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「トンカタリ」 01/03 マレーシア・バイアグラ 

その日は、非常に疲れていました。
夜9時には熟睡状態の私を、携帯電話の呼び出し音が何の容赦も無く響き渡り、私の夢の世界を破壊しました。
寝起きのゆっくりした動きで携帯電話の画面を見ると、とある人からで、なんと時間は深夜0時、こんな時間に電話とはただ事ではない、何か緊急事態発生とおぼろげながら思い電話に答えました。

するとすぐ、「きいたわよ」と言う声。

何を聞いたのかと、不思議に思って黙っていると、立て続けに、「トンカタリすご~~く効いたわよ」との声。
「あ、そうですか」と事務的に答えるしかなく、立て続けにその効用の如何を話し続けるのでしたが、一息ついたタイミングで、私が「それで、こんな時間に何か緊急事態ですか?」と切り出すと、「ん~~。それだけ」と言って、ガチャッと音がして電話はきれました。

「ツーツー」と私の耳元でなる電話を枕元において、ため息をついたと同時に破壊された夢の世界へ戻っていきました。

翌朝、冷静になって、この電話は、「トンカタリが効いた」と言う業務連絡だったと認識した私は、この話をネタにしなければ、と密かに心に誓ったのでした。

今回は、「マレーシア・ジンセン」、「ジャングル・ジンセン」、そして、「マレーシア・バイアグラ」とも、異名をとる、「トンカタリ」(Eurycoma Longifolia)に関して、話をしたいと思います。

「トンカタリ」は、厳密には、Tongkat Ali (トンカット・アリ)で 、発音上はトンカッを単独で言う場合は最後の「ット」は殆ど発音されないのですが、次に続く言葉がAli で母音から始まっている為、「ッ」+「ア」で「タ」となり、「トンカタリ」となります。

「トンカ」が杖、アリが人の名前で、直訳すると、「アリさんの杖」と呼ばれる植物で熱帯雨林の森の中にあります。

通常、熱帯雨林の樹木の殆どは、土壌に含まれる養分が表面の薄い部分しかない為、根が浅くしか張りません。
多くの巨木も同様、深く根を張るのは少ないですが、この「トンカタリ」だけは3m位の低木しかならないにもかかわらず、根だけは異常な程深く張り、私が採集に同行した時も、根だけで2mをゆうに超え、さらに奥にも根があった様ですが、深すぎて取れませんでした。

日本名では、「ニガキ」と言う名前を頂戴しているようで、その肝心の根の部分が非常に苦く、その根の部分を煎じて飲むと、滋養強壮に効くそうです。

因みに、トンカタリの実は、赤い小さな実ですが、マラリアの薬の成分に使われるそうです。この実も苦くて食べられた代物ではありません。
「良薬口に苦し」ですね。

02/03に続く。。。

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