コロナとエンタメについて、記事をまとめてみた

世の中ではアフターコロナなど、コロナショック後の潮流はこうなる的な話があちこちで議論されていますが、私が携わっているエンタメに関連するところがコロナでどんな状況なのか、記事を元にまとめてみました。

1:コロナショックとエンタメの今後
-----------------------------------------------------------------------------▷ シルク・ドゥ・ソレイユが95%のスタッフ解雇
https://this.kiji.is/613556229937529953?c=113147194022725109

世界最高峰の舞台芸術であるシルクドソレイユが、コロナの影響でほぼ全員がクビというニュース。
コロナの前では、コンテンツのクオリティや歴史だけではどうしようもなく、打開策を考えなければいけないという現実。

▷ 米Amazon、新型コロナによりCDとアナログレコードの販売を停止
https://rollingstonejapan.com/articles/detail/33485

これは、何を意味するかというと、世の中の潮流の影響を真っ先に受ける産業のひとつがエンタテインメント(もっと言うと音楽産業)だということで、エンタメは有事の際の一番先の犠牲者になります。

ただ、裏を返せば、サブスク然り、音楽産業から世の中のイノベーションははじまることが多いということでもあります。
さらに、幸運にも、エンタテインメントは、新しいことを試しても、人の命に関わるようなリスクが、自動車や食品などの産業と比べて低いので、イノベーションの波を試行錯誤しながら起こすことに挑戦しやすいというメリットがあります。

壊滅的と言われているエンタメ業界が、むしろアフターコロナの中で、イノベーションを牽引すれば、社会が大きく飛躍するかもしれないなと思います(東日本大震災の後に、LINEやGoogleストリートビューのタイムマシン機能が生まれました)。


▷ マインクラフトでバーチャル卒業式 オンラインで集まった小中学生の企画が思いやりでいっぱい
https://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/2003/17/news124.html

そんなイノベーションのひとつが、小学生が企画したマイクラ卒業式です。
コロナの影響でで中止になった卒業式を、小学生たちが結束して、マインクラフト(ゲーム内)で実施。
もうイノベーションの波が、民主的な形で起こり始めています。

無観客ライブ、コンテンツの無償解放、グループチャットなど、短期的には、個々のプラットフォームを利用するサービス・コンテンツが増えますが、長期的には、人気SNSゲームのような1つのプラットフォームの中で、ライブや、動画視聴、チャットなどを楽しむ世界(メタバースと言います。あらゆるコンテンツがマインクラフトというゲームの中で楽しむような世界)が、今後Z世代以降の世代で主流になるかもしません。

あと5年後くらいに主流になるかもしれない、メタバースに関する記事↓

▷ フォートナイトの急成長、テックジャイアントが注目する「メタバース」とはなにか
https://jp.techcrunch.com/2020/03/16/metaverse/

<今後メタバースになりそうなゲーム>
①マインクラフト(1.2億/MAU):https://www.minecraft.net/ja-jp/
※MSは、地球全体がゲームのフィールドになり、ユーザーは、好きな場所に好きなもの(建物、動物など)を自由に作成&設置することができ、他のユーザーはARで閲覧することができる、全地球マイクラ化計画を発表しました(MRなのでメタバースではないですが。。)
https://japanese.engadget.com/2019/05/17/ar-minecraft-earth/

※"YouTubeでマイクラと音楽を融合させた、Minecraft Music Videoなるものももあります
https://bit.ly/3dofetM

②フォートナイト(0.8億/MAU):https://www.epicgames.com/fortnite/ja/home
※マシュメロは、昨年フォートナイト内で1000万人ライブを実現しています。
https://wired.jp/2019/02/20/fortnite-vr-ar-multiverse/

※動画SNS(Houseparty)を買収し、ゲームが、コミュニケーションプラットフォームとしての役割を内包する時代に
https://forbesjapan.com/articles/detail/27828/1/1/1?s=ns

③Roblox(1.0億/MAU):https://www.roblox.com/
※Robloxは13歳以下の子供たちに人気。YouTubeよりRobloxに時間をかけている
https://tcrn.ch/3abV3x5

④レゴワールド:https://en.wikipedia.org/wiki/Lego_Worlds

日常からの解放を求め、ゲームの世界の中で、現実とは別の価値観(アバター)で生きていく時代もすぐかもしれません。
その一方で、コロナ疲れ、自粛疲れ、オンライン疲れなど、現潮流の反作用的な潮流についても、検討していく必要はあります。

