見出し画像

私の好きな本~松本清張氏『額と歯』

「ホームレスを、一生食わせてやる支援はできません。代わりに、智慧を得られる支援が必要です」

ヨガ講師として、ヨガの講習会を受けたとき、先生に言われた言葉です。

ヨガは、ポーズをとるだけでではありません。生きていく上の、智慧を学ぶものでもあります。

困っている人を前にして、心ある人なら支援したいと思うもの。でも他人の要求を1年満たすことができても、一生は不可能。もし、そうしたら依存されます。その代わり、1人で生きていく智慧を伝えましょう、というものです。

なるほど。そうすると、自発的な人間になれるなと思いました。

それから随分経ち、そのときの言葉を思い出したのがこの小説。『額と歯』

荒っぽすぎる、あらすじ
殺人事件の被害者はホームレス。加害者は、ホームレスと偶然出会い、食べ物や着る物だけでなく、住まいや仕事まで支援。するとホームレスはどんどん図々しくなり、加害者に際限なくたかります。加害者は我慢できなくなり、殺人を犯してしまう…。(猟奇殺人がテーマなので、誰にでもおススメできませんが)

加害者は良かれと思っての行為。でも、ホームレスは支援の度に「もういいよ、いらないよ」のサイン送っていたのかなと、言外から感じました。それに気づかなかったのは、「善意を行っている自分」に執着していたのかもしれません。

加害者が追い詰められていく様は気の毒でしたが、「それ、やりすぎちゃうん?」と、何度もツッコミましたから。

人への支援は「やってあげる」でなく、「自立」を最終目標に立てる必要があるのだなと、思いました。

これは、子育てにもあてはまることですが。

松本清張『失踪の果て』(KADOKAWA、1987年)に収録

ちなみに。ヨガ用のブログでは、こんな風に書きました。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?