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10年目のFIAT500(2台目)

 所有しているFIAT500S Manualeが、2回目の車検を無事に通過した。つまり購入から5年を経過したということであり、車も自分もそれなりに年を取った。
 「水曜どうでしょう」で、大泉洋氏の「いとこのみっちゃん」が「知っての通り、車は5年で走らんくなるからな」と言っていたが、もちろん昨今の車はそのようなことは全くなく、自分の500もエンジンオイルやフルード類、バッテリーを交換しただけで元気に家まで自走してきた。

前の愛車

 FIATとの付き合いは、今年で10年目に入る。
 今のマットグリーンの500Sに乗る前は、ブルーの500Sに乗っていた。5速マニュアルという点では共通点がある。
 それ以前は国産車のハッチバックを乗り継いでいたが、雑誌などで見て気になっていたFIAT500の2気筒エンジン(ツインエア)に5速マニュアルのモデルがカタログ設定されたと聞き、ニュースを見た翌日には高速道路をひた走って最寄りのディーラーへ試乗に走った。貰った車のカタログとアクセサリーカタログを毎日眺め、一ヶ月悩んでから購入を決めた。
 1990年代以前のイタリア車はやたらと「壊れる」ことばかりが強調されていたきらいがあり、オーナーの方々も故障に悩むよりむしろネタとして楽しんでいるようにも見えたものである。インターネットを通じてそれらの情報に接していた自分も、イタリア車のオーナーになることをある意味覚悟したものであった。
 無駄遣いを改めて常に修理へと備えるために毎月の貯蓄額を増やし、まさかの時に備えて工具類も買い揃えた。そして、何よりもトラブルに遭遇した際にネタにするため、Bloggerに新規ブログまで開設して納車の日を迎えた。
 しかし、それらの用心は全て杞憂となった。屋外保管で休日のみの運転、洗車は月に一度か二度という国産車時代と全く変わらない扱いでも、500は全くトラブルなしで走り続けてくれた。納車までは頻繁に更新していたブログも次第に筆不精となり、そのうちに全部削除してしまった。
 現在の車に乗り換えたタイミングは前車の2回目の車検であり、ちょうど同時期に限定車として入ってきたマットグリーンの500S Manualeを担当の営業さんに勧められたものである。話を切り出されたのが突然だったので、どうするか逡巡しているうちに前車の下取り額がどんどん上昇していき、最終的にかなりのお値打ち価格で買い替えを決めた。無意識の勝利である。

 今の車に乗り換えてからの方が、実のところは劇的な展開が多い。
 納車の翌年、2019年に房総半島を襲った台風15号で駐車場の裏手にある家の瓦が吹き飛ばされ、自分の車は右側面にひどい傷を負った。修理完了までに数ヶ月を要し、戻ってきたかと思えば新型コロナウイルスの感染拡大で遠出もままならなくなった。その代わり、在宅勤務の日には昼食を買いにしばしば近所をドライブすることになった。
 納車4年目には、対向車の軽トラックからトタン板が落ちてきてフロントガラスが割れてしまった。この時は相手の100%負担で修理できたので懐は痛まなかったものの、やはり自分の愛車に乗れない期間が長引いたのは辛かった。
 自家用車の走行距離は俗に「1年1万km」とは言われるものの、天災と貰い事故という想定外の事態に遭遇したおかげでそのレベルには至っていない。だが、特に故障もなく好調なコンディションで5年目を迎えられたということは、低走行も大いに寄与しているのかも知れない。

 上記のようなトラブルに遭遇して板金修理を行ったため、自分の車は左右のパネルで若干色合いが異なる。またマットグリーンのボディは屋外保管でそれなりのサイクルで洗車しているため、徐々に表面の起伏がなだらかになって半艶の状態に近づいてきた。
 ぐるりと車を一周すると塗装の光沢具合や色味が異なっていることが明白ではあるが、むしろ自分は乗り手と一緒に車もくたびれていってくれているようで味わい深いと思っている。
 大きなトラブルに遭遇しない限り、これからも大事に乗り続けて一緒に枯れていきたいものだと考えている。

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