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漫画で振り返るあの頃

 好きな漫画を5つ挙げよ、といきなり問われても即答するのが難しい。
 子供の頃からそれなりに漫画を読んできた記憶はあるが、その中でどれをピックアップすべきか頭に浮かんでこない。あまりに昔のことなので記憶があいまいになっていることもあるだろうし、それ以上に自分を構成する血肉になってしまった作品もあるだろう。
 今でも漫画は手に取るが、今の自分を構成する漫画を挙げるとすれば幼い頃から二十代前半までに読んだ作品になる。記憶を掘り返しつつ、五つほど挙げてみたい。

ドラえもん(藤子不二雄)
 言わずと知れた日本を代表する漫画作品。コロコロコミックでは「日本一のギャグマンガ」を名乗っていた。
 小学生の頃は同じクラスの中でも定期購読する雑誌によって、少年ジャンプ派・コロコロコミック派・コミックボンボン派などと分かれていたが、自分はコロコロコミック派だった。ラジコンカーやミニ四駆、ファミコンなど当時の小学生を夢中にした遊びも、コロコロコミックから教わった。
 ドラえもんは、後年「大長編」や(のび太のおばあちゃん回など)人情もののエピソードがピックアップされて「泣ける」作品ということにされてしまったが、自分にとっては「日本一のギャグマンガ」であることに変わりはない。毎回のび太に同情したり、ひみつ道具で一緒に盛り上がったり、悪ノリするのび太にいらついたり、その報いを受けてひどい目に遭うのび太で溜飲を下げていた。
 ドラえもんの世界で描かれる22世紀はエアカーが飛び、ロボットが行き交う、まさに未来都市だった。あと100年足らずで、我々の世界もあのように変貌するのだろうか。

学研まんが「世界の歴史」
学研まんが「日本の歴史」
 自分を構成する要素としては同じ系列に当たるので、一息に紹介してしまう。
 Twitterでは歴史ネタの大喜利で遊び、また日常的に読む本も歴史に関係するものが多い自分だが、その基礎を作ったのは学研まんがだった。両親は自分が漫画に熱中するのをあまり心良く思っていなかったようだが(コロコロコミックは祖父に買ってもらっていた)、学研の学習漫画だけはすぐ買ってくれた。これで勉強するようにというメッセージが込められていたのだろうが学校の成績が劇的に向上するようなことはなく、社会人生活の方が長くなった今頃になって趣味の世界で役に立っている。
 歴史という科目は苦手な人から見れば暗記科目に見えるようだが、自分の場合は全体の時間的な流れを把握してから細かい項目を覚えていくという学び方が自然に身に付いた。漫画という形で、歴史の時間軸を追っていったのが役に立ったのだと思う。
 おかげで高専という理系の学校に通いながら、「君は進路を間違えた」と幾度も言われる羽目になった。

江戸むらさき特急(ほりのぶゆき)
 小さい頃から祖父にべったりだったため、夕方はいつもテレビで時代劇を見ていた。水戸黄門や大岡越前はアニメや戦隊もののヒーローに負けずとも劣らない、身近で頼りになる存在だった。
 そんな時代劇のヒーロー達が情け容赦のないシュールなギャグに落とし込まれていく江戸むらさき特急は、友人から借りて読んだビッグコミックスピリッツで知った。これは大変なものを読んでしまったと思い、単行本を全部揃えた。
 子供の頃に見た時代劇はTBS系のものだったが、江戸むらさき特急によってこれまで知らなかった時代劇のヒーロー達に出会うことができた。後に自宅にケーブルテレビを引いた時、時代劇専門チャンネルに没頭したのは言うまでもない。最近になって時代劇が再び復権しつつあり、新作が生まれ始めているのは良い傾向だと思う。
 好きなネタはうっかり八兵衛と、江戸の黒豹(新五捕物帳)である。

GTroman(西風)
 自動車の免許が取れる年齢になると、車やバイクを扱った漫画を読むようになる。周囲は「頭文字D」や「湾岸ミッドナイト」など走り屋系漫画を読んでいたが、自分はなぜか少し古い作品であるGTromanを読んでいた。その頃通っていた床屋に単行本が並んでいて、それで知ったと記憶している。
 沼津のカフェバー「ロマン」を舞台に、数々の名車と人間が織りなすちょっと大人でワルい物語。ハコスカGT-Rにスーパーセブン、ポルシェ、アルファロメオ、フェラーリなど、作中で疾駆する姿に憧れては中古車雑誌を覗き、そのあまりの高額さに驚愕したものだった。やはり現実は厳しい。
 社会人になって自分の車(当然中古の国産車である)を手に入れると、まずチューニング雑誌に嵌って色々手を加えたりサーキットに通うようにもなったが、どこかで「いつかはGTromanみたいな車を買う」という気持ちはあった。お洒落や速さではなく、そういう車を手に入れることによって平凡な日常生活に何か新鮮な風が入るのではないかと思っていた。
 今は2018年式のFIAT500に乗っている。一応後年のGTroman新シリーズに登場した車なので、夢は叶ったことになる。作中の登場人物のようにお洒落に生きることは結局実現できていないが、毎日が楽しい。

 自分を構成する漫画について振り返ったが、厳密に言えば学研まんがはシリーズ物なので5冊にはならない。あと本音を言えば「学研ひみつシリーズ」もリストに含めたかったのだが、画像作成サービスのリストに上がらなかったので割愛した。
 紙の本では古書店を探しても入手困難なことが多いが、今では電子書籍で気軽に読めるのが嬉しい。特に漫画は多少古い作品でも電子化されていることが多いので、今後漫画を買う時は積極的に電子書籍を利用しようと考えている。
(もう書棚も積ん読も限界なのであった)

#私を構成する5つのマンガ

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