見出し画像

「スプラトゥーン2」サーモンランバイトの評価制度を考察してみたらクマサン商会の闇が深すぎた

質問箱で素晴らしい質問が届いたので、サーモンランアルバイトの評価制度を考察してみました!悪徳バイト・劣悪な労働環境と言われることもあるサーモンランアルバイトを人事がガチ考察したらどうなるのか?どうぞご笑覧くださいませ。

質問箱

サーモンランアルバイトの評価制度をおさらい

まずは、サーモンラン研究所のバイトマニュアルを参考に、評価・報酬制度の概要を確認しましょう。

【サーモンランアルバイト評価制度概要】
・現地集合、現地解散の超短期契約アルバイト
・オオモノシャケを倒すと手に入る金イクラをコンテナまで運ぶ仕事
・運んだ金イクラの数で報酬が変動する完全歩合制
・良い評価を受けると、評価に応じた称号が与えられる。高い称号ほど難易度が高いアルバイトに挑戦できる

以上が、サーモンランアルバイトの概要です。この評価制度を、「1回限りの超短期契約」「完全歩合制」「称号によるキャリアアップ制度」の3つの視点で解説します。

評価制度で目指すものは、金イクラ回収の最大化

個別の考察に入る前に、雇い主であるクマサンの目的を確認しておきましょう。評価制度の良し悪しは、経営者の目的達成に寄与しているか否かで判断するものです。

バイトマニュアル・評価制度・クマサンの言動からみるに、経営者であるクマサンの目的は、「とにかく金イクラをたくさん回収する」ことに尽きるようです。
よって以降は、「金イクラをたくさん回収する」目的に対して相応しい評価制度になっているか?を考察していきます。

不定期に発生するサーモンランでは、1回限りのスポット契約も有効

サーモンランアルバイトの概要をみて、まず気になるのが「1回限りの超短期契約」です。現地集合・現地解散で、いっしょに働く仲間もその時たまたま集まった4人という完全スポット契約なのです。

ふつうに考えれば、ある程度の期間で雇用契約を結んだほうが人員管理もしやすいし従業員のモチベーションを高められると考えるかもしれません。しかし、サーモンランに限って言えばこの超短期契約が相応しいと言えそうです。

仕事=イクラ集めは、シャケの習性である「サーモンラン」を利用したものです。あくまで習性ですから、完全に読み切ることはできません。

こういった、仕事の発生が不定期で安定しない環境では、長い期間で雇用契約を結ぶよりもスポットスポットで短期契約したほうが良いでしょう。長い期間で雇用契約を結んでも、「予定どおりの仕事(サーモンラン)が発生しない」なんてこともあり得るからです。

スポット雇用契約と相性が良く、チームプレイも考慮された完全歩合制

続いて報酬システムを見てみましょう。サーモンランの報酬システムは、集めたイクラの数に応じて支払われる完全歩合制。基本給・保証給は存在せず、イクラを1つも集められなかった場合の報酬はゼロと非常に厳しいものになっています。

一般的には、基本給が保証されない完全歩合制は従業員の不安を煽りモチベーションの低下や足の引っ張り合いにつながるものですが、サーモンランではそうなっていません。

まず、契約が1回ごとのスポットであること。1回の契約が超短期なのであれば、「その仕事単体の成果」のみで報酬を決定する完全歩合制は相性が良いです。能力や勤続年数は一切考慮せず、そのときどれだけイクラを運べたか?だけで報酬が決まるのでシンプルかつ明瞭です。

画像3

(集めたイクラに応じて報酬がもらえる完全歩合制)

また、一般的に言われる「完全歩合制だとチームプレイが生まれず足の引っ張り合いが生まれる問題」についても、評価対象を個人ではなくチームの成果に設定することでうまく解決しています。

サーモンランの性質上、4人が協力して助け合わなければ多くのイクラを運べません。自分1人がたくさんイクラを運んでもチームの成果は最大化されないので、多くの報酬をもらおうと思ったら自然とメンバーどうしで協力する設計になっています。