2:参考になるトレンド、各所の興味深い取り組み
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>イベント
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多くのリアルイベントが中止になっていますが、単純な無観客ライブ+アルファの取り組みも出てきています。

▷DJの無観客パフォーマンス「クラウドクラブ」、中国の若者の娯楽に
https://www.afpbb.com/articles/-/3273492

いわゆる家FES。
中国では上海のBEEHIVEが、DJのライブ配信を開始以降視聴者が急増。
ポイントはマルチアングル配信など、リアルなクラブでは観れない映像と演出を組み合わせている点(リアルとは異なる価値)。

あらゆる角度から撮影し、画面を分割表示させて同時に配信する」手法で、この難題を解決した。「DJの手元の動きを上から映す一方、全景映像ではステージの照明演出を見せる。DJの動きに合わせて画面を切り替えたり、イメージ映像と実際の映像を適度に融合させることでアピール力を高めた。


▷テクノロジーはエンタメを救う鍵となるか? 新型コロナ危機で注目集まる「有料配信ライブ」の可能性
https://realsound.jp/tech/2020/03/post-525312.html

クラウドファンディングの思想を組みわせ、ライブできないアーティストを応援するといったニュアンスを汲み入れた、有料配信ライブも認知の兆しありです。


▷東京ガールズコレクション “新型コロナ”で史上初の無観客に 逆境に打ち勝つ新企画で視聴者倍増!
https://www.fnn.jp/posts/00050630HDK/202003062030_livenewsalpha_HDK

無観客ライブ配信で行なった、東京ガールズコレクションでは、出演者との直接電話やバックヤードの中継など、リアルとは異なる配信の付加価値要素を加えたことで、視聴者数は延べ190万人、去年の約2倍に。


▷インディカーもeSportsで延期レース代替へ。ファン交流ありの「Indycar iRacing Challenge」発表
https://japanese.engadget.com/jp-2020-03-21-esports-indycar-iracing-challenge.html

リアルでなければ一見成立しなさそうなスポーツイベントを、e-スポーツに置き換える動きも、カーレースなど出てきています。


▷ゲーム好きの取り込み狙うホテルが世界各地で続々登場。進む「観光」と「eスポーツ/ゲーム」の融合、ヒルトンも参入
https://amp.review/2020/03/08/game-hotel/

e-スポーツブームの付帯現象として、ホテルなどeスポーツ仕様の施設やサービスが広がりはじめています。
オクタゴンなど、e-スポーツに関するホスピタリティなども検討の余地があるかもしれません。


>ポッドキャスト(音声配信)
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巣篭もり消費の向き先として、ポッドキャストが追い風になっています。

▷ 新型コロナ の影響で、 ポッドキャスト が再びミニブームに
https://digiday.jp/publishers/age-coronavirus-publishers-see-podcast-mini-boom/

昨年からの音声コンテンツブーム(ポッドキャスト)が、コロナにより後押しされています。
特に、音声コンテンツ大国となりつつある中国では、音声コンテンツプラットフォームのヒマラヤや蜻蜓FMが絶好調。その戦略も参考になります。

蜻蜓FM:https://36kr.jp/60535/
ヒマラヤ:https://comemo.nikkei.com/n/nb77afe693c67


▷再注目される音声コンテンツの可能性 ――Spotify Japanに聞くポッドキャストの今
https://www.asahi.com/and_M/20200316/10543742/

音声コンテンツといえば、今最も注力している企業がSpotify。
ヒプノシスRADIOは、“特定のポッドキャスト番組を目的にSpotifyに新規登録したユーザー数”で世界一の数字を出しており、エンタメ企業のポッドキャスト活用は、これからますます必須になります。


ポッドキャストなど、人気音声コンテンツに関してまとめた以下の記事もご参照ください。

▷ ググっても出てこない、極上の「ポッドキャスト図鑑」
https://newspicks.com/news/4114235/body/?ref=user_271037

▷ ポッドキャスト界の頂点を狙う音声のNetflix「ルミナリー」青年社長の野望
https://newspicks.com/news/3721173/body/?ref=search

▷ 藤原竜也さん、“本気すぎる”読み聞かせにネットざわつく。子供向けの「日本昔ばなし」のはずが
https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_5e703256c5b63c3b648377cb

