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【MLB】サードベースマンとしてのカルロス・コレアの守備力はプラチナ級なのか。

先日、サンフランシスコ・ジャイアンツと超大型契約をしたかと思いきや、入団会見直前の身体検査で懸念が見つかり契約が無効に。
と思いきや、すかさずニューヨーク・メッツとの12年$315Mの契約を発表。

メッツは投資家のスティーブ・コーエンがオーナーとなってからというもの、FA市場で爆買いを続けている。
昨オフにはシャーザー、マーテイ、カナ、エスコバーを獲得。
今オフにはディアズ、ニモと契約延長し、バーランダー、千賀、キンターナを獲得。そして、今回のコレアである。
年俸総額はぜいたく税ラインなんてあっという間に超過し、球界のパリ・サンジェルマンと化している。


さて、カルロス・コレアはショートストップとしてプレミアムな守備力があり、2021年はゴールドグラブ、プラチナグラブを受賞している。
ただ、メッツにはすでにリンドーアがショートストップ不動のレギュラーとして固定されている(リンドーアも10年$341Mという契約をしている)ため、コレアはサードを守る予定である。

今回はカルロス・コレアのサードとしての守備力について、分析した結果を紹介する。

トップレベルの強肩

コレアの長所のひとつが、強肩である。

今季は平均88.1mph、最速95.0mphを記録。最速値は今季ショートストップ全体で4位である(100送球以上)。

ちなみに、この数値を今季のサードのプレイヤーと比較すると最速値、平均値ともに全体4位に該当

これは強肩の印象が強いマチャドやアレナド、チャップマンよりも優れた数値である。
実際、コレアは4年目以降、スローイングでより多くのアウトを獲得しており、数字上でもその肩はコレアの武器となっている。

サードとショートストップではボールを捕球してから送球するまでのメカニズムが異なるので(サードはよりスナップスローで強い送球が要求される)単純な比較はできないが、コレアはサードとしてもMLB屈指の強肩であり、例えばライン際の打球に対して、ファーストへの距離が長くなったとしても、より多くのアウトが取れると考えている。



三遊間への対応に課題

ショートストップは360度全方向の守備力が求められる一方、サードは特に正面(前方)や三遊間への守備力、右バッターの強い打球への対応が重要になる。
実際、直近3年間のOAA(Out Above Average。平均的な選手より、どれだけ多くのアウトをとったか。)トップ3であるヘイズ、アレナド、チャップマンは総じて正面の打球や、自身の左側の打球に対して高い守備力を記録していた。

直近3年間のOAA Top10のサード

一方(あくまでもショートストップとしての記録ではあるが)、コレアは左方向の守備力が高くない

直近3年間 コレアのOAA

右側のOAAが+8に比べて、左側は-8である。また、右バッターの打球に対する対応も、左バッターに比べてよくない(対右のOAA:3、対左のOAA:9)。
コレアはショートストップとしては総合的に高い守備力を誇っていたものの、右側のエリアが狭くなるサードではその守備力が生かせず、また苦手とする左側(三遊間)の守備力がフィーチャーされるかもしれない。
特に、来季からはシフトが制限され、サードが三遊間まで寄ることは少なくなり、より左側の打球へのケアが必要になると考えられる。

幸い、ショートストップのリンドーアが右側(三遊間)の守備を得意としているため、チームとしてはうまく補完されることが期待される。


フットワークの衰え?

コレアには、近年懸念点がある。

スプリントスピードの低下である。

2020年頃まではMLB平均よりも高い数値(上位約35%)を記録していたが、2021年以降、平均以下の数値に(上位約55%)低下。
実際、守備にも影響があったのか、それまでショートストップ内で上位クラスで合ったOAAは、今季-3まで低下。
チームがアストロズからツインズに変わり、移籍一年目ということもあり球場、投手の打ち取り方、内野手間の連携に順応を要したのかもしれない。
ただ、もしこれがフットワークの衰えの傾向であるのであれば、早い段階でのサードコンバートは適切なのかもしれない。


以上が、カルロス・コレアのサードとしての守備力の分析である。
あくまでショートストップでの記録を代替したものではあるが、はじめはショートストップで見せていたようなプレミアムな守備力にはならないかもしれない。そもそも、ショートストップとサードでは、求められる役割、そしてそれに対応するメカニクスが異なる。ただ、守備面のスキルに関してはMLBトップレベルのコレアである。シーズンを通してどのように順応するか注目している。


とはいいつつ、カルロス・コレアのショートストップとしての強肩を生かした中継プレーやダブルプレーがもう見られないのは、野球界にとって大きな損失である!!!

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