このように、一般的には悪手とされる完全歩合制も、サーモンランでイクラをたくさん集めるという観点では有効に機能していることが分かります。

一石二鳥の”称号”によるキャリアアップ制度

スポット契約と完全歩合は、サーモンランの習性と金イクラ回収最大化のためにには適した制度であることを説明してきました。しかし、やはりこれだけでは中長期のモチベーション維持・向上させることはできません。

そこで導入されているのが、”称号”によるキャリアアップ制度です。サーモンランをクリアすることで称号評価値が蓄積していき、評価値に応じて「かけだし→はんにんまえ→いちにんまえ→じゅくれん→たつじん」と称号が与えられます。

この称号は、スポットでの雇用契約が終了しても失われずに残ります。頑張れば頑張るほど称号が上がっていき、次もまた頑張ろうというモチベーションにつながるわけですね。
完全歩合制はその瞬間の成果を最大化する短期モチベーション向上施策ですが、”称号”は中長期のモチベーション向上施策です。モチベーションのメカニズムを時間軸でとらえた、見事な施策と言えます。

そして、この”称号”はそのまま仕事の難易度設定に利用されています。「かけだし」には簡単な仕事を、「たつじん」には難しい仕事を割り当てるわけですね。こうすることで、アルバイトの実力に合わせた効率的なイクラ回収を実現しているわけです。クマサンすごいな…。

カイゼン点があるとしたら、ビジョン(=なんのためにイクラを集めるか)が不明瞭なこと

以上、サーモンランのアルバイト評価制度を考察してみましたが、すべてが「金イクラをたくさん回収する」目的に沿っている、考え抜かれた評価制度になっていることが分かりました。

1つだけ、あえてイマイチなポイントを挙げるとするなら、仕事の意義が不明瞭なこと。短期的な報酬だけでなく、その仕事の社会的な意義や目指すビジョンに共感できてこそ良い仕事ができるはずなので、この点が明確にカイゼン点でしょう。

ちなみにバイトマニュアルでのイクラ集めに関する記載は下記のとおり。

【サーモンラン バイトマニュアルより】
・この社会で暮らす全てのみなさんの生活をより豊かにするため、日々イクラ集めに取り組んでいます
・イクラはワタシたちの生活を支える重要な資源です
・イクラ集めは確かに危険な作業ですが、同じ目的を共有する仲間と立ち向かう困難の中で、自分を見つめ直し、人生のやりがいを感じることができます

う、うーん…かろうじて、「イクラはワタシたちの生活を支える重要な資源です」がそれらしい記載ですが、やはりなんのためのイクラ集めなのかはハッキリしません。

そして気になるのが最後の一文。

イクラ集めは確かに危険な作業ですが、同じ目的を共有する仲間と立ち向かう困難の中で、自分を見つめ直し、人生のやりがいを感じることができます

この、「それっぽいことを言っているけれどよく読むと何も言ってない、それでいて業務のネガティブ面を誤魔化す」感じ…悪徳企業の求人でよくみるやつでは…。あれ…クマサン商会って…

調べれば調べるほどクマサン商会はヤバい……

見事な評価制度を構築しているクマサン商会。だけど実はヤバいことやっている悪徳企業なのでは?この疑念を元にもう1度考察しなおしてみます。

●一見それっぽいけどよく読むと何も言ってない求人

悪徳企業が出す求人情報の特徴の1つに、「それっぽいけど中身がない」が挙げられます。この視点でバイトマニュアルを読み直してみると…

【サーモンラン バイトマニュアルより】
・ワタシたちクマサン商会は、明るい未来の発展のため、ワタシたちができることを、日々考え続け、行動し続けています
・そんなクマサン商会の一員として、過酷な人生に挑戦し続けるあなたを、全力で応援しサポートします
・感謝と喜びから始まる社会を目指す。それがワタシたちクマサン商会です