コロナによる巣篭もり消費の一つとして、子供への絵本読み聞かせニーズがあります。
ホリプロは、上記の通り実際に録音してますが、例えば、音声合成技術「コエステーション」を使えば、アーティストの声のアバターがつくれるので、すべての絵本、書籍の読み聞かせが出来るようになり、収益化も可能です。
https://japan.cnet.com/article/35150897/

コエステーションでは、アーティストの声で、ニュースを読むことで、若者がニュースを聴くきっかけつくる実証実験を実施しています。
https://natalie.mu/owarai/news/371682


>メディア
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イベント同様に大打撃と言われているメディアですが、試行錯誤しています。

▷ベトナム政府のコロナウイルス対策が、TikTokや米テレビ番組で話題に…
https://www.buzzfeed.com/jp/sumirekotomita/covid19-washing-hands-dance-vietnam

コロナの予防がたまたま題材ですが、コンテンツを創ることよりも、民主的にコンテンツが生まれてくるためのフォーマットを創ることの方が大事だという事例です。

オンライン、CGMなど、民主化全盛の時代、コンテンツ企業であるとともに、コンテンツをユーザーが民主的に制作して、そのマスターが拡散されていくことまで考慮した、コンテンツの設計(コンテンツフォーマット。PPARでいうアップルとパイナップルの部分)が、ヒットの鍵を握ります。

ただし、やりすぎは良くない。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/03/post-92666.php


▷ Netflix、欧州でストリーミング品質を低下。コロナのテレワークに配慮
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2003/20/news026.html

▷ YouTubeが新型コロナで欧州における動画視聴のデフォルトを標準画質に
https://jp.techcrunch.com/2020/03/21/2020-03-20-youtube-goes-sd-streaming-by-default-in-europe-due-to-covid-19/

▷ 外出制限でゲーマー激増中!? オンラインゲームが軒並みダウン
https://www.gizmodo.jp/2020/03/it-s-not-just-you-nintendo-xbox-playstation-and-more.html

5Gで改善されていくことではありますが、中期的にはリモートワーク等含め、データ量が莫大に増えるので、エンタメのトレンドにもそういった工夫が求められます。そういった中で、データ量を食わないGIFなどのアニメーションを使ったエンタメやコミュニケーションも注目です。

GIPHY:https://giphy.com/


▷【GIFの歴史】1度死んだGIFが復活した理由
https://jp.techcrunch.com/2019/03/08/kensuke-oono-gifmagazine-1/

コロナに加え、パケ代節約、スクショ文化。ぱっと見分かるコミュニケーション文化など、今の社会の潮流を鑑みると、GIFが面白いコンテンツに再成長する可能性は高いと思います。


▷ ユニバーサル・ピクチャーズが、新作映画をネットでも配信へ!
https://www.gizmodo.jp/2020/03/universal-pictures.html

コンテンツのウィンドウの概念も変わります。
劇場→パッケージ→有料放送→地上波→VODのいうレガシーなウィンドウに縛られないコンテンツ戦略が必要かもです。


▷ 米誌「プレイボーイ」、紙媒体終了へ 新型コロナが影響
https://www.asahi.com/articles/ASN3N22YSN3MUHBI03D.html?ref=newspicks

コロナが拍車をかけて、紙媒体を終焉に追い込んでいます。


▷ 新型コロナ の影響で、メディアイベントが軒並み秋に延期へ:カンヌライオンもアドウィークも…
https://digiday.jp/brands/thanks-coronavirus-postponements-media-events-stack-fall-2/

メディアイベントも続々下半期に延期となり混み合うので、下半期のPRやプロモーション戦略は複雑で緻密さが必要になります。


▷ ローソンがオンライン動画配信で記者会見 「ユーチューブ」で公開、SNSで一般質問も受け付け
https://mainichi.jp/articles/20200302/k00/00m/020/255000c

プレス発表のあり方も変わります。
これによりプレス発表はストレートニュース化するため、オンライン映え、配信映えするプレス発表の仕方や、立体的な広報戦略も考える必要があります。


▷参考:新型コロナウイルス対策に 長い春休みを乗り切る無料のエンタメコンテンツまとめ【随時更新】
https://news.yahoo.co.jp/byline/kawamurameikou/20200318-00168244/


>コマース
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巣篭もり消費の代表格が、E-コマース。特にD2C(いわゆるライブコマース)が注目されています。

