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ギャングがナイフで脅してくる農園で働いたはなし

「この付近で作業してるとね、ギャングたちがナイフを持って脅してくることがあるから気を付けて、だって。」

グレープピッキングのファームジョブをしにミルドゥーラへ来て1週間が経った。まだ葡萄が時期ではないらしく連日デイオフが続きネットフリックスとYouTubeを見る日々が続いている。そんな中やっと仕事が入った。しかもピースレートではなくアワリーレイト(時給)だと!?これは嬉しい。
日本にいるときは働きたくないとそればかり考えていたがオーストラリアへ来てから仕事を有難いと思えるようになった。仕事があればお金がもらえる。お金があると気持ちに余裕ができる。世の中お金以外にも大切なことはたくさんあるが結局お金がないと世界を楽しむための生活と心の基盤がつくれない。

ジュンの車でファームへ向かう。ジュンは私のボスだ。私は農園に直接雇われいるわけではなく、ジュンはコントラクターと言われる農園と我々労働者を繋ぐ仕事をしている。
この日は私以外にも7人の日本人ワーカーがいた。
そのうちの1人、一番英語が堪能なミユさんが中心となってジュンから指示を受ける。先にミユさん以外の7人で作業を進めているとジュンと一緒にどこかへ行っていたミユさんが帰ってきて言った。

「あそこに青い屋根の家があるでしょう?あそこで大麻作ってるんだって、ギャングが。で、この付近で作業してるとギャングたちがナイフを持って脅してくることがあるから気を付けてだって。」

どう気を付けろと???
ヘラヘラして呆れさせるか?一緒に大麻吸ってハイになるか??
日本で今までみたいに普通に暮らしてたら、こんな注意をうけることなんかなかっただろう。

「え?家って?すぐ目の前のあれっすか?」
金髪の若い男の子が指を指す。

(やめてくれ!!!!指を指すな!!!!)

心の中で叫ぶ私。

「指を指さない」

冷静に諭すミユさん。

結局その日私たちはギャングに絡まれることなく無事に作業を終えることができた。
今後も何事もありませんようにと思う反面少し面白い展開を期待してしまった気持ちを隠しつつジュンの車で帰宅した。


オーストラリア3ヶ月目 / in Mildura

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