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IT(システム)部門に望まれること

 約50年に及ぶ「システムエンジニア」ならびに「システム・業務系のコンサルタント」としての活動において、自身が経験し感じてきたことについて紹介し、今活動されておられる、またはこれから活動される方々(学生、転職検討中の方々)への参考にして頂ければと思います。もちろん、自社でIT部門をどうすべきかとお考えの経営層の方々にも。
 1回目として、IT部門(所謂、システム部門)の役割または、そこに所属する人材に望まれるコトについて記載したいと思います。ここでは、「自社の立場」でということで記載していますので、自身のユーザとして支援する立場の方は、記載内容について「・・・・するように支援することが望まれる」と読み替えて下さい。
 今求められるIT部門の役割として、大きく以下の7つの観点が重要であると考えています。
 ・企業経営へのコミット力の強化  (経営戦略とIT戦略の整合)
 ・現場でのIT活用推進力の強化   (情報活用力定着牽引部門)
 ・ITコアコンピタンスの明確化   (自社に温存すべきスキル)
 ・IT投資コストの適正化      (IT投資評価(IT-ROI)確立)
 ・コンプライアンスの強化 (セキュリティ、情報保護、遵法等)
 ・事業継続性の保証、担保    (災害時対策、内部統制対応)
 ・新たなソリューション対応(ビジネススタイル変革、アイデア)

1.企業経営へのコミット力の強化
 これは、言うまでもなく「IT無くして経営成り立たず」という時代において、これまで間接部門としての位置づけが中心であった部門を、より企業経営へのココミット力を高める部門へと転換する必要性があるということです。今のはやり言葉で言えば、「DX(Digital Transformation)」を経営観点で考察し、経営層への発信力、提言力を高めることが肝要であるということです。

2.現場でのit活用推進力の強化
 これまでは、「要件に合わせITシステムを作ることとその運用」ということが中心であり、裏方的存在であったと言えるでしょう。そのため、現場での利活用の推進という観点では、「使うのが当たり前」「使わないのは現場の問題」という考え方がまかり通り、実運用面での支援までなかなか手を掛けなかったのではないでしょうか。これでは、いつまで経っても経営が望む変革はおぼつかないでしょう。
 変革の実現の為には、現場に「情報の利活用」を定着させるための部門になることが求められる。言わば、「学校の先生的」役割が求められるということです。

3.ITコアコンピタンスの明確化
 項番1、2で述べたことは容易に実現できることではないのは、言うまでもありません。「作る、運用する」という役割を、どれだけ軽減できるかがキーになるのは言うまでもありません。
 その実現のためには、所謂「アウトソーシング」、現在では「クラウドサービス」ということになるかと思いますが、その活用を見極めることが重要になると考えます。(これまでの外部活用は、コストダウン的な要素が強かったのではないでしょうか。)
 「見極める」という言葉を使いましたが、それは単に「外部に任せればよい」という意味では無く、自社に残すべきスキル(ノウハウ、人材、体制等)、所謂コアコンピテンシーを見極めた上で、極端な話、それ以外は外部にお任せしても良いのではという判断をする時が来たと考えています。そうしたサービスが受けられるようになってきたということも背景にあるということは言うまでもありません。
 今されるべきことは、「自社のコアコンピテンシーと何か」を考えることではないでしょうか。

4.IT投資コストの適正化
 これまで、企業内におけるIT費用は「コスト」とみられることが多く、経営者層からは「削減」の2文字が当然のことのように語られてきました。(余談ですが、これは「物流面」にも語られてきたこと)
 本論のような場合にも、しばしば「コスト削減」という言葉を使ってきましたが、今後は「適正化」という言葉を使うべきと考えています。つまり削減対象なのではなく、しかるべく掛かるものには掛けるべきということです。もちろん、好きなだけ掛けるべきという意味ではありません。経営ニーズにあった「適正なコスト」という意味であることは言うまでもありません。IT部門の方は、「削減」の2文字は忘れましょう。と同時に、投資対効果(IT-ROI:IT Return on Investment)について、常に意識した取り組み(経営者に納得頂くため)が必要になると考えています。

5.コンプライアンスの強化 
 これは、言うまでもないことと思いますが、セキュリーティー面、情報の適正活用面の強化が必須となっています。「鼬ごっこ」の世界とは言え、最大限の対策が求められます。少し言い過ぎかもしれませんが、日本のシステムの多くが「性善説」で構築されており、「危機」への備えにコストを掛ける意識が希薄だったような気がします。(「実際に起こる」「起こった」ことにはコストを掛けるが、将来への不安には掛けたがらない。また、性善説は、コストを抑えられるという側面もあると言えることも一因に)
 今後は、遵法は当然のことですが「予期せぬこと」への備えを含めた対応へのコストは、「投資」と考えるべき時代になっていると考えます。

6.事業継続性の保証、担保   
 これも、言うまでもなく「ITの停止」が経営の存続に直結する時代になっています。最近の自然災害によるものや、違法ハッキングなどによるシステム停止事態は、現実のものとなっています。さらに、「Just In Time」に代表されるように「生産計画の効率性」の仕組みにおいて「一か所のトラブル」が、全体に及ぶ事態に発展してしまいます。
 今や独立して存在しているという発想を転換し、自社のトラブルが他に影響を与える可能性があるとの認識の上での取り組みが求められます。今一度、自社の仕組みを検証してみる必要性があるのではないでしょうか。
 コンプライアンスの維持強化同様、「予期せぬこと」への備えを含めた対応へのコストは、「投資」と考えるべき時代になっていると考えます。

7.新たなソリューション対応
 DXによる経営変革、経営改革に寄与するためには、新たなソリューション開発への取り組み強化が求められることは言うまでもありません。その為、常にアンテナを高くし、先端技術などのノウハウ獲得への努力が今まで以上に必要になっていると考えます。さらに、アイデア創造への取り組みが重要であり、社内制度変革などの新たな取り組みが求められると考えています。
 アイデア創造力は、「技術力向上」より必要な事かもしれません。

 以上、7つの項目について私見を述べてみました。短絡的、独断的な側面もあるかと思いますが、そうした点はご寛容に願います。 次回以降も、IT分野に関わる事項に関して投稿したいと思います。(写真:20年前か)
 


 


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