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春を摘む

長い様で短い春休み。
もうすでに暇を持て余してる息子と、
何かと忙しい娘が、今日は何も予定がないと言うので、久しぶりに野山へよもぎを摘みに行こうと誘った。

春はあっという間に過ぎてしまう。
つくしも菜の花も野すみれもイヌフグリも
年度末の忙しさに追われるとあっという間に
見なくなってしまう。
春風のように軽やかに季節は過ぎる。

我が家は子どもが小さい頃、野山で遊ぶサークル活動に参加していて、春夏秋冬、親子で野原を駆け巡り、山の旬の恵みを頂く機会が沢山あった。
春はふきのとう、つくし、たんぽぽ、のびる。
その場で調理してもらったり、時にはお土産として貰って帰ったり。

野山で育ったものは、どれも強い味がする。
甘さ、酸っぱさ、苦さ、旨さ。
我が家の子どもが好き嫌いなく、食いしん坊に
なったのは、野山で味覚を育んだからと
思っている。

「葉っぱの裏が白いのがよもぎだっけ?」

 そうだよ。匂いがするでしょ?

「あ、この匂い。するする。根っこから
抜かないんだよね。」

 うん。また来年のためにもね。
 上の黄緑色の柔らかい若い芽を摘むんだよ。
 君たちみたいな若い芽をね。ふふ。

(うわ、オヤジギャグ言ってるよ)
(ちがうよ、お母さんだから
オバちゃんギャグだよ)

 ‥オバちゃんだが、耳はいいんだぞ。

帰宅後、簡単な昼食を済ませてから、
よもぎ餅作りに取りかかる。
洗ってゴミを取り除き、柔らかい葉の部分を
ちぎり、塩を入れた熱湯で茹でる。
ペースト状にしたら、白玉粉と混ぜて
耳たぶくらいの固さになるまで捏ねる。
一口大に丸めて、おへそを作る。
熱湯で茹でて、浮かんできたら冷水に取る。

私は昼食の片付けを。
子ども達だけでよもぎ餅を作ってくれた。

てきぱきと役割をこなす姿に、大きくなったなぁと感慨深くなる。
2人とも、小さいハンバーグみたいな手だった
のに。
写真には収まりきらない強さと逞しさを
感じる。

すごいね、君たちはどこまでも行けるね。

「よもぎを茹でたお湯はお風呂にいれたら?」

 おっ、良いアイデアだね!

「お父さんも喜ぶねー」

 そうだね、今日はよもぎづくしだね。

今年の春はゆっくり過ぎていく。



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