▷ドレイク出資の新興Eコマース「NTWRK」、ミレニアル世代に照準
https://forbesjapan.com/articles/detail/28122

アメリカでは特別感のあるライブコマースが人気。
特定の曜日、時間だけ、アーティストとブランドのコラボ商品が購入できるライブコマースがZ世代から支持。


▷中国のZ世代がハマるRED、ヴィトンなど高級ブランドが注目する理由とは?
https://ftn.zozo.com/n/nad339e40ce24

中国では、SNS機能付きのコマースが人気。
影響力の強いインフルエンサーが投稿にリンクを貼ることができ、そこから商品の購入するSNSコマースがZ世代女性から支持。
ハイブランドがこぞってREDに公式アカウントを開設しており、売れ行きも上々。


▷音声で買い物ができる「Vコマース」のインパクト 日本でどこまで普及するか
https://www.itmedia.co.jp/mobile/articles/2003/13/news057.html

Eコマースの手法で今最も注目されているのが、タッチ操作などが一切不要。音声だけで買い物をするVコマース。


▷ZOZOタウンのランキング一位が、水着素材の洗って繰り返し使えるマスクだった件
https://news.yahoo.co.jp/byline/okadayuka/20200318-00168397/

実際売れているものに、フォーカスするとやはりマスク。
ZOZOタウンのランキングで1位になるところからも、今後はファッションとしてのマスクの価値が出てきそうです。


▷マスクが「必須のアクセサリー」になる時代、NYファッションショーにも登場
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/03/ny-30.php

実際に、ニューヨーク・ファッション ウイークでもマスクを着けたモデルが登場しており、東アジアでは定着しているファッションアイテムとしてのマスクが欧米でも定着する可能性があります。


▷マスク 月5600万枚増産へ シャープなど8件に補助金 政府
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200313/k10012330561000.html

なお、本業ではない企業のマスクの生産には、政府が補助金を支給するようです。


>エデュケーション・働き方など
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自粛ムードの中で、家での過ごし方や働き方にも、いくつかユニークな傾向があります。


▷ 新型コロナで中国人の“引きこもり消費”加速―室内で不思議なブームも
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2003/06/news046_2.html

巣篭もりといえば、ネットやゲーム、VODなどの動画配信ですが、コロナで外出が極端に減少した中国では、オンライン学習やダイエット、ヨガなど、ネットを活用した自分磨きのニーズが増加しています。


▷ 任天堂「屋内フィットネス」ゲームの実力
https://forbesjapan.com/articles/detail/32948/1/1/1?s=ns

フィットネスゲームなどにも人気が集まっており、
ワンダーラストなどのヨガや、ダンスなどをウェルネスなどの文脈でパッケージ化して配信するなどのプログラムは有効かもしれません。


▷ 出社はオフ会に?「アフターコロナ」の日本で、働き方や人事はこう変わる
https://www.businessinsider.jp/post-209712

仕事の仕方も、一気にオンライン化が進みます。


▷ 新型コロナによるリモートワークブームでSlack絶好調、47日間に7000有料ユーザーを獲得
https://jp.techcrunch.com/2020/03/20/2020-03-19-slack-adds-7k-customers-in-7-weeks-amid-remote-work-boom-besting-its-preceding-2-quarters-results/

ビジネスチャットツールSlackや、ビデオ会議ツールZOOMは、今後当たり前のビジネスツールとなっていくので、コロナ収束後も、効率化ツールとして活用を続けるべきだと思います。


▷ 米コロナ休校、デジタル格差浮き彫り
https://jp.wsj.com/articles/SB10371458858357054719804586270042815095366?mod&ns=prod/accounts-wsj

こういったデジタルツール格差は、Z世代以下でも深刻で、今後業務や教育の際に新種の神器として一般化するツールとしては、以下が想定されます。
①Slack:コミュニケーションツール
②ZOOM:ビデオチャットツール
③Trello:タスク管理ツール


>その他
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▷ 食事代を先払い。新型コロナの影響で客足少ない飲食店を支援するサービス「さきめし」
https://forbesjapan.com/articles/detail/32987

ZOZOのツケ払いの、支援版のようなユニークな発想もあります。
ライブやイベントにもこうったスキームがハマると面白いかもです。


▷米政府「みんなの位置情報でコロナ対策しようよ」FacebookやGoogleが協力
https://www.gizmodo.jp/2020/03/u-s-reportedly-in-talks-to-use-your-location-data.html

今後大きなトレンドになってくる位置情報+コンテンツ。コロナにも活用。