ヤバいヤバい。それっぽいけど何も言ってない。見事なまでに何も言ってない。短い文章に「ワタシたち」が2回出てくるあたりもヤバい。

画像5

「バイトに参加」に記載されている「新しいジブン きっとミツカル」の一文もヤバい。

次に、「評価ポイント」として紹介されている図をみてみると…

画像3

ヤバいヤバい。なんかそれっぽいけど、この図が何の説明にもなっていない。そりゃそうだという感想しか出ない。そして、線がちょっとはみ出たり微妙に三角形がななめになってたりと適当感がヤバい。

●悪徳企業の常套文句「簡単・高収入」「誰にでもできる簡単なお仕事」

そして極めつけは、下記の一文。

1.1.2. イクラ集めで簡単・高収入
オオモノシャケから手に入る金イクラを
イクラコンテナに運ぶ。
たったこれだけの簡単なお仕事。

ヤバいヤバいヤバい。「簡単・高収入」は悪徳企業の常套文句だし、続く文章が無駄に改行してそれっぽさを出してるのもヤバい。

●なぜか直接渡さない報酬

バイトマニュアルの記載内容がまるっきり悪徳企業のソレとはいえ、まだ確固たる証拠があるわけではないし、たまたまそうなっちゃっただけかもしれない…………そう思っていた時期がわたしにもありました。下記を読むまでは。

1.1.8. 報酬について
・バイトが終了すると、仲間で集めた合計の金イクラとイクラの量に応じて、クマサンポイントが獲得できます。このポイントを一定量集めると素敵なプレゼントをお渡ししますので、がんばってクマサンポイントを稼いでください。
・プレゼントはクマサン商会の建物の外に設置した交換所で受け取ることができます。

……ん?クマサン商会の建物の外に設置した交換所で?なんで?

よく考えると、報酬をポイント制にして後でプレゼント交換させる意味がよく分かりません。バイト終了直後にプレゼントを直接渡す方がシンプルに思います。それも、わざわざクマサン商会の建物の外に設置した交換所で…。

わざわざ、建物の外で報酬を渡す…こ、これはもしや…。
下記はわたしの推察です。

【クマサン商会報酬制度の秘密(推察)】
・何らかの理由で直接報酬を渡すことが禁止されている(法的にマズい?)
・表向きは、クマサン商会からの報酬はクマサンポイントだけ(無報酬のボランティア扱い?)
・”たまたま”クマサン商会の建物の横にある交換所が、クマサンポイントをお金やプレゼントに替えてくれる

わざわざクマサン商会の建物の外でポイントを交換させるのは、ポイント交換とクマサン商会は無関係だと言い張れるような保険と思われます。
もしなんらかの調査が入ったら、「ウチはボランティアでがんばってくれた人のポイントカードにスタンプを押しているだけ。隣の交換所はたまたまそのポイントを景品に換えてくれるみたいですね。わたしは知らんけど」と言い張るのでしょう。ヤバい。

Image from iOS (26) - コピー

(クマサン商会横にたまたまある、
クマサンポイントを金銭と交換してくれる交換所)

交換所が、お互いの顔を見なくても交換できる仕組みになってるのもヤバい。

こ、これ以上調べると大きな力に消されそうなので、この辺りで考察をやめておきます。さーて、今日のランダムブキはなにかな?

追記)クマサン商会登記簿上の住所は空き地

ファミ通開発者インタビューより】
――サーモンランで仕事を斡旋しているクマサン商会は、イカ世界では有名な会社なんですか?
天野 それが謎なんですよ。
井上 登記上は記載があるんですけど、所在地は空き地で、それ以上調査が進まない。

はい、アウトーーー!!
以上、ご笑覧ありがとうございました。

(こんな記事も書いてます)



サポートしていただけるとわたしの次のお昼ご飯に温泉玉子をトッピングすることができます!