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千夜千冊以外も読まずにいられない

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千夜千冊関連以外、買わないことにしていますが、そういうわけにはいかないのです!
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2023年8月の記事一覧

みる「もっと知りたい 田中一村」大矢鞆音 著(東京美術 2010)

作曲家・田口和行さんの note には、興味深い人のお名前が出てくる。 と書き出したが、 田口和行さんの事にふれぬわけにはいきませんね。 芸術やクリエーターを生業とされるのは、しんどい生き方だと思います。 今あるべき自分を、今までの自分が、 意識的に乗り越え続けねばならないのですから。 ご自分の苦悩を含め、赤裸々に言葉を綴られている。 田口さんの音楽は、また改めたいと思います。 で、田口さんが以前より、生き方に心を寄せられているうちのお一人が、 日本画家・田中一村。 ビ

再読「憎国心のすすめ」林 秀彦 著(成甲書房 2009/12/15)※追記あり

林 秀彦 氏の最後の著書。翌年2010年に亡くなられた。 林 秀彦 氏は、十年前の著書「日本を捨てて、日本を知った(1999)」 でも、『日本人の思惟方法』を取り上げ、希望について言及された。 しかし、十年後の著書「憎国心のすすめ(2009)」での言葉は一変する。 著者は、オーストラリアに移住していたが、余命宣告を受け、2006年頃、帰国している。そして、日本人の落ちぶれ度を目の当たりにし、帰国前に文字にした「希望」全てを撤回する。 「自分の考え」と思っていることが、

読んだ「老人と棕櫚の木」林 秀彦 著(PHP研究所 2003/10/16)

帯には若山牧水の短歌。 脚本家の林 秀彦氏は自分の分身に「神馬 伸」という名前を付け、 (ご自分の)話を紡いでいく。 テーマとして「離人症」を挙げている。 オーストラリアに暮らしている神馬 伸と美津子。 妻の愛を失ったが理由が分からない神馬。 美津子は、理由を言葉に出来ないが、別れる意志は絶対。 夫の愛と、妻の無関心。二人の乖離は修復不能。 --------------------------------------------------------------- 独り

目で聴く「私の暮らしかた」大貫妙子 著(新潮文庫 2016)

まずは、大貫妙子さんと坂本龍一さんのアルバムから、 「美貌の青空 Bibo no Aozora」を ♬ 声により、穏やかな心や、たくらんでいる心、様々な心の状態が見えてくる。感情の蓄積が、その人の心の状態をつくり、その人自身をつくっていく。声は、その人そのものを反映していると私も思う。naka はじめてある作家の本を読む時、その作家の書いていることが、本心から書いている事なのかを、見極めたい。騙されたくないから。でも、本心を見抜くには、経験や人間観察力が必要なのだろう。