大場なな

 乗り遅れた。「少女☆歌劇レヴュースタァライト」についてはやく書きたかったが、2周した今書いてる感じ。もう秋アニメも始まっているがまだ「少女☆歌劇レヴュースタァライト」の話を、大場ななの話をしたい。

※全話視聴した方向けに書くよ。ネタバレを含むよ。






少女☆歌劇レヴュースタァライト

 全話視聴した方向けなので説明省略!神作品!ちなみに、僕は舞台版も漫画版も観たことがないのでアニメのお話をします。ご了承ください。いつか絶対鑑賞したい。

大場なな

「舞台に実ったたわわな果実。 だけど、みんな柔らかだから、誰かが守ってあげなくちゃ。 99期生、大場なな。 私が守るの。ずっと、何度でも!」

 泣ける。超めちゃくちゃ泣ける女の子。しっかり者で歌も演技もできる子。好き、好き、大好き。ニックネームは「ばなな」 好き。お姉さんというより、お母さん? 最近バブみという言葉を聞かなくなりつつあるが、感じる。ありえん。大好き。


アウラのアンチテーゼ

 第7話「大場なな」の何がヤバかったって、ばななが同じ時を繰り返していたこと自体よりもその目的。彼女は第99回聖翔祭の「スタァライト」の輝きに魅せられた。そしてそれを永遠にしようと目論み、「再演」を行う。


「届いたはずなのに。まだ眩しい」


 彼女にとってあの舞台は何度繰り返しても眩しく煌めくものだった。変化を恐れ、最高の今を繰り返したいと願った。


「守らなくちゃ私のスタァライト」


 毎年「スタァライト」を演じる99期生。しかし毎年まったく同じ演劇がつくられるわけではない。変化がそこにはある。配役が変わり、衣装が変わり、舞台装置が変わる。演じる彼女らの成長も当然ある。

 アウラはヴァルター・ベンヤミンが定義した概念で、一回性などと訳される。芸術の複製ではそれが欠如すると指摘される。
 大場ななの「再演」は複製ではない。一年を、あの「スタァライト」をアウラを含んだ形で繰り返しているのだ。大場ななが魅せられた「輝き」、「眩しさ」、「煌めき」それらはアウラなのではないだろうか。一回性を何度も体験し続ける彼女の存在はアウラのアンチテーゼであるといえる?

「次のスタァライト、そんなの私のスタァライトじゃない」 


永遠じゃねえ。ムゲンだよ

 冗談抜きで大場ななに投げかけられるべき言葉はこれでした。このセリフは「HiGH&LOW」に登場するもの。何故みなハイローを観ない……(ハイローもスタァライトもdtvで観られるよ)

「一緒にいるだけが仲間じゃねえ」
「捨てたんじゃねえ 変わってくんだよ。変わってく事と仲間を失う事は全然違う」

 もう完全にそういうことじゃん。これは変化を恐れこの瞬間が永遠に続けばいいと思う琥珀に対し達也が投げかける言葉である。
 変化を恐れず肯定し、前に進んでいく。それがムゲンという精神。そして「ムゲン」というチームが作られる。


 大場ななもムゲンの精神にたどり着き、前に進み始める。9話の終盤、涙なしには観られない。(彼女もただ同じ時を繰り返すだけでなく「再演」を更によくするため多少の変化を加えていたことがうかがえる。舞台も舞台少女も変わっていくもの、そこに気づきつつあったのかもしれない)


舞台少女は日々進化中

 大場ななの「再演」と対象的なセリフである、「舞台少女は日々進化中」 成長も何もないはずの「再演」の中、発せられる言葉というのがなんとも皮肉である。

「ノンノンだよばなな!舞台少女は日々進化中。同じ私たちも同じ舞台もない!どんな舞台も一度きり、その一瞬で燃え尽きるから愛おしくてかけがえなくて価値があるの!一瞬で燃え上がるから舞台少女はみんな舞台に立つたびに新しく生まれ変わるの!」

 これは愛城華恋がばななと対峙した際に発するセリフである。エモい。人生も舞台も一度きりの、一瞬の燃え上がりが、アウラがあり、変化していくものである。アタシ再生産……


アタシ「再」生産と「再」演。二つの「再」

 この作品において重要な概念である「アタシ再生産」 つまりは「一瞬で燃え上がるから舞台少女はみんな舞台に立つたびに新しく生まれ変わる」ことなんでしょうが、わかりやすくいえば

大場ななの「再演」=永遠
愛城華恋の「アタシ再生産」=ムゲン

 ってことじゃないですか? これはこじつけではなくマジで。実質龍騎のほうがよっぽどこじつけではないかと思わされるレベル。過去に縛られあのときの「眩しさ」を求める、複製の「再演」をする大場なな、舞台に立つ度に「眩しさ」を変化を加えて「再生産」する愛城華恋。
 だからこそ大場ななの「再演」を邪魔したのは愛城華恋だった。


以下、番外編。

平ラ的スタァライト

 何かと実質龍騎と言われるこの作品。

・赤い主人公と青い2号(2号?)
・二刀流で黄色のタイムベント使い
・蟹鍋=ボルキャンサー
・戦わなければ生き残れない
・ひかりサバイブ

 と、まぁほぼこじつけなんですけど……龍騎というか小林靖子みたいなところはある。


 「いいの、華恋ちゃんと。いつかあの娘と戦うことになっても」

 これまた大場ななのセリフ。これ。いつか戦わなければならない二人がなあなあで済まさずちゃんと向き合う。真司と蓮、映司とアンク、悠と仁(マモちゃんもかな)……小林靖子文脈じゃないですか、エモい。

 華恋とひかりが二人でスタァライトするというのもなかなかエモい。真っ先に思いつくのだと仮面ライダーWだが、その他も例は枚挙に暇がない。万丈も香澄が変化した姿であるバーンスマッシュから採取した成分を浄化したドラゴンフルボトルを使い仮面ライダークローズへと変身する。二人でスタァライトしちゃってんのよ……平ジェネ観ました? 万丈はあそこで仮面ライダーになったといっても過言ではない。平ジェネを経てビルド本編では万丈の成長が描かれる。完全に舞台少女は日々進化中。

このへんにしておきます。

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