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金融関係者必見!Fintec系特許の取得ポイントを弁理士が解説します。

 こんにちは!元中小企業弁理士のnabです。本日、扱うテーマは「fintec系特許」です。Fintecとは、金融(Finance)と技術(Technology)を組み合わせた造語であることから、fintec特許とは、金融と技術が組み合わされた特許ということになります。

fintecは、「金融+技術」

 Fintecは、従来、メガバンクなど特定の大企業だけのものといったイメージでしたが、近年は、NFC(近距離通信無線)技術や、バーコード決済などの技術面の普及、web3やNFTの台頭などに伴って、身近な存在になってきています。メルカリ・PayPayなどの新興企業の出願も目立ちます。

 本日は、J-pratpatで既に公開となっているPayPay株式会社の「情報処理プログラムの特許(7223899号)」を参考文献として、「Fintec系特許」の登録ポイントを解説していきたいと思います。

PayPay株式会社のFintec特許

【特許権者】
【氏名又は名称】PayPay株式会社
【原出願日】令和4年2月14日(2022.2.14)

特許第7223899号 請求項1

この特許概要を、めちゃくちゃ簡単にまとめると

実際、バック側でデータ決済取引が実行されていなくても、店舗で予備的な決済取引が実行されていれば、決済取引完了の旨が利用者に通知されるプログラム  です。

 予備的な取引の具体的手段は、オフライン決済です。この発明はオフライン決済を行うために、決済サーバに対して、オフライン設定の有効化を要求できるようになっています。

特許図解

 オフライン設定の有効化により、電波環境などの理由によって、決済サーバとの通信ができない場合にサーバでの決済取引処理が行われていなくても、店舗でのオフライン決済によってユーザー端末に取引完了通知が表示されることになります。

 Fintec特許取得に不可欠な『課題解決』

 Fintec特許に限られることではありませんが、特許権の取得には、必ず『課題解決』が必要になります。『課題』が新規で、従来にないものであれば、特許権が取得できる可能性は高くなります。

 参考文献の課題は、「決済取引が完了してない場合でも、決済取引の完了をユーザーに通知して取引の信頼性を高めたい」というものです。

 例えば、バック側のデータベースがメンテナンス中だったり、ネット環境が悪かったりした場合に、店舗で決済したユーザーの端末に取引完了の通知が表示されないと、ユーザーが、取引に対して不安に思いますよね。この発明は、そんなユーザーの不安を取り払うことができるわけです。

まとめ

『Fintec特許』というとさも難しいアルゴリズムを想定してしまいますが、着想自体はシンプルなものなのです。そしてこの課題を解決していれば、特許権の取得ができる可能性があるわけです。

  ちなみのPayPay株式会社は、Fintec特許を240件余り保有し、IPポトフォリオを築いています。IPポトフォリオを築くと、他社の権利侵害を抑止するとともに、投資家の評価を上げることに繋がり、投資されやすくなります。

 ベンチャー起業家の皆様、Fintec特許で、金融市場を席巻してみてはいかがでしょうか!?最後までお付き合いいただきまして、ありがとうございました。

 

 


 

 

 

 

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