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寝過ごし東海道線文学 Vol.3 大磯駅

10月上旬の金曜日、新卒の時の同期とサシで飲んでいた。
社会人からの友人とは言え、もう長い付き合い。それぞれ環境が変わってお互いが今思っている感情や見ている景色を交換した。気付くと終電間近。またもや、しこたま飲んでしまった。

飲んでた田町からの帰り道、品川で乗り換えて東海道線グリーン車へ。しこたま飲んだけど、飲む前に体に入れたヘパリーゼのおかげでまだ舞える。
着席後絶対に寝ないよう、Netflixで大好きなアニメを見始める。アニメを見てる限りは絶対寝ない自信があるし、数話分くらいはあるので帰宅まで持ち堪えてくれと心の中で願う。
アニメが1話終わり30分が経ち、丁度戸塚駅くらいだった。魔の戸塚休憩所。戸塚駅の看板を見たのが最後、アニメがキリのいい一瞬で落ちた。

起きるとそこは大磯。寝ぼけてるのでいつもの平塚or小田原かと思いきや、数秒で明らかに静かな周囲から察する大磯感。
失意の中、昔ながらの古くなった小さい駅は片方のみの改札なので、階段を登って反対側にゾンビのように歩く。

改札を出ると見渡せるくらいの駅前広場。こじんまりとした駅周辺に見合わないタクシーの行列。何だこれは。。。。需要と供給がアンバランス。まるでピークタイムのラーメン二郎。

とりあえず並ぶものの、10,20,30分と時間が過ぎていく。回転率が悪いというか回転してない。
ここで酔いも冷めてくるタイミングであらゆる手段を検討する。
いつ最後に使ったかわからない配車アプリはログインPWがわからず、再発行もうまくいかない。

悪戦苦闘していると一筋の光が見えてきた。そう、チャリ。自宅の茅ヶ崎から二駅。休日にサイクリングで大磯に来ることもある。ワンチャンいけるんじゃないか。そんな思いでひたすらレンタサイクルを探す。

神奈川県なのでもちろんドコモのバイクシェアはないんだが、駅から15分くらい歩いたところにHELLO CYCLINGのステーションを見つける。残り1台。もしかしたらこのタクシーの列のスマホをいじってる人の中にこの1台を狙ってる人がいるかもしれないという緊張感の中、無事予約完了。

タクシーの行列を颯爽と抜けて、チャリをピックアップ。自分の番が回ってくる気がしない行列にずっといたので、ステーションまでの15分が一瞬に感じた。
そして10月の深夜、1年で一番丁度良い気温の中のチャリ、漕ぎ出した瞬間にわかる。もう最高。

大磯から帰りは海沿いの134号線。夜風を切りながら、途中めっちゃ大きな橋を二つ越えるのでもちろん歌う。30分くらい漕いでると、段々と見慣れた景色になってくる。そして茅ヶ崎に到着。

最寄りのコンビニにステーションがあるので、返却してみるとなんと230円。え、安すぎない?タクシーの1/20くらい。しかも運動もできて夜風も気持ちかった。
予想外の大勝利。逆に寝過ごして得してる?これが22年のW杯で長友が言ってた「リバウンドメンタリティ」なのだろうか。とにかくめちゃくちゃテンションあげあげで帰宅。

意外と早く着いたし、チャリ漕いだことによるいい感じの疲労感と共にベッドに入る。
週末を楽しむには金曜の夜が大事。予想外に最高の気分になって週末を迎えた。

大磯よ、嫌いじゃないぞ。

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