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きく「君こそわが命」「黒い花びら」水原弘

千夜千冊 1111夜 (世走篇)

ふと、目に入る「黒い花びら」のタイトル。
著者の村松友視さんのこともだが、歌手・水原弘さんのことも知らない。
読まないうちに終わっちゃいそーだな、と思う。
それでも千夜千冊・音楽本については、その音楽を少しは聴く。


黒い花びら」などのヒット曲を出した歌手の水原弘さん(みずはら・ひろし=本名高和正弘=たかわ・まさひろ)が五日午前七時二十九分、肝硬変のため、北九州市戸畑区中原東の健和総合病院で亡くなった。四十二歳。告別式の日取り、喪主は未定。自宅は東京都港区六本木二ノ一ノ一〇。
 昭和三十四年、「黒い花びら」でデビュー、黒シャツにニヒルな顔立ち、それに独特の低音と相まって「黒ブーム」をまきおこし、曲は爆発的なヒットとなった。この曲で第一回レコード大賞を受賞、映画、テレビでも活躍したが、病気で倒れて、一時、不遇の時代が続いた。昭和四十二年、「君こそわが命」で再デビュー、その年の歌唱賞を受け、カムバックを果たした。
 最近はクラブ、キャバレーを中心に全国をまわり、六月二十三日、巡業先の山口県下関市のクラブで仕事をした後、北九州市小倉北区のホテルに宿泊、二十四日未明、吐血、意識不明となり救急車で病院に運ばれた。
 関係者の話によると、今年が歌手生活二十周年ということで秋にブラジル公演、日本縦断コンサートをする予定だった。

朝日新聞夕刊 1978/ 7/ 5 『黒い花びら』散る