経営トップのコンプラ違反
3月4日付日系朝刊の「法税務」面は、企業トップによるセクハラ事件を取り上げるものである。
「セクシャルハラスメントとは何か」「防止に向けた取組み」は、企業のコンプライアンス態勢構築のためのイロハのイに位置づけられており、企業において女性の働きにくさを取り除く基本的な取組みのひとつであることは異論ないところだろう。
当然のことながら、経営トップも、そのリーダーシップのもと、これらの取組みを企業内に定着させることが求められることになる。
そうすると、経営トップによるセクハラ事件はどう考えればよいか。
先ほどの日経記事では、コーポレイトガバナンスや経営トップの選定に問題があるという。確かにそういった面は否定すべくもないだろう。
しかし、セクハラ事件の加害者になったトップの諸氏は、「セクハラ」という、やってはいけないことをしたという認識があったか、甚だ疑わしい。いわゆる「未必の故意」程度は認められるかもしれないが、悪意はなかったものと信じたい。
そうすると、この問題はきわめてやっかいなものといわざるを得ない。加害者をクビにしても問題解決になるとは思えない。
むしろここでは、テクニカルな問題として考えるのではなく、男女を問わず、お互いに働く者同士を尊敬し合う企業文化をどう構築していくかの問題として取り組んでいくことが解決の近道であるように思う。