【観劇レポ】The PROM produced by 地球ゴージャス
皆様こんにちは。
今回は「The PROM」を観劇してきました。先日東京公演の千秋楽を迎え、(更新遅くなりました)。大阪公演もこれから控えていますので、お時間あればぜひ観に行っていただきたいなと思います。それでは早速レポに参りましょう。
キラキラとしたPROMの世界
私は3月13日の東京公演を観てきました。会場は、赤坂にある「TBS赤坂アクトシアター」。1階席が非常に観やすくて好きです。
今回はO列の35番。座席は隣の人と1つずつ空いた状態で、ステージからの距離はこんな感じです。
皆様は「prom」という言葉をご存じですか?日本には馴染みがないので、私は高校生の頃まで知らなかったのですが…。
「prom」は英語の「promenard」(舞踏会)の略称で、アメリカやイギリス、カナダの高校で学年の最後に開かれる、学校主催のダンスパーティーのことです。参加は男女ペアが基本で、相手がいないと行けません。
高校生活の中でも最も重要なイベントの1つであるため、特に女性は念入りに準備を行います。キラキラで華やかなドレスに身を包み、好きな相手からの誘いを待ちます(女性から誘う場合もあります)。とにかく素敵なので、日本にもその文化があったら参加してみたい(笑)。
作品紹介
この作品は2018年にブロードウェイで初めて上演され、2019年にはトニー賞の7部門にノミネートされています。2020年12月には映画も公開され、メリルストリープがD.D.アレンを演じていることでも話題になっていました。
以下あらすじ。
アメリカの高校で、卒業を控えた学生たちのために開かれるダンスパーティ ”プロム”。インディアナ州の高校に通うエマは、同性の恋人アリッサとプロムに参加しようとするが、多様性を受け入れられないPTAが、プロムを中止にしてしまう。それが原因でエマはいじめを受けていた…そこに、落ちぶれかけたブロードウェイスターたち(D.D.アレン、アンジー、バリー、トレント)が騒動を知り、自分たちの話題作りのために、エマを助けに街にやってきたのだがー。
公式パンフレットによると、この物語は2010年にアメリカのミシシッピ州で起こった出来事から着想を得たそうです。エンタメだから、フィクションだから、という言葉で決して片付けられてはいけないLGBTの問題が、この作品の大きなテーマとして存在しています。
そして一見シリアスなミュージカルかと思えば、プロムらしい歌やダンス、衣装の華やかさもあり、最後は皆が笑顔になる。地球ゴージャスらしいコメディ要素も沢山詰め込まれている、そんな素敵なミュージカルです。私は顔が涙でぐしゃぐしゃになるほど、感動して泣いていました。
キャスト 高校生組
エマ役の葵わかなちゃん。
初のミュージカル出演は2019年の『ロミオ&ジュリエット』。以来わかなちゃんの歌声を聞いていなかったのでその成長ぶりに圧倒されました。どのシーンでも伸び伸びとした柔らかい歌声に心を動かされます(でもその中に凛とした強さがあります)。
特に印象的なナンバーが「ワンパクなHeart」(1分33秒あたりから聴けます)。「私は自分に誇りを持っている、もうコソコソしない」という想いでエマが作った曲です。この曲が多くの同性愛者の方の心に勇気と希望を与えています。
わかなちゃんが演じるエマは本当にまっすぐな女の子。両親にカミングアウトをしたことで勘当されたり、同級生の子たちからいじめを受けたりしていても、「これが私だ」とはっきり自分を表現できます。アリッサを想う気持ちがちゃんとあるからこそ、エマは強くいられるのではないかと思いました。そう考えるとやはり愛の力は素敵で、わかなちゃんにぴったりの役でした。
一方、アリッサ役の三吉彩花ちゃん。
今回が初のミュージカルということでしたが、さすがは元さくら学院のメンバー。歌も踊りもばっちりでした。
アリッサはエマとは違い、自分が同性愛者であることを周囲に言うことができない女の子。エマのことは大好きだけれど、どこかそれを恥ずかしいと思っていたり、周囲から否定されるのではないかと怖がっていたりする部分もあります。そしてそれが原因で二人の中に亀裂が入ってしまう。そのもどかしさが見ていて切ないです。
「アリッサ・グリーン」のナンバーでは、アリッサが抱える「優等生を演じなければならない」という苦しみを強く感じます。誰よりも自由になりたいのになれない。でもエマの姿を見て最後にはちゃんと皆の前でカミングアウトをする。母親であるミセス・グリーン(藤林美沙さん)ともきちんと向き合い、和解していく。彩花ちゃんと美沙さんの二人の親子関係も本当に素敵だと思いました。
ここからはエマとアリッサの同級生組。その中でも私が好きな2人をピックアップしました。本当に個人的な感想です(笑)。
ニック役の青柳塁斗くん。以前地球ゴージャスの「怪盗セブン」にも出演されていました。高校生の男の子を演じていますが、高校生とは思えないほどの筋肉…。踊りを見ていても筋肉に目がいっちゃいます。D.D.アレンたちが登場した時に📷でパシャパシャしていたのが可愛かったです(笑)。あとアクロバットもいつも通りかっこよかったです。
