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給与は生活費の積算で算出されている!?

 サラリーマンなら、経験がある方も多いと思いますが、給与日前になると、口座残高が限りなく、「ゼロ円」に近くなり、後どうしのぐか、考えてしまう方もいると思います。

 これって、元々、給与は生活費をベースに計算されているから、つまり、普通に生活費を使うと、ちゃんと残額が「ゼロ円」になるように計算されているということもあるのだと思います。

 私は、保険業界にいるので、保険料率の計算を例に出しますね。

 保険料率は、次の合計で決まります。

●保険料=積立保険料+危険保険料+付加保険料
 ※積立…将来の満期保険金などの元、解約返戻金に化ける。予定利率の影響を大きく受けるが、昨今、予定利率は大幅に下がっており、これが保険料の値上がりにつながっている。
 ※危険…死亡・入院などの事故保険金の元、これは死亡リスク統計などを根拠にしているため、各社に大きな違いはない。
 ※付加…保険会社各社の人件費、システム経費、営業関連費など、簡単に言うと、事業費などを根拠にしている。これは、各社の事業費のコストに影響しており、比較的、差異が見受けられる。

 そして、それぞれに余剰が発生すると、決算にもとづき、かなり厳密に、配当金を契約者に還元します。
 ※保険料率そのものは、配当金の還元を見越して、少し安全割り増しの料率を計算して、作られています。

 ここで、積立は運用利回りを根拠とする予定利率に影響を受け、危険は死亡統計などの危険統計に影響を受けるため、各社に大きな差異は見られません。

 問題は、付加です。付加は、保険会社各社の人件費、システム経費、営業関連費など、簡単に言うと、事業費を根拠にしているとは、述べたとおりですが、これは、各社の数理部門(アクチュアリー)による経費等の内部調査をベースに作られているのですね。

 つまり、経費積み上げ方式なのです。

 ですので、人件費、システム経費、営業関連費などが、抑えられている会社は、付加が安くなり、結果として、(積立と危険に大きな差異が出ない以上、)保険料そのものが安くなるということになります。

 よく、FPの先生などで、保険そのものには違いがないのだから、安い保険料のところがいいという人がいますが、一方、そういう廉価な保険会社は、人件費が安かったり、システム経費をあまりかけていなかったり、営業関連費もあまりかけていなかったりする訳ですが、そこには課題となる点があります。

●人件費が安い…営業開始時点やアフターフォローの説明があまりない。保険の性質から言って、説明が手薄だと充分な商品の理解が得られなく、保険の根本目的である請求につながらないケースもある。
●システム経費が安い…システムがぼろいと、全部目チェックになり、その結果、誤りにつながりやすい。
●営業関連費が安い…テレビ広告などにあまり経費をあまりかけていない。営業職員への営業奨励費が少ない。これはいいことかも。

 つまり、保険料率は、いろいろな諸経費の積算でできている、ということは、安いことは様々なサービスを含めて、「ぼろい」ことにつながりやすいということでもあります。

 このような諸経費の積み上げに、人件費が入っていますが、この人件費も、実は生活費の積み上げで算出されているのです。

 企業はコストを抑えたいですから、人件費は必要以上に払いたくない、ただ、人件費を安くしすぎると、社員の生活そのものが成り立たず、みな辞めていってしまう。

 で、とどのつまり、人件費は生活費レベルまで逓減することとなり、その結果、普通に生活費を使うと、普通に給与日前には、残高が「ゼロ円」に近づくという、うれしくない事態が生じるのです(;。;)。かなぴーですね。

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