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「PERFECT DAYS」揺るがない日常がある強さ。

「PERFECT DAYS」を映画館で観てきた。

普段あまり映画館には行かないが、これは観に行かなくてはいけない、と直感的に思った。今の自分に対するメッセージがあるような気がしたのと、予告篇がとにかく素晴らしかった。

渋い音楽とノスタルジックな映像、多くを語らないストーリー。正直予告編を観ただけでは、何を伝えたいのかが全く分からなかった。でもそれが良い。映画を観終わった後にどんな感情になるのかが分からない。どんな気持ちにさせてくれるのだろうか。期待値があがりまくり。

映画の内容は、役所広司演じる平山の日常。
東京・渋谷でトイレ清掃員として日々淡々と働き、毎日同じルーティンの中で暮らしている。決して良い暮らしではない、風呂なしアパートでお金に余裕もない。でも不思議と羨ましく思えた。

この映画は賛否両論あるようで、決して良い暮らしとは言えない平山の暮らしを美化しているようにも見えるし、こんな老後は嫌だ、と思う人もいるだろう、でも私は羨ましくて、素敵だと思った。

役所広司の演技にやられた
ほとんどの人が同じ感想を持っただろう。役所広司の演技に吸い込まれた。私は映画の中で2度泣きそうになったのだけど、それは役所広司演じる平山の感情が動いたシーンだった。セリフはなく、表情と雰囲気、そして音楽。それだけなのに痛いほどに感情が伝わってきた。圧巻。

なんてことない日常の中で小さな変化に気付く
平山は毎日同じルーティンの中で暮らしている、だからこそ小さな変化に気付く。そしてそれを愛でる。毎日が平凡だと大きな変化を求めてしまいがち、でもすぐ側に小さな幸せはあるのだ。よくある言葉。でもここで大きく違うのは、平山の感じる小さな幸せは、普通の人からしたら気付かないレベルだと言うこと。そんな小さな変化を見つけられる平山が私は羨ましく思えた。その余裕があるのが素敵だ。

PERFECT DAYS
何を持って「PERFECT DAYS」とするのか。映画を観ながらひたすら考えていた。

毎日を淡々とこなしていく日々。でも毎日同じとはいかない、必ずその日常を少し掻き乱す変化が訪れる。良いことも悪いことも。

出来事に一喜一憂はするけどその変化に翻弄されない自分の日常がある。それこそが「PERFECT DAYS」だと思った。

戻る自分の居場所がある。自分の日々がある。それだけで幸せではないか。


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