■問題の混在は避けるべきである

ライドシェアは手段でしかない。これを複数の問題で混在させてはならない。
今の議論の中心は「人手不足」ではあるが、これはあまりにも漠然としている。目に見える現象の一つにしか過ぎない。

交通問題にしても
・交通弱者
・過疎地
・オーバーツーリズム
・配車システム
と言った切り口がある。

タクシー業界の苦境やバスの減便問題は、根底の問題ではない。単なる事象である。
今回のテーマはIT技術の活用に着目する。

■問題の本質

現在のトラフィックの問題はかつてからの視点である「効率化や最適化」の問題である。これを解決する手段として情報技術の活用が有効であると言うことに目を向けるべきである。

ウーバーが優れている点は、供給と需要のタイムラグを極力減らすという点にある。例えば、ウーバータクシーは配車システムと言われているが、正確には
①どこに誰がいるかを把握することで最小時間で配車できる。
②目的地が明確なので最短ルートを提供できる
③事前支払いを済ませるので会計時間は省略できる、
というのがメリットである。
もちろん総額としての報酬の問題や労働時間の問題もあるが、それを理由に抗したメリットを無視してはならない。

ライドシェア問題は情報技術の活用によるトラフィックの最適化問題として捉える視点が必要である。

■注目したニュース

○空き時間にタクシー運転 電脳交通(徳島市)が横浜・埼玉で実証実験
2023/11/17

 クラウド型タクシー配車システムを手掛ける電脳交通(徳島市)は、第2種運転免許の保有者を対象に、空き時間に副業としてタクシーに乗務してもらう実証実験を、タクシー事業者の三和交通(東京)と横浜・埼玉エリアで始めた。運転手不足を補うための試みで、来年1月9日まで続ける。

 実証実験は、別に本業を持つ2種免許保有者に、週1日以上、1日4時間以上乗務してもらう。報酬は1時間1200~1800円の時給制。希望者は電脳交通のサイトにアクセスし、応募フォームから名前や面接希望日などを登録する。

https://www.topics.or.jp/articles/-/994744

電脳交通のホームページ(https://cybertransporters.com/service)を見るとクラウド型タクシー配車システムとは、タクシーの利用で配車を依頼する際のITシステムのようである。利点としては、「いつどこからどこまで運転したかを記録できる」ことが一番の大きいと考える。これにより、どこのルートのニーズが高いのかが分かるので車の配置計画を立てやすい。

お客様情報の取得、運転手の管理などにより、支払いトラブルの防止、安全運転の履行の管理も可能になることが期待できる。

■IT技術によりもたらされるもの

こうしたIT技術の利用の先駆者は「Uber Taxi」だろうか。当社のホームページ(https://www.uber.com/jp/ja/ride/ubertaxi/)を見ると、その仕組みを下記の様に説明している。

1.配車依頼
 アプリを開き、[行き先] 欄に目的地を入力します。乗車場所と行き先の住所を正しく入力したことを確認し、Taxi を選択してください。
 ドライバーとのマッチングが完了すると、車両の詳細が表示され、地図上でドライバーの到着状況を確認できます。

2.乗車
 車両がアプリで通知された車両情報と一致することを確認してからご乗車ください。
 ドライバーは行き先と最短時間で到着できるルートを把握していますが、乗客はいつでも特定のルートを依頼できます。

3.降車
 乗車料金はご登録のお支払い方法により自動で清算されるため、到着後すぐに降車できます。
安全で快適なサービスを提供できるよう、ドライバーの評価にご協力ください。また、ドライバーへチップを贈ることもできます。

(ここまで引用)

さて、これはタクシーと何が違うのだろうか。
①あらかじめ出発点と到着地点が定められている
②支払いは事前に行なわれる
したがって、
①道路に出てタクシーを探す手間はない
②行き先を告げて場所がわからないということはない
③支払いはあらかじめ決め行なわれているので金銭トラブルはない
④運転手については事後評価で選別が可能である
と言う利点が思いつく。

こうしてみると、下記の様な意見は的外れでえあることが分かる。

○ライドシェア、反対60% 犯罪や運転の質に不安、民間調査
2023/11/20

一般ドライバーが客を有償で運ぶ「ライドシェア」について、15~79歳の60%超が導入に反対しているとのアンケート結果を、民間調査会社のMM総研(東京)が発表した。犯罪の恐れや、運転の質に関する不安の声が目立った。政府は導入を検討しているが、利用者の安全を担保する仕組みが求められそうだ。

https://nordot.app/1099223209240133812

トラブルがゼロとは言わないが、相互監視ができるので安全面はむしろ「運転手が襲われない」ことだろうか。これも、現金決済を一切しないということであれば、犯罪の動機付けが少なくなる。

「金を出せ」といっても「ありません」ですむ。

■拡大する取り組み

○川崎市で「Uber Taxi」のサービス開始、横浜市でもエリア拡大
2023/11/20

 Uber Japanは、神奈川県川崎市で「Uber Taxi」のサービス提供を11月20日に開始した。加えて、横浜市のサービスエリアを拡大し、配車可能なタクシー台数を大幅に拡充する。

https://www.bcnretail.com/market/detail/20231120_379658.html

○「19~25時、タクシーと同額程度」三浦市のライドシェアで具体案
2023年11月21日

県の提案では、タクシー会社が配車アプリを活用して一般ドライバーと利用者をマッチングし、車両の運行や装備を管理する。アプリで配車管理や料金の決済をすることで、「ドライバーと利用者のやり取りを減らし、(車内でのトラブルなどの)安全面に配慮できる」という。

https://www.asahi.com/articles/ASRCN7D8BRCNULOB015.html

こうした、IT技術を用いた配車システムは多様な交通サービスを求めるニーズに対応してくるだろう。
まだ既存のタクシーへの遠慮があるが徐々に無くなれば良い。

ライドシェアを単なる人材不足の問題に帰着させてはならない。
DXの一貫として社会システムの改善に紐付けなければ何も解決しない。

■避けるべき問題

政府が、ライドシェアの問題をタクシー業界と語る際に「公共交通機関」の言葉を交ぜる発言をするが間違っている。問題を混在させることは都合の良い結論にミスリードさせる手口である。
行政が口を出すライドシェア問題は、「既得権益の維持」である。
これを忘れてはならない。

起きている問題(人手不足)と原因(賃金の低さや労働環境の劣悪さ)と利害(タクシー会社の経営難)、手段(IT技術を用いたサービス展開)を混ぜてはならない。
何を俎上にあげているのかを意識すること。

(2023/11/27)

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