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冷静と嫉妬の間『蜻蛉日記』

先日和樂webで書いた「平安日記文学まとめ記事」の中で紹介した2つ目の作品が、『蜻蛉日記』。

作者の藤原道綱母は、以前紹介した『更級日記』の作者菅原孝標女の叔母。そのつながりで紹介することにしました。

「夫の悪口」が多いと聞いていますが…、その通りでした。でも、被害妄想多すぎるツンデレタイプなので、意地張らなくてもいいのに、と思いました。もう少し素直でいれば、リア充まっしぐらのセレブ妻でいられるのに。

正直、こんなママ友いたら近づきたくないです。そもそも、ママ友いませんが。

あかん。これでは、私も人の悪口を言う人間で終わってしまう。
ということで、別の角度から彼女を見てみました。

平安日記文学は、文章+和歌の構成ですが、『蜻蛉日記』はとにかく和歌の数が多いのです。

その中でも、夫藤原兼家のものが特に。彼は、あの藤原道長の父。政治家としての活躍を後世に残すべく、兼家側から依頼があって載せたのでは、と言われています(記事で、ブログみたいなもの。と書いたように、人に読ませることが前提の平安時代の日記)。


だとしても、自分の恨みつらみを横に置いて、兼家の和歌を冷静に判断して載せることに、歌人としての誇りを感じました。カッコいい。


そして、教科書にも出てくる969年に起こった「安和の変」。「平安時代の政争まとめ」の最後に出てきますね。


「身の上のことを書く日記だから、本来入れるべき事柄でないけれど」と断りつつ、事件の様子を詳しく書いています。


平安時代が専門でなかった私には、初めて知ることも多く驚きました。
作者は宮中に出入りしているわけではなく、「そんなに世間を知らない人」。だからこそ、いかに不穏な状況であったかが、よく伝わってきました。
日本史オタクとしては、貴重な史料だと思います(しつこいけど、専門外)。

そんなわけで、嫉妬さの中にも冷静な部分を持っている方だと思います。


夫に不満が出てきたら読んでみると、少しスッとするかも、しれません。


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