「その淑女は偶像となる」という傑作読切を読むべきという話

 一年近く前の読切、それも今でもタダで読めるやつのダイマ記事とかいう記事なので、まあとりあえず記事なんて読まなくていいからみんな読切を読んでくれ。ここで読めるから。正直こんな記事を読んでる暇があったらそっちを読んでください。読んで。読むのだ。読め。

 さて、この漫画ですが、一年ほど前にジャンプ+に載った読切です。2020年読んだ読切ランキングをつけるなら、まあ一位だな、と個人的には思ってる作品です。それくらい面白かった。

 タイトルで分かる通りアイドルを題材にした漫画なのですが、タイトルでは分からないところが一点。この漫画、こんなタイトルの割にゴリッゴリに熱いです。もう完璧に少年漫画としての温度感なんですよ。

 女性アイドル物というものは、今やゲームやアニメの題材として欠かせないものの一つですよね。アイマスやラブライブ!、アイカツ!、プリパラなんかを筆頭に、老若男女様々な人をターゲットにして、どんどん色んなアイドルコンテンツが生まれては消えていきます。さながら現実のアイドル界のよう。
 
 しかしながら、漫画で女性アイドルを主人公にした話、ってなるとやっぱりいまだに少女漫画向けのジャンルかなーって感じがするのも事実。もちろんアイマスとかのコミカライズで少女漫画ではない女性アイドルを主人公とした漫画はあるのですが、漫画発となるとなかなか思い当たりません。そんな中で、この読切は王道的な少年漫画のスタイルで、アイドルを描いた作品です。

 だって扉絵がこれですよこれ。

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 扉絵だけでもう熱いですよね。アイドル漫画とは思えない地味な色使い、ライブシーンではなく髪を結ぼうとしているシーンというシーンチョイス、そして「光と汗が交差する そこは少女達の戦場……!」という煽り文句、もうただのアイドル漫画じゃねえ!って雰囲気がビンビンに来てます。 

 簡単にあらすじをかいつまんで話すと、主人公、姫宮桜子はとある事情で引退した伝説のアイドルで、現在は浮世離れしたお嬢様学校に通い、アイドルだった過去を隠してひっそりと暮らしている。そこに現役アイドルとして活動する少女、若菜あるみが転校してきて、桜子が伝説のアイドルだと気付いてしまい……?というストーリーです。まあ散々王道、王道と煽ったからこの後の展開もわかるとは思いますが、紆余曲折あって過去を振り切ってステージに立つわけです
 この王道的な、言ってはなんですがスポーツ漫画とかで結構良くある展開的なのをアイドル漫画としてしっかり魅せるのが本当に上手い。桜子というキャラがアイドルを引退した理由もしっかり納得のいくものに仕上がってるし、そんな彼女に憧れるあるみのキャラクターもしっかり描かれている。言ってはなんですが「ただの読み切り」なのに、キャラクターの描写がめちゃめちゃ上手い。

 後地味にこの漫画でひっそりポイントが高いのは、エロに全く頼らないということ。もちろん絵柄はデフォルメの効いた可愛い系なんですが、エロに頼りがちなジャンプ+君では珍しくほとんどエッチな要素はないです。エロなんてなくてもアイドル漫画は描けるんや!という気概を感じます。可愛さで誤魔化す〜みたいなシーンも勿論なくて、しっかりストーリーと演出で魅せてくれる漫画です。

 さて、こんなタイミングでなんで1月の読切を絶賛する記事なんて書いてんだよ!って思われてると思うので、書いた理由を書きます。まあ、だいたいみんな感づいてると思うのですが、ジャンプ+で連載になります。発表を聞いた時に僕はリアルで変な声を出しました

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 プラスでは珍しく始まる前から推し確〜って悶えてる漫画なので、今から布教活動をしとこうかなって感じのアレです。本誌ほどではないにしろプラス君も結構生存競争激しいからね……。

 PS.作者の松本さん、前作でもそうだけどやたらでっかい女の子+程度の差はあれ幼児体型っていうコンビばっか描いてる気がするから、なんか既視感ありますよね。アイマスの絵よく描いてるし多分そうなんだろうな。

 

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