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ジョブ型雇用人事制度のために(手段と目的の混同)

ジョブ型雇用が話題になったのは昨年の春先だったろうか。

○職務を明確にし人材起用する「ジョブ型採用」 新卒含め日本でも拡大
2022.7.8

日本経済団体連合会(経団連)は2021年の春季労使交渉で、ジョブ型雇用を新卒から取り入れるよう提案するなど、積極的に推進している。新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけにテレワークが普及し、勤務時間での評価が難しくなる中、既に大手企業を中心に、主に管理職や中途採用でジョブ型雇用が広がりつつある。21年4月から全企業に同一労働同一賃金が適用されたことも、ジョブ型雇用が広がる一因となっている。

https://business.nikkei.com/atcl/plus/00010/070500086/?n_cid=nbpnb_fbed&fbclid=IwAR16C104p3oRLlfl_Xsqwmw_f1t5QBHSWYPCygZ5enhJ-YmA2pGcU_3Z1iY

おそらく、こうした言葉はいつものようにバズワード化して無意味になって行くのだろう。当然だろう、「ジョブ型雇用」は何かを解決するための手段であり、目的ではない。これを導入すれば自動的に雇用や労働生産性に関わる諸問題を解決してくれるわけではない。

ハローワークや就職雑誌などで職種や仕事の種類などは確認できるが、仕事の仕方は現実に働いてみないと分からない。プロジェクトマネージャーという仕事の分類はあったとしてもタスクベースでは切り分けられていない。概念的な分類はあっても具体的な仕事として明示されるわけではない。当たり前である。場面場面で仕事は異なるのだから。

具体的な仕事量や現実の難易度が分からない中で、自分の仕事にあらかじめ価値を設定できない。したがって、ジョブ型雇用を推進するためには、常に雇用者と被雇用者の間でその働き方に対するフィードバックをしなければならない。できるだろうか。おそらく多くの会社は今まで同じように、せいぜいが目標管理制度のまねごとをするだけであろう。

ジョブ型雇用があまり聞かなくなった背景にはこんなこともあるのかと推測される。

さて、こうした建前のジョブ型雇用ではなく、実際に「ジョブ」を細分化してゆくとどんな問題が解決できるだろうか。

①部署で切り分ける必要の無い汎用性のある仕事を切り出した場合
 例えば、データをとりまとめて一覧表にする。あるいはお客様からの問い合わせをデータベースからQ&Aを引き出す。など、”部署”から切り離して汎用の部署を作れるかもしれない。
②仕事をする単位を時間単位で切り分けた場合
 例えば、定例の会議のために机や機器を用意する。あるいは、週に1日だけ、書類整理をする。など、仕事単位で時間を対比させることで、アウトソースを使いながら本来業務と切り離せるかもしれない。

もっとあるかもしれない。
 勤怠管理のデータを分析したところ、本来業務以外で時間をとられているという結果を見たことがある。

ジョブ型雇用云々を語る前に、自分たちの仕事は何にどのくらい割かれているのかを分析した方が良い。その上で、ジョブを明らかにすることで解決できることを考えてみよう。地に足がつかない抽象的な「ジョブ型雇用」を語る前にするべきことはたくさんある。

<閑話休題>

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