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なでしこジャパン対イングランドから一夜明けて

東京オリンピック女子サッカーも試合が進み、カナダ戦を引き分けたなでしこジャパンは24日にイギリスと戦いました。

結果は後半にクロスボールをホワイトに流し込まれて0-1で負けました。

イギリスはグループ首位となりなでしこジャパンは自力でのステージ突破が不可能になりました。

一夜明けてマスコミの反応を見ると

高倉監督の采配ミスを叩く記事が目白押しでびっくり。

選手交代を誤った。
選手のモチベーションを上げられなかった。
ハーフタイムの使い方に問題があった。

監督だけでなく選手に対してもミスを指摘するコメントや記事がありました。

戦う姿勢がなかったとか、ヘディングさせちゃいけなかったとかいうコメントも多かったようですね。

確かに前半に比べて後半は動きが鈍くなりましたが、コンデションの変化はサッカーの試合にはよくあることです。

フィジカルのハンデは今に始まったことではない

なでしこジャパンに対して、走力がないとかフィジカルが弱いっていう意見も多く見られますが、それは男子も一緒で今に始まった問題じゃないですよね。

私がコーチを初めたばかりの頃、サッカー協会の講習会や雑誌をよく読んでいました。

日本がベスト4になるためにはどうすればいいかってことが議論されていました。

サイズ(体格)を世界レベルにすることが必須で、そのためには外国人選手の帰化や、ハーフの選手の育成が必要などということが議論されていました。

国際結婚推奨とか高身長遺伝家系の調査とかとにかく高身長をめざせって話が多かったですね。

でも、ある意味、サイズアップの努力って今まで日本が取り組まなかったことなので、やり方を間違えなければ結果がでるのかな、とも思いました。

事実、最近は過度な練習や練習時間の多さが成長ホルモンを妨げるということもわかって来て、休憩や睡眠も育成のひとつとして大事と言われています。

なでしこジャパンはもともと小柄

女子サッカーについてもサイズアップの話は出ていたのかも知れませんが、2011年に世界一になってしまったので、力を維持することと世代交代をいかにスムーズにするかが議論になっていました。

なでしこジャパンの黄金期から守備の要となっている熊谷選手が170センチオーバーで、宇津木選手や永里選手が160センチ後半。澤選手の165センチでさえ大きい方で、大野忍選手や川澄選手そして岩渕選手は150センチ台です。

黄金期と呼ばれたあの時代でさえ体格差が議論にはなっても、勝敗の理由にはならなかったと記憶しています。

サッカーの采配ミスというと思い出すのは…

失点後に怪我の岩渕選手を入れたわけですが、ボランチの中島を下げたことで同点に絡むことが出来なかったという見方もあるようです。

結果論からこれだけの記事が集まるなんて、やはりオリンピックなんだなと思いましたね。

サッカーの大舞台で監督采配が原因で負けた試合というと、2006年ドイツワールドカップのオーストラリア戦を思い出します。

カイザースラウテルンの惨劇として語られる試合ですが、選手交代がその惨劇のひとつの場面になっていました。

柳沢に替えて小野、小野伸二。

ガタガタと崩れる日本代表。

試合後に、監督ジーコの思いはピッチ上の選手たちに届かなかったこと、今なぜ伸二なんだと困惑したことが、当時話題になりましたね。

オーストラリアには名手ケーヒルがいました。

今回、なでしこジャパンの前に立ちはだかったのは名手ホワイトでした。

大舞台での勝負には必ずキーとなる選手がいるって事ですね。

男子サッカーに現れた久保選手もキーとなる選手のひとり。

相手チームが抑えに来ることは必至です。

高倉監督の言う長い刀と短刀のたとえ

大舞台では百戦錬磨のキーとなる選手がしたたかにゴールを狙います。

高倉監督は相手は長い刀を持っているので日本は短刀で戦うといったらしいですね。

後半、イギリスはゴール前にハイボールを上げて高さで勝負を決めようとしていました。

走り勝てない日本がジャンプで勝てるわけがないので、この長い刀を持ったイギリスには、刀を振り下ろせないようにするしかありません。

クロスを上げさせないこともひとつの方法です。

2011年ワールドカップで長い刀のアメリカに短い刀で競り勝ったのは、まさに澤さんの切れ味があったからこそ。

短刀で勝つためには相手のふところに入らないといけない。

相手のふところに入るためには、ボールを持ってペナルティエリア内に入るか、コーナーキックなどのセットプレーの精度を上げることが大事なんでしょうね。

黄金期を振り返って見えてくる選手像

センターバックの熊谷選手は今も健在ですが、黄金期のボランチと言えば澤選手と坂口選手のダブルボランチでしたね。

澤選手の読みと坂口選手の豊富な運動量がなでしこジャパンのエンジンでした。

攻撃陣には宮間選手がいましたね。正確無比で冷静沈着な両足キックを持つ名手でした。

攻撃には永里選手や川澄選手、大野選手に丸山選手という個性派がいました。

でも海外組って本当に少なくて、今の選手たちの方が海外経験が豊富なんですよね。

長谷川選手、籾木選手にはもっと個性を際立たせて欲しいですね。

GK
1 池田 咲紀子 イケダ サキコ(三菱重工浦和レッズレディース)
18 山下 杏也加 ヤマシタ アヤカ(INAC神戸レオネッサ)

DF
4 熊谷 紗希 クマガイ サキ(FCバイエルン・ミュンヘン/ドイツ)
2 清水 梨紗 シミズ リサ(日テレ・東京ヴェルディベレーザ)
16 宮川 麻都 ミヤガワ アサト(日テレ・東京ヴェルディベレーザ)
5 南 萌華 ミナミ モエカ(三菱重工浦和レッズレディース)
17 北村 菜々美 キタムラ ナナミ(日テレ・東京ヴェルディベレーザ)
3 宝田 沙織 タカラダ サオリ(ワシントン・スピリット/アメリカ)

MF
7 中島 依美 ナカジマ エミ(INAC神戸レオネッサ)
14 長谷川 唯 ハセガワ ユイ(ACミラン/イタリア)
6 杉田 妃和 スギタ ヒナ(INAC神戸レオネッサ)
8 三浦 成美 ミウラ ナルミ(日テレ・東京ヴェルディベレーザ)
13 塩越 柚歩 シオコシ ユズホ(三菱重工浦和レッズレディース)
12 遠藤 純 エンドウ ジュン(日テレ・東京ヴェルディベレーザ)

FW
9 菅澤 優衣香 スガサワ ユイカ(三菱重工浦和レッズレディース)
10 岩渕 真奈 イワブチ マナ(アーセナル/イングランド)
11 田中 美南 タナカ ミナ(INAC神戸レオネッサ)
15 籾木 結花 モミキ ユウカ(OLレインFC/アメリカ)

少年サッカーのお手本として活躍を期待しています

少年サッカーでもロングボールをゴール前に放り込んで勝負を決めようとするチームは未だにあります。

それも3,4年生の試合で、キック力のある選手が縦一本でボールを放り込むって戦法です。

これを封じるのはなかなか難しく、キッカーにボールを渡さないって方法しかないんですよね。

なでしこジャパンの試合が少年サッカーのお手本となるように、クロスを上げさせない、ボールを持っている選手に厳しくプレッシャーをかけ続ける。

相手を自由にさせないことが自分たちのストロングポイントを活かす方法だということを試合を通して伝えて欲しいです。

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