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相対主義ってなんだか難しいよね

(2020.06.07に書いたブログ記事を転記したものです)

先日,久しぶりに『科学哲学の冒険』を読みました。哲学の面白さを教えてくれた,思い出深い本で,実在論,反実在論の関係について学び直したくて改めて読みました。

この本を読みながらふと「そういえば相対主義って具体的にはどういう主義なんだろう」と疑問がわきました。ですので,早速,調べてみました。

相対主義に関するよくある質問」サイト

人間,同じような疑問をもつものですね。まさにドンピシャなサイトを見つけました。黒木玄氏によるサイトです。

このサイトによると,まず「相対主義は絶対主義の否定ではない」とのことです。「これが絶対正しいのだ!」という絶対主義に対して,「いや,本当にそうなの?そうは言えないんじゃない?」というのは相対主義ではない,とのこと。むしろ,科学者として,そういう風に慎重に考える態度は当然であろう(常識的立場)と言及しておられます。

では,相対主義はどういう考え方なのでしょうか?

同サイトによると,これは「答えるのが難しい質問」で,というのも,様々な種類の相対主義があるからだそうです。

ということは,相対主義と一言で言っても,人によって色々な使われ方がされているので,その人の言う相対主義とは?と考えて捉えなければならないということかなと思います。

それでも,ありがたいことに,同サイトは相対主義(者)についてまとめを提出しています。

相対主義者は、懐疑主義者のように真理を知る可能性を否定するのではなく、立場の違いによって多くの真理が存在するという方針を取る。

相対主義の分類の基準には、少なくとも、真善美のどれに関わっているか、方法論的か否か、どれだけ過激であるか、の3種類がある。

真偽に関わる相対主義は認識的相対主義と呼ばれており、クーンによる異なるパラダイムの通約不可能性やサピア・ウォーフ仮説 (言語論的相対主義) などの主要な認識的相対主義はディヴィドソンによって批判された概念的相対主義に分類される。

相対主義色の強いテクストの多くは、方法論的か否かが曖昧だったり、どれだけ過激な立場を表明しているかが曖昧だったりする。

http://www.math.tohoku.ac.jp/~kuroki/FN/relativism.html(強調は引用者)

このまとめをもとに,相対主義を分類すると,以下のような感じでしょうか。そもそも相対主義を分類するという発想がなかったので,このサイトを発見したときは「へー!なるほどー!」と思いました。

ちなみに,素朴的というのは「戦略的でない」という意味で,相対主義を素朴に信じているということです。

そういえば,手元にあった『疑似科学と科学の哲学』(伊勢田哲治/名古屋大学出版会)で相対主義の定義(っぽいこと)が書かれている部分をみると,「相対主義と呼ばれる立場は,科学や知識の客観性そのものまでを否定する。科学は単にある立場からの主張にすぎず,社会的な力関係をのぞいてはその立場を越えた客観性はない。(p.172)」とされていました。

これは先の分類でいうと,認識論的相対主義の説明ということになるのかもしれません。

それにしても,文字にしてみると,「客観性を否定」「ある立場からの主張に過ぎず」など,確かに「絶対主義を否定している」と誤読してしまいそうな主張ではあるなと思います。

言葉で伝えることは難しいなあ。精進の日々です。

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