シェルビー役のMARIA-Eちゃん。MARIAちゃんとの出会いは「キューティ・ブロンド」で、そこから「ホイッスル・ダウン・ザ・ウィンド」、「ビューティフル」と観ていますが、もうとにかく可愛い!最初はエマのことをからかっていたシェルビーだけれど、トレントの話を聞いて彼女を受け入れていく。「汝 隣人を愛せよ」のナンバーではMARIAちゃんのパワフルボイスに魅了されます。まじで可愛くてかっこよくて最高です…。
キャスト紹介 大人組
まずはD.D.アレン役の草刈民代さん。今回、アレンはトリプルキャストで他に、大黒摩季さんと保坂知寿さんがいます。
草刈さんはバレリーナとしての経験があると聞いていたので、やはり立ち姿が美しい。ただ立っているだけなのに気品があり、ブロードウェイスターというのが一目でわかります。しかしそこに大人の色気が加わり、魅力的なアレンになっています。
アレンは最初、自分大好き人間でかなりの自信家でした。だからきっと他の人のために何か行動を起こそうとは思ってもいなかったはず。でもエマと出会ったことで、最後は自分以外の誰かのために犠牲を払うことができる人間に変化している。その成長が私は大好きです。あと、ホーキンス校長とのロマンスにもドキドキしちゃいます。
アンジー役の霧矢大夢さん。
何と言っても「Zazz」のナンバーがかっこいい!!映画を観た時から、ずっと好きな曲です。お姉さん的な存在で優しくエマに接する霧矢さんが本当に素敵で、ただ傍にいてくれるだけで安心できるような方でした。
そしてアンジーそのものはブロードウェイのスターであるアレンやバリーとは少し違う立場にいます。第一線で輝いていた経験がある彼らとは違い、アンジーは長い間アンサンブルとして舞台を支えていた人だから。そんな彼女にはシカゴの主演・ロキシーを演じたいという夢があります。諦めずに夢を追いかけた結果その努力が報われているため、その辛抱強さは私も見習わなければならないと思いました。(アンジーの舞台写真だけ見つからなかった…)
バリー役の岸谷五朗さん。
岸谷さん…脚本も訳詞も演出も手掛けた上で、自身もキャストとして登場。しかも結構最初のシーンからです。加えて今回はタップダンスも披露しています。全体像を考えながら、自分のことも客観視しなくてはならない。その大変さは計り知れませんし、本当に演劇に対して人一倍熱くて努力家な方なのだと思いました。
そんなバリーはアレンと同じように、最初は自分たちのイメージ回復のためにプロムの問題を解決しようとします。幼い頃からゲイで、両親にも認めてもらえず苦しい人生を歩んできたバリー。彼もプロムに行くことができなかった経験から、誰よりもエマをプロムに参加させてあげたいという気持ちが強くあります。そのためエマの「ただ愛する人とプロムに行きたい」という想いを知って、彼女のことを全力でサポートしていく。最後、エマたちと一緒にプロムを楽しんでいる姿には本当に嬉しくなりました。
トレント役の寺脇康文さん。
寺脇さんはもともと人の好さが顔に現れている、裏表のない方だと個人的に思っていたので、まさにトレントのようでした。良い意味で少年ぽさがあるというか、こう素直に自分の想いを他の人に語れているところが私は好きです。舞台上でも誰よりも遊んでいる感じですし(笑)。
特に先程MARIA-Eちゃんのところでも話した「汝 隣人を愛せよ」のナンバーが素敵です。イエス様の教えに倣い、トレントがエマの同級生たちに大切なことを伝えます。それは単純明快で、隣人を愛すこと。この曲をきっかけに同級生たちも後半に向かってエマとアリッサのことを受け入れていきます。素直なトレントだからこそ、皆にその想いが強く伝わったのではないかと思いました。
この他にもTAKEさん・佐藤龍彦さんが演じるホーキンス校長、藤林美沙さんが演じるミセス・グリーン、芋洗坂係長こと小浦一優さんが演じるシェルドンがいます。どのキャラクターも魅力的で、長々と書き残したいところですが、割愛させていただきます。
PROMを観劇して感じたこと
この作品の一番のテーマは「ありのままでいることがいかに大切か」ということだと思います。生きていく中で、自分らしくいることって本当に難しい。それは自分の良いところも悪いところも含めて「素を見せる」っていうことだから。そこには幻滅されるかもしれない、否定されるかもしれないっていう恐怖や不安があります。しかし自分らしくいることができて、他の人のありのままの姿も受け入れることができたら、この世界はもっと明るくなるのではないか。そんな素敵なことをこの作品から学びました。
日本でもまだまだLGBTに関しては理解が進んでいないことが多いです。PROMのような作品を通じて、多くの人の心にメッセージが届くと良いなと思っています。
※舞台写真はモデルプレスさんから引用
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